可愛すぎる君に、恋をした

第一章：真夏の青い奇跡

※ この作品の表紙画像（または、使用されている画像）はAI生成ツールを利用して作成されています。
　俺の名は、夕河蒼太ゆうかわそうた。今は上下水着とゴーグルをして、海を眺めている。海の流れる音は癒される。俺は、海には入らない。海は眺めるものだから。今は、夏休みで海には浮き輪ではしゃぐ子どもや水着を着て水を掛け合う男女の姿が見える。
《海の流れる音が聞こえない……》
昼下がりだから、人だかりが多くなった。
《小腹が空いたしかき氷でも食うか……》
俺は立ち上がり、波打ち際を歩いていた。足に海の水が当たると、とても涼しくなる。白い砂浜に照りつける太陽で、キラキラと宝石のように光る青い海。これは、この地域でしか見れない光景だ。ふと、足元に目をやると水着が落ちていた。いや、流れ着いていた。
《誰の水着だ？》
手に取ると、ブラトップだった。逆三角形で青と空色と黒のフリルが胸あたりに刺繍されている。俺が海に目を向けると、１人の女性が片手で胸を隠しもう片方の手で振っていた。
《あの女性の水着か！》
俺はゴーグルを装着し、クロールで女性の元に向かった。数分泳いで着いた。
「あの……これ……流れて……」
俺は息を切らしながら、女性に水着を返した。
「あ……ありがとう……」
可愛い声だ。俺は顔を上げると青い瞳をした女の子だった。水滴の滴る長い髪、海と同じくキラキラ光る青い瞳、整った顔立ち。うまく言語化できないけど可愛いことは分かる。すると、女性は
「どんなして……着ければ……」
と。表情を歪める。俺は辺りを見渡す。確かにここは人が多い。
「じゃあ、肩まで海に浸かって……そして後ろ向いて……」
俺はその娘こに指示した。その娘は俺に従い、肩まで海に浸かって背を向ける。その娘の髪は水に濡れていても艶がある。触りたくなる。けど、今はダメだ。その娘はブラトップを着けた。
「じゃあ……俺はこれで……」
俺が泳ごうとすると、その娘は俺のラッシュガードの袖をつまむ。
「どうしたの？」
俺が問うと、その娘は指で下を示す。俺は赤面した。
「まさか……下も流されたの？」
俺が聞くと、その娘も赤面して目を伏せた。俺は辺りを見渡す。すると、少し距離はあるが人がいない沖を発見した。
「ちょっと遠いけど、あそこの浅瀬まで行こう……」
俺はその娘を連れて、人のいない浅瀬に向かう。
　人気のない浅瀬。俺はラッシュガードを脱ぎ、不器用に畳む。
「これ、腰に巻いて……」
俺はその娘に背を向ける。初対面の女の子のデリケートゾーンなんて、見たいと思っても見ちゃいけないことぐらい分かっている。
「あ、ありがとう……」
海で困っていたその娘は、眩しい笑顔を俺に向け砂浜を歩いて行った。
「服に着替えたら、返して欲しいけど……」
俺も海から上がり、本来探していたかき氷を買いに行く。
　夕方。日の沈む海を眺める。やっぱりどの時間も海はキラキラと、宝石のように輝いて見える。太陽が海に沈んでいく。オレンジ色の海に沈んでいく。俺が海を眺めていると
「隣いいですか？」
と。あの時海で出会った女の子が来ていた。今度は、水着の上にTシャツという身軽な格好。長い髪にはまだ水滴が滴り落ちている。青い瞳はキラキラ輝いている。
「どうぞ、どうぞ」
俺は席を譲る。かき氷の空は、俺から見て左に置いているし。その娘は、俺の隣に座り海を眺めていた。けど、俺は海に目を向けることはできなかった。俺は、隣に座るその娘を見ていたからだ。その時の時間はあっという間だった。太陽はもう海の中に沈み夜になっていた。
「じゃあね」
その娘は、小さく手を振って去っていく。俺はその娘の姿が完全に見えなくなるまで、その娘を見続けた。