〜裸族が恋なんてしていいの?〜

古波蔵くう

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Episode.2:共感の人

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 高校2年次。なんとか1年間裸族であることを隠し通せた。残りあと2年間だ。今は、自己紹介をしている。大体、中間あたりまで終わったと思う。すると、今度は私の丁度隣の席の男子生徒が立ち上がる。
「皆様、初めまして……俺は堀助平ほりすけひらと申します……よろしくお願いします」
堀くんが自己紹介した。すると、1番最初に自己紹介した男子生徒が
「はぁ? お前の名前は『スケヒラ』じゃなくて『スケベ』だろう?」
と。言う。すると、男子生徒全員が笑う。
「確かに、スケベと読むかもしれなけど……あだ名でそう呼べばいい」
堀くんはそう言って、元の席に腰を下ろす。私が堀くんを見ると、耳が赤くなっている。進級早々、恥ずかしい思いをしたのが分かる。
 数十分後。遂に私の番が来た。
「皆さん、初めまして……裸野着夢と言います……好きな呼び方で呼んでください」
私が自己紹介を終えると、クラスがシーンと静まり返る。
「『むぅちゃん』とでも呼ぼうか?」
とか
「北から来たのか?」
などの声がだんだん聞こえてきた。自分でも思うけど可愛い名前だと思ったことはない。
 下校時刻。私が帰り支度を進めていると
「裸野さん?」
堀くんが私に話しかける。
「な……何ですか?」
私はびっくりして声が震えた。男子生徒に話しかけられたのは、初めてだった。
「お互いのこと……もっと知りたいからさ、カフェに行かない?」
堀くんは、学校前のカフェに誘う。私は断れる理由も見つからず、堀くんと共にカフェに立ち寄った。
 カフェ、ラブドール学園高等学校前店。
「じゃあ、改めて……俺は堀助平だ」
堀くんは、アイスティーを一口飲み改めて自己紹介した。
「わ……私は、裸野着夢です」
私も自己紹介する。
「ねぇ……さっきから緊張ししすぎじゃない?」
堀くんが私が挙動不審なのが、分かるみたいだ。
「声かけられたこと……あまり無いから」
私がその理由を言うと
「そっか……裸野って苗字珍しくないか?」
堀くんは、私の苗字が珍しいと言う。
「確かに、苗字に『裸』が付くのは……少ないかもね……堀くんの名前も珍しいと思うけど……」
私は堀くんの名前が珍しいと思った。
「昔の人は俺の名前見たら、絶対『すけべえ』と読むかもね……」
堀くんは、メニューを開く。
「堀くんは、何で私を?」
堀くんは、なぜ私をカフェに誘ったのだろうか。クラスメイトなら、何人か居ただろうに。
「なんか、隠しごとしてるでしょ?」
堀くんが私に真面目な眼差しを向ける。
《もしかして、私が裸族だってバレた?》
私は口ごもる。自分の口からじゃ、とてもじゃないけど言えないし言いたくない。絶対に隠さないといけない。
「俺も隠し事話すから、遠慮しなくてもいい……俺は基本、驚かないよ」
堀くんはアイスティーをまた一口飲む。わたしは口を開くことができなかった。
「まぁ、無理して話す必要はない」
堀くんは諦めてくれたみたいだ。
「俺は一応、スケベって呼ばれているけどムッツリスケベなんだよ」
堀くんは、隠しごとを言った。堀くんは、女性の裸体とかには興味無さそうに見える。
「それって、私が聞いても大丈夫なの?」
私が聞くと
「別に、いずれバレると思うし……高校卒業すれば忘れるだろ?」
堀くんは、そう言った。その後、堀くんは食べたい物がなかったのかメニューを閉じて、アイスティー代を払って帰って行った。私が裸族ということを隠し通すしかなかった。
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