君と僕のアンバランス 〜元男子校で、女子は私ひとりでした〜

古波蔵くう

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第二章:初めての友達

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 鳳凰学園、1年1組。
「みんな! 昨日廃校が決定したかもしれないが、理事長が今日から共学化してくれてな……女子生徒が早速1人転入してきたぞ! 入ってきてくれ!」
柊木担任が合図を出す。私が教室の戸を開けて入ると
「うぉー! 女子だ!」
「すっげぇ! 本気マジかよ! 可愛い!」
「彼女にすっか?」
「気が早ぇよ!」
と口々に言う男子生徒。うるさい。ここは動物園か何かだろうか。柊木担任は黒板に私の名前を書く。
「おい! 数分だけ静かにしろよな! 今日から転入した紀詩織だ! 仲良くしろよ?」
柊木担任が私の名前だけを言う。
「じゃあ、紀さんの席は……」
「柊木先生! 詩織ちゃんはすいの隣がいいと思いまーす!」
と言って、その席の男子生徒を突き飛ばす。
「何すんだよ!」
その席にいた男子生徒が怒鳴る。
(こ……怖い……)
私はビクビクしながら、その席に着く。突き飛ばされた男子生徒は、本来私が座るはずだった席に移動した。私の隣には、暗い雰囲気をした翠という名の男子生徒がいた。私はとにかく、
「よろしくね? 翠くん?」
と挨拶する。翠は
「俺、浅葱翠あさぎすい……」
と。蚊の鳴くような声だった。そしていつも通りのHRが始まる。私はまだ教科書が届いていないため、ノートに書き留める。
 昼食時間。私が弁当を机の上に出すと
「詩織! 俺と食わねぇか?」
「いや、オレとだろ!」
「いやいや、俺様とだろ!」
「僕と食うのが決まり!」
「なんだとゴラァ!」
と男子生徒たちが私を取り合う大乱闘を繰り広げた。私は怖くなって弁当を持って教室を出て行った。
 中庭。
(なんとか……逃げてこれた……)
私は校舎に挟まれた中庭へ逃げてきた。中庭には、1人の男子生徒が寂しく弁当を食べていた。私が隣に座ると、その男子生徒は一定の距離を取って腰を下ろす。
「え?」
私が顔を見ると、翠くんだった。
「翠くん? なんで私から離れるの?」
私が問いかけると、翠は箸を止めて
「俺、女子苦手なんだよ……中学時代
『健太さ、咲のこと好きなんだよな? でも、俺から見たら、全然釣り合ってねぇじゃん』といったら、女子生徒から白い目で見られたし、いじめられた……だから、女いないここに来たって言うのに、廃校を免れる代わりに共学って……」
翠の持っていた割り箸が折れる音がした。
「購買で もらってくるか……」
翠くんは弁当を包んで去っていった。
 1年1組。私が弁当を食べ終えて、教室に戻ると、翠がクラスメイトに囲まれていた。
「翠、お前……しおりと飯食ってたろ?」
「うるせぇな、が……」
「翠さ、美咲台中みさきだいちゅう出身なんだけどよ? こいつ女子生徒から嫌われていて恐怖症なんだわ」
「はぁ? 女子恐怖症なのに一緒に飯食ってたのか?」
男子生徒たちは、予鈴が鳴るまで翠くんを揶揄っていた。
 放課後、帰りのHRが終わると大勢の足音が聞こえてきた。入ってきたのは、たぶん3年生の先輩たち。
「詩織だろ? マネージャーしない?」
バット持っている先輩が言った。野球部だろう。
「いやいや、バレー部のマネしない?」
バレーボール持っている先輩が言った。
「いーや! バスケ部のマネしよう!」
バスケットボールを持っている先輩が言う。他にもテニス部やハンドボール部などがいた。
「……ッ!」
私は怖くなってカバンを手に取って逃げ出す。
「あ、おい! 待て!」
体育系部活の先輩たちが追ってくる。
(はやく……逃げなきゃ!)
 文化系部室棟。私は取りあえず、どこでもいいから部室に逃げ込んだ。逃げ込んだ部屋の中には、転校する前の高校にあったプラネット出版の『りんご畑』があった。私が手に取ろうとすると、
「やめろ!」
と止められた。振り向くと、ライトノベルを読んでいた翠くんがいた。
「それ、保存用だから触るな!」
翠くんは、ここの部活に所属しているのか。
「ここは、何部なの?」
「部じゃねぇよ……同好会だよ! 読書同好会」
翠くんは、紙を取り出す。
「入部したかったら書け……」
翠くんは、席に戻ってライトノベルを読み直した。私は夜になるまで、その部室にいた。
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