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第二章:侵食される心身ー日常化するネカフェ生活と歪んだ言葉
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午前10時。始業時間前に出勤して清掃するだけで疲れる。私は週6日働いても、給料は14万5千円。朝のトースト1枚じゃ午前中働けない。
「おい! 黒羽!」
体力部長が呼ぶ。私は溜め息を吐いて、体力部長のデスクに向かう。
「お前は、今日のクライアント先……分かってるのか?」
「はい、(株)エクスプレス・ロジスティクス・システムズですよね?」
「外回り終わったら、全顧客に今日中に電話しろ!」
体力部長のパワハラが始まった。
「でも、電話は部長の仕事ーー」
私が口答えしようとすると
「その立派な胸、ただの飾りか? もっと活用しろよ! 客に色気出して、身体で稼ぐくらいのこと、考えてみろよ!」
とモラハラ発言をする。電話で出せるものじゃないと思う。私はカバンを手に取って
「外回り行ってきます……」
と言って会社を出た。あのオフィスに居るだけで目まいがしそう。
クライアント先近くの公園。私はコンビニで買ったおにぎり1つを食べている。外回り出てすぐ温めてもらった。でもレジ袋が有料化で節約しないといけないからシールだけにした。カバンの中に入れていたから、潰れているし、冷めている。
「冷たい……」
私は冷めて潰れたおにぎりの包みを公園の燃えるゴミ箱に捨てて、(株)エクスプレスの商談に向かう。
(株)エクスプレス・ロジスティクス・シムテムズ。商談相手のいる部屋まで向かう途中に社内の風景が見えた。パソコンのキーボードを枕にして寝てる人、キーボードの同じボタンしか押していない人、そもそもパソコンの電源が抜かれているのに気づかない人、ゴミ箱には中身が茶色に染まった紙コップがたくさん入っていた。ブラックコーヒーだ。
商談終了後。
「担当の人、武勇伝長すぎ……」
(株)エクスプレスの商談相手は、まず武勇伝を3時間聞かないと案件を取ってくれない。体力部長も同じだ。事務の女性社員によると、
『飲みで「俺の若い頃は~」なんていう武勇伝10回聞かされた……しかも全部同じ話』
だと言う。
《このあとは、顧客に電話……今日もネカフェだなぁ……》
私は足に足かせが付いたみたいな足取りで大堂商事に戻る。
午後11時。
「やっと最後の顧客終わった……」
私はスマホを机に置く。オフィスの時計を見ると、終電が無くなった時間帯だった。
「コンビニで飲み物買って、リラックス・イン……」
私はタイムカードを切って、退社した。
リラックス・イン近くのコンビニエンスストア。
「いらっしゃいませー」
夜勤シフトの男性店員が挨拶する。私は飲み物とお酒のコーナーを見る。
「1番安いレモンサワーは……これか!」
私は174円(税込)を手に取り、レジに向かう。
「お願いします……」
「お預かりします……」
ーーピッ!
「年齢確認お願いします……」
ーーピッ!
「年齢確認しました……174円になります」
「袋入りません」
「かしこまりました」
私は200円を出す。
「200円お預かりします」
「26円のお返しです」
私はシールの貼られたレモンサワーを手に取る。
「ありがとうございました!」
店員が頭を下げる。私はコンビニを出る。昨日はサンサン・ダイニングの店員さんだった。
リラックス・イン鍵付個室。私は個室にあるPCのブルーライトを浴びながら、さっき買ったレモンサワーを飲む。アルコール度数3%の軽い酒。
「お腹は満たされるけど、疲れは取れないな……」
私はスーツを脱いで下着姿で、乾ききっていないタオルを手に取ってシャワー室に向かう。向かう途中で何人かの客に二度見されたが、何も言われなかった。みんな寝付けていない感じの目だった。目の下のクマがよく見えたから。
個室シャワー室。私は髪の毛だけ洗って、あとはハード・パワー(メンズ用のボディシート)で体を拭いて、脱いだ下着を手に取ったまま個室に戻る。
コミックコーナー。リラックス・インは、漫画も多くある。1番古いコミックから最新刊までのコミックまで。
「私の見たい漫画……あった! 『ふらり、今夜の贅沢』!」
『ふらり、今夜の贅沢』は、私と同じ年齢の男性サラリーマンの主人公がたった500円の生姜焼き定食などを前に、恍惚とした表情を浮かべる描写などが描かれている漫画だ。その場面を見るたびに、お腹が鳴る。でも、節約しないと生きていけない。
鍵付個室。漫画に読み耽っていたら、深夜2時になっていた。
《私は一糸まとわない姿で男性サラリーマンが昼食食べる漫画を何時間も読んでいたの!》
私は無料貸し出しのブランケットを体に巻いて寝た。漫画コーナーも一糸まとわぬ姿で行ったが、誰も客は居なかった。
午前5時50分。空腹で何度か目が覚めてあまり寝付けなかった。やっぱり何か食べれば良かった。PCの机の上には捨て忘れたレモンサワーの缶があった。
「ラウンジ行こう……」
私は一糸纏わない姿でラウンジに向かう。どうせ、誰も何も言わないし。
午前6時、ラウンジ。私はトーストを2枚に食べ放題のソフトクリームを塗って食べる。毎日同じ味で飽きるが、月給14万の私は無料の朝食で食いつなぐしかない。私はトーストを食べ終えて、鍵付個室に戻って昨日と同じ黒のシックな下着とスーツを着て出勤する。今日は土曜日だし、午前中だけで終われるなら、少し心が軽くなる。体力部長が居なければいいのに。
