黒衣の女

月詠嗣苑

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束の間の逢瀬

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「いやぁ、食べたねぇっ!!」
「食べた!食べた!」

 久し振りに会った美久は、すっかりお母さんの顔をして、ベビーカーで静かに眠ってる愁くんの顔を眺めてた。

「早紀もさ、誰か好きな人見付けて、早く結婚しなさいよぉ!いいものよ。じゃ、私和希迎えにいくからぁ。じゃっ!」
「うん···」

 美久は、愁くんを起こさないように静かに尚且つ早くベビーカーを押し、和希くんが通ってる塾へ迎えにいった。

「結婚···か」

 チラッと腕時計を見ると、待ち合わせの時間にはまだ1時間あった。

(会うだけ。少し話したら帰らないと···)

 少し駅ビルでショッピングを楽しむと、待ち合わせ10分前で、慌ててドッキーニへ向かった。

 和倉さんは、既に来ていてスマホを見ていた。

「あの···」

 スマホから顔をあげた和倉さん···

「やぁ、元気そうだね。座って···」

 椅子を引き目の前に腰掛けるも、なかなか言葉が出ない···

「どう?」
「うん。まぁ···。それよりも話って?」

 和倉さんは、少し迷って、

「出よっか!近くに車停めてあるから、少し流さないか?」

 私が答える前に手を取り、歩きだす。

「良かったよ。早紀が、元気そうで···」
「うん。和倉さんも···。玲奈さんは?」
「まぁ、元気かな?今年、子供が生まれるから···」
「そう、だね。結婚したんだし···」
「······。」

(なんだろう?結婚して幸せなはずなのに···)

 車に乗っても和倉さんは、なかなか口を開こうとしなかった。

「今日って、何時までいれる?」
「今日は···」

(確か、お義父さんは仕事だから···)

「5時かな?食事の支度もあるし···」
「早紀は···」

 何かを言いかけて止まる和倉。

「よしっ!決めた!」
「えっ?」

 いきなりそう言い、和倉さんは車を飛ばして···

「和倉さん?ここ···」

(ラブホテル。何をするとこかは、知ってる)

「行こっ!時間がないから!」
「えっ?えっ?」

 訳がわからず、グイグイ手を引っ張られる早紀。

 ガチャンッ···

 冷たく重い鉄製のドアを閉め、中に入る。

「和倉···さん?」

 つかつかと窓の方へ向かった和倉さんは、

「すまなかった!!」

 いきなり私に向かって土下座をした。

「はいっ?えっ?なん、で?」

「···あの時···あの···写真···」

 写真···。私が義父に犯されてる写真を撮ったのは義父。そして、それを和倉さんに送ったのも···義父。

「いいよ。もう···」

(忘れたくても、忘れられない)

「違うんだ!俺、俺···あの時···」
「はいっ?」

 和倉さんの口から出た言葉は、早紀を更に傷つけた。

「玲奈と···」
「田蔵、さん?が?」
「あの写真が、届いた時···いたんだ。俺、あいつと···」

(嘘···。夜だよ?なんで?)

 土下座をしながら喋る和倉に、立ち尽くす早紀···

「一度だけ···一度だけのつもりだった。でも、あの写真が届いて···俺、どうかしてたんだ。で、少し頭冷やそうと思ってバスルーム行って、戻ったら···」

 ゴクッ···

「玲奈が、俺のスマホ弄ってて···玲奈が···」

(あれを回したのって···玲奈さん?義父がしたのかと···)

「悪いと思ってる。今でも!謝りたかった。けど···怖くて出来なくて···ごめんっ!」
「いいよ、もう···」

(謝られても困る)

「早紀が辞めてから、玲奈が妊娠してるのわかって。責任取れって···それで、俺···ごめんっ!」

 和倉さんは、頭を何度も何度も床に打ち付けるように謝り続けた。

「もぉ、いいから。ねっ、頭上げて。和倉さん···」

 それでもなかなか頭を上げない和倉を起こそうとして···

 ドタッ···

「わっ!!」

 バランスを崩して、そのまま床に···

「早紀···」

 懐かしい和倉さんの匂い···

 私、いま和倉さんと···

 二人の唇が重なり、静かな時間が流れる···

「ご、ごめん。つい···」

 信じられなかった···

「和倉さん···」

 今度は、自分から唇を押し付けていった。

「早紀···」

 何度も何度も互いに唇を重ね···

 ゴクッ···

 雅彦の手が、早紀のブラウスのボタンに掛かる···

「ここで···?」
「駄目?」

 子供みたいな可愛い笑顔の雅彦の髪を触りながら、

「ねぇ、キス···して?」


「愛してる。早紀」

 耳元で小さく囁く雅彦の背中に手を回し、目を閉じる早紀。

(和倉さん···)

