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38.勘違い②
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披露宴が終わると、新郎の親戚がやっているというレストランを借りて夕方から二次会が行われた。
披露宴には参加していなかった、新郎新婦の同僚たちがさらに増え賑やかになる。
ずっと狙っていた女たちと二次会から参加した女たちに、伊沢はあっという間に囲まれてしまった。
年齢的にみどりの友人が多そうだが、新郎の同僚も混じっていそうだ。人気ホストに群がる女性陣の図、といったところだ。
伊沢の家族以外に知り合いがいない大樹は、伊沢が他の席に奪われてしまうと話し相手もおらず、ぽつんと一人残ってしまった。
伊沢はなかなか解放されそうにないので一人で料理を楽しんでいると、車椅子でみどりがやってきた。披露宴では可愛いパステルカラーのピンクのドレスに身を包んでいたが、今はブラウンのワンピースだ。
「一人にしてごめんなさいね、大樹くん。恋人がいることは、一応皆に言ってあるのよ」
みどりは伊沢の方をちらりと見た。
伊沢を狙っても無駄だと、事前にけん制しておいてくれたらしい。
「それでもあの盛況ぶりですか」
「モテる恋人を持つと大変ね」
やれやれとばかりに大樹は肩を竦めた。
卒業式の日を思い出す。会えるのは今日しかないと思うから、余計に集中してしまうのだろう。
中にはただイケメンと喋りたいだけの者もいるかもしれないが、本気の者もいるかもしれない。
ただでさえいつもよりもフェロモンが出ているものだから、一目惚れしてしまう気持ちは分からないでもない。
「みどりさん。改めて、結婚おめでとうございます」
「ありがとう」
近くにあったグラスを手にすると、お互いに軽くグラスを持ち上げる。
「凄く綺麗だった。幸せに満ちた女の子の笑顔っていいなぁって、見ている俺まで幸せでした。めっちゃ、きゅんだった」
例え今好きなのが男だろうと、大樹は少女漫画で育った。
ヒロインの幸せな笑顔は、大樹を幸せな気持ちにしてくれる。
大樹が満面の笑みを浮かべたのを見て、ふふっとみどりが微笑む。
「あおとは、上手くいってるようね」
みどりとは、今日会うまでしばらく会っていなかった。
あれからみどりは、駅前の絵画教室で講師のアルバイトを始めたらしい。
新郎の両親もとても優しいらしく、車椅子で歩けないみどりをとても気遣って可愛がってくれるそうだ。
みどりたちが住む家を、自宅を二世帯にリノベーションしてまで用意したくらいで、家が用意できるまでの関係で結婚時期も今になったと聞く。実家を出ても、みどりは十分に充実した新生活を送れそうだ。
「蒼一郎と会えたことに、みどりさんには本当に感謝してます。付き合えてるのも、みどりさんのおかげだし」
知り合ったきっかけはどうであれ、みどりのおかげだ。
みどりが掲示板に投稿をしなければ、そして大樹を選ばなければ、大樹はただの生徒会長としてしか伊沢を見ていなかったし、伊沢に関しては大樹の存在を知ることもなかった。
「私、恋のキューピットね」
にっこりと微笑むみどりに、そんな可愛いものではなかったけれどと内心思ってしまう。
あの頃は、大樹ですらみどりの行為に恐怖を感じたくらいだった。
披露宴には参加していなかった、新郎新婦の同僚たちがさらに増え賑やかになる。
ずっと狙っていた女たちと二次会から参加した女たちに、伊沢はあっという間に囲まれてしまった。
年齢的にみどりの友人が多そうだが、新郎の同僚も混じっていそうだ。人気ホストに群がる女性陣の図、といったところだ。
伊沢の家族以外に知り合いがいない大樹は、伊沢が他の席に奪われてしまうと話し相手もおらず、ぽつんと一人残ってしまった。
伊沢はなかなか解放されそうにないので一人で料理を楽しんでいると、車椅子でみどりがやってきた。披露宴では可愛いパステルカラーのピンクのドレスに身を包んでいたが、今はブラウンのワンピースだ。
「一人にしてごめんなさいね、大樹くん。恋人がいることは、一応皆に言ってあるのよ」
みどりは伊沢の方をちらりと見た。
伊沢を狙っても無駄だと、事前にけん制しておいてくれたらしい。
「それでもあの盛況ぶりですか」
「モテる恋人を持つと大変ね」
やれやれとばかりに大樹は肩を竦めた。
卒業式の日を思い出す。会えるのは今日しかないと思うから、余計に集中してしまうのだろう。
中にはただイケメンと喋りたいだけの者もいるかもしれないが、本気の者もいるかもしれない。
ただでさえいつもよりもフェロモンが出ているものだから、一目惚れしてしまう気持ちは分からないでもない。
「みどりさん。改めて、結婚おめでとうございます」
「ありがとう」
近くにあったグラスを手にすると、お互いに軽くグラスを持ち上げる。
「凄く綺麗だった。幸せに満ちた女の子の笑顔っていいなぁって、見ている俺まで幸せでした。めっちゃ、きゅんだった」
例え今好きなのが男だろうと、大樹は少女漫画で育った。
ヒロインの幸せな笑顔は、大樹を幸せな気持ちにしてくれる。
大樹が満面の笑みを浮かべたのを見て、ふふっとみどりが微笑む。
「あおとは、上手くいってるようね」
みどりとは、今日会うまでしばらく会っていなかった。
あれからみどりは、駅前の絵画教室で講師のアルバイトを始めたらしい。
新郎の両親もとても優しいらしく、車椅子で歩けないみどりをとても気遣って可愛がってくれるそうだ。
みどりたちが住む家を、自宅を二世帯にリノベーションしてまで用意したくらいで、家が用意できるまでの関係で結婚時期も今になったと聞く。実家を出ても、みどりは十分に充実した新生活を送れそうだ。
「蒼一郎と会えたことに、みどりさんには本当に感謝してます。付き合えてるのも、みどりさんのおかげだし」
知り合ったきっかけはどうであれ、みどりのおかげだ。
みどりが掲示板に投稿をしなければ、そして大樹を選ばなければ、大樹はただの生徒会長としてしか伊沢を見ていなかったし、伊沢に関しては大樹の存在を知ることもなかった。
「私、恋のキューピットね」
にっこりと微笑むみどりに、そんな可愛いものではなかったけれどと内心思ってしまう。
あの頃は、大樹ですらみどりの行為に恐怖を感じたくらいだった。
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