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第15章 南へ
第212話 南へ
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【まえがき】
エミリス 「久しぶりすぎません? アティアス様……」
アティアス「そんなこと言うなよ……。作者が別の作品ばっかり書いてたんだから……」
ウィルセア「そうですわ。ただ、いつの間にか4年も経ってしまったんですよね……(作中時間)」
アティアス「ははは……」
ウィルセア「まぁ、エミリスさんは、全く! 何も! 変わってませんけれども……(羨ましい)」
アティアス「そうだな。でも、ウィルセアももうすぐ17歳じゃないか」
ウィルセア「はいっ!」
エミリス 「……なんでそんなに成長するんですかねぇ? 特に胸とか胸とか胸とか……(羨ましい)」
ウィルセア「あはは。……と、いうわけで。あれから4年経ったところからスタートです」
アティアス「また変な事件はもう勘弁して欲しいんだけどな……」
エミリス 「ふふふ、そんな訳無いでしょう?(ニヤリ)」
◆◆◆
「……収穫祭も終わってようやく落ち着いたし、そろそろ良いんじゃないか?」
アティアスが領主になってから4度目の収穫祭を終え、ウメーユの砦で後始末をしているときに、近くにいたエミリスに話しかけた。
「そろそろ、何がですか?」
「ちょっとくらい旅に出ても、って意味だよ」
『旅』という言葉を耳にして、エミリスは急に目を輝かせた。
「はい、行きますっ! ずっとどこに行くにも飛んでばっかりでしたし、のんびりしたいですっ」
領主という役目柄、色々なところに式典のために行くことは多かった。
王都にも何度も行ったけれども、仕事が忙しくてエミリスに飛んで運んでもらうことばかりだった。
もちろん、それは圧倒的に速いし、地上からでは見られない景色が味わえるというメリットもあるが、もともと歩いて旅をするのが好きだったアティアスにとっては多少味気ない気持ちもあった。
今はテンセズにもウメーユにもそれぞれ信頼できる町長がいて、大きな式典の時以外はさほど領主の仕事はなくなってきていた。
そのことから、収穫祭が終わって、次の新年を迎えるまでの間は休養を取ることも考えていた。
「歩きで行くか、馬で行くか、悩むところだけれど……」
「私は徒歩が良いですね。荷物は私が持てますし、最悪徒歩なら飛んで次の町に行ったりもできますから」
「そうだな。……まぁ、飛ぶのはできるだけ避けたいところだけれど」
「もちろんです。……ポチはどうします?」
エミリスの問いに、アティアスは少し悩んで答えた。
「さすがに無理じゃないか? ポチのやつ、デカくなりすぎだよ……。あいつ連れて行ったら、町が大騒ぎになるよ」
「……ですよねぇ」
あれから4年。
飼い始めた頃は多少大きな犬程度の大きさだったヘルハウンドのポチも、今や立派な成魔獣だ。
ウメーユの人たちは大人しいポチにもう慣れてしまっているが、見知らぬ町に連れていくと騒動になることは間違いない。
「ポチにはウメーユの護りに一役買ってもらおうか」
「わかりました。言い聞かせておきますね」
エミリスがいればどんな軍勢が襲ってきても心配ないが、留守にするということは、その守りの要がいなくなるということだ。
もちろん、ノードやトーレス達など腕の立つメンバーもいるにはいる。
しかし、現在エミリスを除くと、この町で最も強いのはポチだった。
「……とりあえず、家に帰ったらウィルセアとも相談だな」
「はい。絶対ウィルセアさんも喜びますよ。ずっと楽しみにしてましたから……」
◆
「――というわけなんだ」
夕方家に帰り、今日は一日家で家事をしてもらっていたウィルセアに説明する。
ただ、そういう日はなぜかメイド服姿になっていて、目のやり場に困るというか、下手に凝視しているとエミリスに睨まれるというか。
「はい、良いですね。確かに年末まで大きな仕事はありませんから、3ヶ月くらい町を空けても心配ないと思いますわ」
「それじゃ、計画するか。……といっても、前は予定も決めずにぶらぶらしていたけどな」
「それで良いのではないでしょうか。ただ、私としては一度このメラドニアの外の国にも行ってみたいと思っていますわ」
ウィルセアは自分の希望を話す。
彼女自身、これまでメラドニアから出た経験はなく、一度は外の世界も見て周りたいと思っていた。
「そうか。俺は一度出たことはあるけど、それも良いかもな。……南か北か」
「今の時期からなら、南の方が良いのでは?」
ウィルセアはこれから寒くなることを見越して、南に行くことを提案する。
「ふむ……。南となると、ゾマリーノから船で行くのがいいか。そっちは俺も行ったことがないから面白そうだ」
「……船、ですかぁ」
以前船に乗った時に、良い経験をしていないエミリスがげんなりした顔を見せた。
「南に行くには船か、ものすごく遠回りするしかないからな。飛んでいくにしても2日くらいかかるぞ?」
「……わかりました。まぁ、そんなに何度も事件は起きないと信じることにします……」