「抱いて···」

 背中に伝わる雅彦の手が、早紀のブラのホックを外し···

「早紀、柔らかいんだ」

 雅彦は、早紀の大きな乳房を揉みながら、優しく乳首を吸い込んでいく。

 ふぁっ···

 初めて感じる雅彦の舌···

 チュバッチュバッと優しく吸い込み、右手が段々と下に滑っていく。

 あっ···

「柔らかいんだね。ここ。早紀···」

 雅彦の身体が自然と早紀の上に伸し掛かる。

「雅彦···」

 早紀は、初めて和倉を下の名前で呼んだ。

「ずっと好きだった。ずっと···」
「私も···」
「ちょっと待って···」

 雅彦は、手を伸ばしゴソゴソと何かをし、

「いい···かな?ゆっくりするから···」

 するのに断るのもおかしだと思ってるのだろう。少しはにかんだ笑いになるふたり···

 ズッ···ズチュッ···ズンッ···

 自分の身に過去何があったのか?は、さておきいまやっと1つに慣れた喜びを味わうふたりは、繋がったままキスをする。

「なんか、ドキドキしてきた···」
「もっと、させてあげる」

 そういい雅彦は、腰を動かし始める···

「雅彦···」

 早紀は、雅彦の腕を掴むと、

「こっちがいいな」

 恋人掴みをし、ゆっくりと突きあげる。

 あっ···んんっ···

 淳一とは違う、緩やかな波を身体の中心で受け止める。

「熱いの···」
「そう?暖かいけど···」

 波に身体を預けながら、

「違うの。あなたのが···。えっち!」
「早紀。俺、年かな?もう出そう。待ってて」

 片手を離し、早紀の腰を支えつつ、奥までグイグイ攻め続け···

「ウウッ···」

 一言いい早紀に伸し掛かる。

「速い···」
「ごめん?次は···」
「違うの。あなたの胸の動きよ···」
「そっちか。けど、早紀も···」

 雅彦は、早紀の胸の真ん中に耳を当てる。

 ドクッドクッと激しい音が聞こえる。

「なんか、不思議なこと感じね···」
「そうだな。上行こっか」

 床からベッドへと移り、雅彦に抱き寄せられる早紀···

「長かった···」
「うん」

 雅彦は、早紀の髪を触りながら、深くため息をついた。

「早紀···俺はお前とやり直したい」
「えっ?でも···」

 突然のことに、戸惑う早紀。

「玲奈には、正直に言うし。慰謝料でも養育費でも、払い続けるから!」
「でも···」

 早紀は、不安になった。

「大丈夫だから。ちゃんと離婚して、お前を迎えに行くから。なっ!」
「でも···」

(お願い!私の不安を誰か消して!不安を現実にしないで!)

