〜風の絆と涙〜

第１章：偶然の出会い

　白桜はくおう医科大学附属高校３階。俺の名は、葵心あおいこころ。女子みたいな名前だが、俺は男だ。みんなからは心しんと呼ばせている。俺はただ平々凡々な日々を送っている高校２年生だ。成績も卒業できる程度、進学先も決めている。ただ、俺には出来ないことが１つだけあった。彼女が出来ないことだ。俺より少し悪の奴が、彼女できてガリ勉や俺のような平凡男性に彼女できないってどんな世の中なんだ。今は、昼食時間で俺は弁当を食って校内を探索していた。食後の運動みたいなものだ。すると、大荷物を抱えて歩いている女子生徒を見かけた。生徒が提出したノートなのか天井に届くか届かないかぐらいの高さがある。
《絶対、崩れる……》
俺が、山積みのノートを見つめていると案の定、崩れた。
「また、落とした……」
その山積みのノートを持っていた女子生徒は見覚えがあった。小学校卒業と共に別々になった桜川病夢さくらがわやむだ。
「手伝おうか？」
俺もノートを手に取る。
「あ、ありがとう……」
病夢は返事をしてくれた。まだ、俺だと分かっていない。
「どこまで持っていくの？」
俺はこの山積みノートをどこまで持っていくのか聞いた。
「２学年室まで」
病夢が答える。
「分かった……」
俺は落ちたノートと、山積みになったノートの半分を持った。
「何の教科のノートなんだ？」
俺が問うと
「日本史ＡとＢのノートかな？」
病夢が答える。
「だから多いのか……」
俺は半分ぐらいしか持ってないが、それでもかなり重い。
　２学年室。
「ここまでで大丈夫」
病夢が答える。
「そうか……毎回こんなの持っていくのか？」
俺は病夢に聞く。
「いや、今日はたまたま担当の生徒が休みで……」
病夢が答える。
「あと、俺のこと見覚えないか？」
俺は質問する。病夢なら、俺のこと分かるはず。
「え！　えーっと……もしかして心くん？」
病夢が正解を出す。
「正解……４年ぶりだな！」
俺は正解と答える。
「え！　本当に心くんなの？　なんか小学生の時と全然違うし……」
病夢はビックリしている。
「あの頃は、まだガキだったし……」
俺は、制服のズボンポケットに手を入れる。
「再会できてよかったよ……」
俺は背を向いたら、突然病夢が
「うっ！」
と。苦しみ出した。
「ど！　どうした！　病夢！」
俺は病夢に歩み寄る。右胸を抑えている。
「とりあえず、先生呼ばなくちゃ！」
俺は隣の２組に
「苦しんでいる生徒がいるから、誰か先生を呼んでくれ！」
と。頼む。俺と駆けつけた先生、病夢は救急車に乗った。一体、病夢の身に何が起こったんだ？