「おい! 黒羽!」
体力部長が呼ぶ。私は溜め息を吐いて、体力部長のデスクに向かう。
「お前は、今日のクライアント先……分かってるのか?」
「はい、(株)エクスプレス・ロジスティクス・システムズですよね?」
「外回り終わったら、全顧客に今日中に電話しろ!」
体力部長のパワハラが始まった。
「でも、電話は部長の仕事ーー」
私が口答えしようとすると
「その立派な胸、ただの飾りか? もっと活用しろよ! 客に色気出して、身体で稼ぐくらいのこと、考えてみろよ!」
とモラハラ発言をする。電話で出せるものじゃないと思う。私はカバンを手に取って
「外回り行ってきます……」
と言って会社を出た。あのオフィスに居るだけで目まいがしそう。
クライアント先近くの公園。私はコンビニで買ったおにぎり1つを食べている。外回り出てすぐ温めてもらった。でもレジ袋が有料化で節約しないといけないからシールだけにした。カバンの中に入れていたから、潰れているし、冷めている。
「冷たい……」
私は冷めて潰れたおにぎりの包みを公園の燃えるゴミ箱に捨てて、(株)エクスプレスの商談に向かう。
(株)エクスプレス・ロジスティクス・シムテムズ。商談相手のいる部屋まで向かう途中に社内の風景が見えた。パソコンのキーボードを枕にして寝てる人、キーボードの同じボタンしか押していない人、そもそもパソコンの電源が抜かれているのに気づかない人、ゴミ箱には中身が茶色に染まった紙コップがたくさん入っていた。ブラックコーヒーだ。
商談終了後。
「担当の人、武勇伝長すぎ……」
(株)エクスプレスの商談相手は、まず武勇伝を3時間聞かないと案件を取ってくれない。体力部長も同じだ。事務の女性社員によると、
『飲みで「俺の若い頃は~」なんていう武勇伝10回聞かされた……しかも全部同じ話』
だと言う。
《このあとは、顧客に電話……今日もネカフェだなぁ……》
私は足に足かせが付いたみたいな足取りで大堂商事に戻る。
午後11時。
「やっと最後の顧客終わった……」
私はスマホを机に置く。オフィスの時計を見ると、終電が無くなった時間帯だった。
「コンビニで飲み物買って、リラックス・イン……」
私はタイムカードを切って、退社した。
リラックス・イン近くのコンビニエンスストア。
「いらっしゃいませー」
夜勤シフトの男性店員が挨拶する。私は飲み物とお酒のコーナーを見る。
「1番安いレモンサワーは……これか!」
私は174円(税込)を手に取り、レジに向かう。
「お願いします……」
「お預かりします……」
ーーピッ!
「年齢確認お願いします……」
ーーピッ!
「年齢確認しました……174円になります」
「袋入りません」
「かしこまりました」
私は200円を出す。
「200円お預かりします」
「26円のお返しです」
私はシールの貼られたレモンサワーを手に取る。
「ありがとうございました!」
店員が頭を下げる。私はコンビニを出る。昨日はサンサン・ダイニングの店員さんだった。
リラックス・イン鍵付個室。私は個室にあるPCのブルーライトを浴びながら、さっき買ったレモンサワーを飲む。アルコール度数3%の軽い酒。
「お腹は満たされるけど、疲れは取れないな……」
私はスーツを脱いで下着姿で、乾ききっていないタオルを手に取ってシャワー室に向かう。向かう途中で何人かの客に二度見されたが、何も言われなかった。みんな寝付けていない感じの目だった。目の下のクマがよく見えたから。
個室シャワー室。私は髪の毛だけ洗って、あとはハード・パワー(メンズ用のボディシート)で体を拭いて、脱いだ下着を手に取ったまま個室に戻る。
コミックコーナー。リラックス・インは、漫画も多くある。1番古いコミックから最新刊までのコミックまで。
「私の見たい漫画……あった! 『ふらり、今夜の贅沢』!」
『ふらり、今夜の贅沢』は、私と同じ年齢の男性サラリーマンの主人公がたった500円の生姜焼き定食などを前に、恍惚とした表情を浮かべる描写などが描かれている漫画だ。その場面を見るたびに、お腹が鳴る。でも、節約しないと生きていけない。
鍵付個室。漫画に読み耽っていたら、深夜2時になっていた。
《私は一糸まとわない姿で男性サラリーマンが昼食食べる漫画を何時間も読んでいたの!》
私は無料貸し出しのブランケットを体に巻いて寝た。漫画コーナーも一糸まとわぬ姿で行ったが、誰も客は居なかった。
午前5時50分。空腹で何度か目が覚めてあまり寝付けなかった。やっぱり何か食べれば良かった。PCの机の上には捨て忘れたレモンサワーの缶があった。
「ラウンジ行こう……」
私は一糸纏わない姿でラウンジに向かう。どうせ、誰も何も言わないし。
午前6時、ラウンジ。私はトーストを2枚に食べ放題のソフトクリームを塗って食べる。毎日同じ味で飽きるが、月給14万の私は無料の朝食で食いつなぐしかない。私はトーストを食べ終えて、鍵付個室に戻って昨日と同じ黒のシックな下着とスーツを着て出勤する。今日は土曜日だし、午前中だけで終われるなら、少し心が軽くなる。体力部長が居なければいいのに。
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