嫌な予感はしつつも、エミリスは仕方なく皆の意見に同意した。
エミリス 「久しぶりすぎません? アティアス様……」
アティアス「そんなこと言うなよ……。作者が別の作品ばっかり書いてたんだから……」
ウィルセア「そうですわ。ただ、いつの間にか4年も経ってしまったんですよね……(作中時間)」
アティアス「ははは……」
ウィルセア「まぁ、エミリスさんは、全く! 何も! 変わってませんけれども……(羨ましい)」
アティアス「そうだな。でも、ウィルセアももうすぐ17歳じゃないか」
ウィルセア「はいっ!」
エミリス 「……なんでそんなに成長するんですかねぇ? 特に胸とか胸とか胸とか……(羨ましい)」
ウィルセア「あはは。……と、いうわけで。あれから4年経ったところからスタートです」
アティアス「また変な事件はもう勘弁して欲しいんだけどな……」
エミリス 「ふふふ、そんな訳無いでしょう?(ニヤリ)」
◆◆◆
「……収穫祭も終わってようやく落ち着いたし、そろそろ良いんじゃないか?」
アティアスが領主になってから4度目の収穫祭を終え、ウメーユの砦で後始末をしているときに、近くにいたエミリスに話しかけた。
「そろそろ、何がですか?」
「ちょっとくらい旅に出ても、って意味だよ」
『旅』という言葉を耳にして、エミリスは急に目を輝かせた。
「はい、行きますっ! ずっとどこに行くにも飛んでばっかりでしたし、のんびりしたいですっ」
領主という役目柄、色々なところに式典のために行くことは多かった。
王都にも何度も行ったけれども、仕事が忙しくてエミリスに飛んで運んでもらうことばかりだった。
もちろん、それは圧倒的に速いし、地上からでは見られない景色が味わえるというメリットもあるが、もともと歩いて旅をするのが好きだったアティアスにとっては多少味気ない気持ちもあった。
今はテンセズにもウメーユにもそれぞれ信頼できる町長がいて、大きな式典の時以外はさほど領主の仕事はなくなってきていた。
そのことから、収穫祭が終わって、次の新年を迎えるまでの間は休養を取ることも考えていた。
「歩きで行くか、馬で行くか、悩むところだけれど……」
「私は徒歩が良いですね。荷物は私が持てますし、最悪徒歩なら飛んで次の町に行ったりもできますから」
「そうだな。……まぁ、飛ぶのはできるだけ避けたいところだけれど」
「もちろんです。……ポチはどうします?」
エミリスの問いに、アティアスは少し悩んで答えた。
「さすがに無理じゃないか? ポチのやつ、デカくなりすぎだよ……。あいつ連れて行ったら、町が大騒ぎになるよ」
「……ですよねぇ」
あれから4年。
飼い始めた頃は多少大きな犬程度の大きさだったヘルハウンドのポチも、今や立派な成魔獣だ。
ウメーユの人たちは大人しいポチにもう慣れてしまっているが、見知らぬ町に連れていくと騒動になることは間違いない。
「ポチにはウメーユの護りに一役買ってもらおうか」
「わかりました。言い聞かせておきますね」
エミリスがいればどんな軍勢が襲ってきても心配ないが、留守にするということは、その守りの要がいなくなるということだ。
もちろん、ノードやトーレス達など腕の立つメンバーもいるにはいる。
しかし、現在エミリスを除くと、この町で最も強いのはポチだった。
「……とりあえず、家に帰ったらウィルセアとも相談だな」
「はい。絶対ウィルセアさんも喜びますよ。ずっと楽しみにしてましたから……」
◆
「――というわけなんだ」
夕方家に帰り、今日は一日家で家事をしてもらっていたウィルセアに説明する。
ただ、そういう日はなぜかメイド服姿になっていて、目のやり場に困るというか、下手に凝視しているとエミリスに睨まれるというか。
「はい、良いですね。確かに年末まで大きな仕事はありませんから、3ヶ月くらい町を空けても心配ないと思いますわ」
「それじゃ、計画するか。……といっても、前は予定も決めずにぶらぶらしていたけどな」
「それで良いのではないでしょうか。ただ、私としては一度このメラドニアの外の国にも行ってみたいと思っていますわ」
ウィルセアは自分の希望を話す。
彼女自身、これまでメラドニアから出た経験はなく、一度は外の世界も見て周りたいと思っていた。
「そうか。俺は一度出たことはあるけど、それも良いかもな。……南か北か」
「今の時期からなら、南の方が良いのでは?」
ウィルセアはこれから寒くなることを見越して、南に行くことを提案する。
「ふむ……。南となると、ゾマリーノから船で行くのがいいか。そっちは俺も行ったことがないから面白そうだ」
「……船、ですかぁ」
以前船に乗った時に、良い経験をしていないエミリスがげんなりした顔を見せた。
「南に行くには船か、ものすごく遠回りするしかないからな。飛んでいくにしても2日くらいかかるぞ?」
「……わかりました。まぁ、そんなに何度も事件は起きないと信じることにします……」
嫌な予感はしつつも、エミリスは仕方なく皆の意見に同意した。
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