 束の間のふたりの時間を楽しみ、雅彦に駅まで送って貰った早紀。

「俺、ちゃんと···」
「うん。無理だけはしないで。お願いだから···。じゃ···」

 走り出す雅彦の車を見つめる早紀。

 そして···

「あれは···」

 一人の男が、早紀をジッと見つめていた。

「あいつは···」


「ただいま···」

 淳一は、玄関で一声掛けてから、中に入る。

「あ、お帰りなさい」

 エプロンで手を拭きながら、笑顔で俺を出迎える早紀。

「うん。今日、どうだった?」
「それがね!!」

 俺の鞄や服を持ちながら楽しそうに話始めるが、

「二人目?」
「そうっ!!可愛かったわよ。もちろん、和希くんの話や旦那さんの愚痴とか散々聞かされてたけど···」

❨じゃ、あれは見間違い?でも、服が···❩

「その後は?」
「えっ?あっ、まぁ···ブラブラと」

 慌てて言葉を濁す早紀だったが、

「ねっ!お腹空いたでしょ?今日は、お義父さんの···」

 急かすようにテーブルにつかされる。

「ん?あ、あぁっ···」

❨気のせいか?❩

 強引に自分の女にしたものの、いざ他の男と一緒にいるのを見たとなると···

❨カマかけてみるか?でも、そこまでしてもし違ってたら?まっ、いいか。今日は···❩


「あ、あとこれ···。誕生日おめでとう、お義父さん」

 誕生日の言葉と共に渡されたのは、綺麗に包まれた細長い箱。

「ネクタイ。ほら、いま持ってるのだいぶよれてきてるし」
「ありがと。こんなの良かったのに···」

 そうは言ったが、嬉しさは隠せない···

 だが···

「早紀?ここ、どうかしたか?」

 風呂に入ってる時、早紀の首筋や乳房に薄くついたアザがあった。

「えっ?あっ···、どう、したのかな?虫刺されかも」

 そう早紀は言ったが、今はまだ4月。蚊がもう?

「そうかもな。今年は2月でも暑かったからな」
「うん。そう、そう。」

❨でも、一週間もたなかったけどな❩

「早紀···愛してる。お前は、俺の女だ···」

 湯に浸かりながらも、早紀の乳房を揉み、乳首に吸い付く···

 んっ···んんっ···

「早紀···俺の頼み聞いてくれるか?」
「えっ?頼み?なに···んっ」
「お前···パイパンって知ってるか?」
「知ら···ないっ···あっ」

 下もかなり濡れてきてる。

「ほら、毛が生える前の···」

 ピクンッ···

❨どうやらわかったらしいが···❩

「いいだろ?お前は、俺のものだし···」

 早紀は、答えず俺に抱きついてくる。

「···よ。」
「早紀?」
「してあげる。でも、上手く出来るかわかんないから···」
「あぁ···」

❨どういう心境の変化だ?まさか、本当に?❩

 早紀は立ち上がり、洗い場に降り、

 ゴクッ···

 浴槽の縁に片足を掛け、泡立てたボディーソープを陰毛にこすりつけ始めた。

「本当に?早紀、やってくれるのか?」
「うん。誕生日だし、まだ大丈夫だもん。年齢的に···」

 俺の顔を見ずに答える早紀は、いったい何を考えているんだろうか?

 浴室内に、ジョリジョリという懐かしい音が聞こえ始め···

「ど、どうかな?」

 泡を洗い流した秘部を見せてくる。

「触って···」

 早紀は、淳一の手を取り、秘部に当てる。

「どうかな?」
「だめだな」

 淳一は、立ち上がり洗い場に立つと、ゆっくりと早紀を触り始める。

 クチュクチュと指先に感じる湿り気に、淳一は悦び早紀は、

 んっ···んんっ···んっ···

 啼く···。

「まぁ、いいか。ここもいい感じだし···」

(わかってはいた。誰が好き好んで、他の男に抱かれた女を···写真が出回った女を愛すと言うのだろうか···)

「挿···れて···」

 早紀は、そう言い壁に手をつき、尻を向ける。

「早紀···」

 腰を支え、背後から硬くなったペニスを一気に埋め込んでいく···

 あぁっ···

(雅彦さん···。あなたの事好きでした···)

 淳一を受け入れる事で、自身の中から雅彦の気配を消していく。

(それでいい···それで···)

 グニュッ···

 あぁっ!!

 パンッ···グニュッ···

 淳一は、目を閉じゆっくりと奥まで突く···

「早紀···アァッ···いいよ。なんか···」

 あっ···あっ···

 突く度に感じる早紀の肉壁の絡み具合が、いつもよりいい···

「早紀···。お前、俺の子供産んでくれ···早紀···」

 はっ···んんっ···あっ···

「早紀···早紀···」

 出そうになるのを耐え、時折乳房を力強く揉み、乳首を潰すように捏ねては、また突き始め···

「だめっ···あっ···あっ···」
「待てよ、まだだ。まだだぞ、早紀」

 激しく突きながらも、乳房の愛撫を止めず、

「早紀っ!!」
「んぁぁぁっ!!!」

 浴室にふたりの声が、重なり···

「早紀···アァッ···アァッ···」

 淳一は、早紀に覆いかぶさりながら自身が落ち着くのを待ち、抜きながらシャワーを流す。

「変な感じだった···」

 顔を紅くし、息を荒げ笑う早紀···

「誕生日、おめでと。あなた···」

 そう言い、淳一に唇を押し付けた。
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