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転生
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ある朝、槍の老人ガストンがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝ている間にエルフに生まれ変っているのを発見した。
「耳が邪魔だ」
ガストンはつぶやいた後、横向きだった体を仰向けに変え、視線を上向きにした。真正面に天井が見えるようになると、枕と側頭部に挟まれていた少し長い耳が自由になった。
耳を触ってみる。眠る前と違って先が尖っていた。
独り言を言ってる自分の声が澄んでいるのにガストンは気づいた。もう嗄れてはいない。
喉を押さえてみる。外見に特に変わったところはないようだ。少し歌ってみた。若い頃みたいに高音がよく伸びる。
上身体を起こす。妙に軽い。体重が減ったというより、筋力が有り余っているのだ。
眠る前に割れた膝に痛みはなかった。治ったようだ。治る? 回復魔法も使わずにどうやって??
毛布をめくってみた。長年、陽に灼かれ、風に吹かれた赤銅色の肌。その色が薄れているように思えた。膝に傷などなかった。もとからそうであるようにつるりとしていた。そして、ガストンは膝の傍らに金属製の蝶番のようなものが落ちているのをみつける。
「これが昨日までの膝か」
ドクターワイズマンが異世界の医療技術を使って行った膝の人工関節置換術。手術は成功し、ガストンはまた歩けるようになっていたのだが、金属と人工樹脂でできた膝は、新しい身体から拒絶されたようだった。
ガストンはベッドを降り、部屋の壁に埋め込まれている鏡で自分の姿を見た。
ブルネットで黒い瞳、浅黒い肌の老人はそこにはいなかった。鏡に映っているのは、金髪で青い瞳をした若い男だったのである。しかも、長く尖った耳をしている。本当にそれが自分なのか確かめるように、ガストンは右手をあげて鏡のなかの自分に挨拶する。
「よお、おはよう。おまえ、どう見てもエルフじゃねえか……」
エルフ。ガストンは若い頃からエルフが好きになれなかった。妖精だか神にいちばん近い種族だか知らないが、お高くとまっている態度が鼻持ちならねえと。いいヤツはずっと一緒に冒険していたララノアっていう女エルフぐらいで、あとは一緒にいたくないぐらいの奴らだ。しかし、今やガストンはエルフになってしまったようなのだ。
ガストンの新たな生活が始まっていた。
「耳が邪魔だ」
ガストンはつぶやいた後、横向きだった体を仰向けに変え、視線を上向きにした。真正面に天井が見えるようになると、枕と側頭部に挟まれていた少し長い耳が自由になった。
耳を触ってみる。眠る前と違って先が尖っていた。
独り言を言ってる自分の声が澄んでいるのにガストンは気づいた。もう嗄れてはいない。
喉を押さえてみる。外見に特に変わったところはないようだ。少し歌ってみた。若い頃みたいに高音がよく伸びる。
上身体を起こす。妙に軽い。体重が減ったというより、筋力が有り余っているのだ。
眠る前に割れた膝に痛みはなかった。治ったようだ。治る? 回復魔法も使わずにどうやって??
毛布をめくってみた。長年、陽に灼かれ、風に吹かれた赤銅色の肌。その色が薄れているように思えた。膝に傷などなかった。もとからそうであるようにつるりとしていた。そして、ガストンは膝の傍らに金属製の蝶番のようなものが落ちているのをみつける。
「これが昨日までの膝か」
ドクターワイズマンが異世界の医療技術を使って行った膝の人工関節置換術。手術は成功し、ガストンはまた歩けるようになっていたのだが、金属と人工樹脂でできた膝は、新しい身体から拒絶されたようだった。
ガストンはベッドを降り、部屋の壁に埋め込まれている鏡で自分の姿を見た。
ブルネットで黒い瞳、浅黒い肌の老人はそこにはいなかった。鏡に映っているのは、金髪で青い瞳をした若い男だったのである。しかも、長く尖った耳をしている。本当にそれが自分なのか確かめるように、ガストンは右手をあげて鏡のなかの自分に挨拶する。
「よお、おはよう。おまえ、どう見てもエルフじゃねえか……」
エルフ。ガストンは若い頃からエルフが好きになれなかった。妖精だか神にいちばん近い種族だか知らないが、お高くとまっている態度が鼻持ちならねえと。いいヤツはずっと一緒に冒険していたララノアっていう女エルフぐらいで、あとは一緒にいたくないぐらいの奴らだ。しかし、今やガストンはエルフになってしまったようなのだ。
ガストンの新たな生活が始まっていた。
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