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二章
四話
しおりを挟む「玲ちゃん、そんなに濡れてどうしたの?」桃は聞いた。
「大丈夫だよ。転んだだけ」
水溜まりも無ければ、この日は快晴だった。
玲は何かを隠すように言った。
「そっか、私の体操服貸してあげるから、着替えといで」
桃は玲がいじめを受けているのを知っていた。
「私なんかの為にいいよ。大丈夫。」玲は遠慮した。
「いいのさっさと着替えて来なさい!風邪引くよ。」
そう言い桃は、玲の背中を押した。
「うん、ありがとう」玲はお礼を言った。
桃は力になれたと思い嬉しかった。
「じゃあ後で教室でね」
玲は更衣室に向かった。
それを見送ったあと、
「さてと、私も行動しますか」
と言い、職員室へ向かった。
ーーガラーー
「失礼します。
先生」
「どうした?」
「玲ちゃんがいじめを受けています」
「はあ?」
「いじめを受けています」
「そんな訳ないだろ」
教師は信じてくれなかった。
「証拠集めて来ます」
桃は苛ついていた。
教師は「ま、がんばれよ」の一言だった。
桃は職員室を後にした。
「何あのクソ教師!」
桃は思っていた。
すると
「どうしたの?」
玲が後ろから声をかけて来た。
「どひゃあ!!」
桃は驚いた。
「もー後ろから声かけないでよ
それより着替えてきた?」
「着替えて来たよ。どう?」
「似合ってるよ」
「やだなぁ~体操服だよー」
玲は照れた。
(私の体操服なら、水かけられる事無いよね。)
桃はそう思い、体操服を玲に貸したのであった。
「そろそろ授業だし教室戻ろうか。」
玲はこくりと、頷いた。
教室に戻ると玲の机に
学校に来るな。目障りなどの誹謗中傷の言葉が書かれていた。
先に気づいた桃が
「玲ちゃんやっぱり授業サボろうか」と誘った。
玲は「え?」と困惑する。
桃は笑顔で「まあまあ」といい
玲の手を引っ張り教室を出た。
「とりあえずサボる所では定番な
保健室へ行きます!」
「う、うん。」玲は何かあったかと心配していた。
「大丈夫。安心して」
桃は、玲が安心できるよう
言葉を掛ける。
保健室に着いた。
「先生ー!玲ちゃん調子悪い様なので休ませて下さい」
(私が玲ちゃんを守らないと)
「あらいらっしゃい。
ベッドなら空いてるわ」
と保健室の先生は言った。
「先生ありがとう」と桃はお礼を言い、「玲ちゃんここで休んでてね」と労った。
「あ、ありがとう」
玲は、具合が悪いわけでは無いが
とりあえずお礼を言った。
桃は「じゃ、ごゆっくり~。
あ!ノートはしっかり取っておくからね!」と言い保健室を出て行った。
玲は不安そうに「ありがとう」と返事をした。
桃は教室に戻った。
すると職員室にいた教師の授業だった。
「遅いぞ。何をしてた?」
教師は聞いてきた。
「玲ちゃんが体調悪そうだったので
保健室連れて行きました。」
「そうか、席に座れ」
「はい」
座る直前に玲の席を見た。
先程書かれていた誹謗中傷は消されていた。
陰湿だなと、桃は思った。
授業が終わった。
保健室に行く前に桃は
「ちょっといい?」と
クラス中に聞こえるよう声を上げた。
クラスメイトが桃に注目した。
同時にピロンって音が聞こえた気がした。
「玲ちゃんの机に、学校に来るな、目障りって書いたのは誰?」
誰も答えなかった。
「黙ってないで答えてよ!!!」
桃は叫んだ。
するとクラスメイトの一人が
「こんな大勢の前で
ハイ、私ですって出てくると思う?少し頭使ったら?」
と言ってきた。
(悔しいけど、その通りだ)
桃は思った。
「その通りね。必ず犯人を見つけてやる」と宣言し教室を出て行った。
捨て台詞だと思ったクラスメイトは
クスクスと笑っていた。
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