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卒業
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「なあ若葉、引っ越しの荷物まとめるの手伝おうか?」
卒業式から数日後、桜井陽真が僕(遠藤若葉)の部屋に入って来てそう切り出した。
「ありがとう。でも、陽真も僕もこれから社会人として他のことも色々準備しないといけないし大丈夫だよ。1人でやる。」
「大丈夫か?若葉の部屋わりと散らかってるけど、1人でまとめられるか?」
「もう!大丈夫だから。陽真はさっさと自分の部屋に戻りなよ。いると気が散る。」
「はいはい…わかったよ。出て行きますよ。」
そう言って陽真はしぶしぶ部屋を出て行った。
「はぁ……」
……ちょっと言い方きつ過ぎたかな。
いや…あれぐらい言わないとあいつは自分のことを後回して僕のために時間を使っちゃうからあれでいいんだ…いいんだ……
僕と陽真は4年間、同じ大学に通い、同じアパートで暮らす恋人同士だった。
しかし卒業を機に、別々の道を歩むことになる。
僕は東京のIT企業に就職が決まり、陽真は地元の大阪のゲーム会社でプログラマーとして働くことになった。
遠距離になることは寂しいけど、入りたかった会社に就職出来ているから正直嬉しさの方が上回ってる。
こんなこと陽真には言えないけどねw
◇◇
「今日が最後だね陽真。」
「そうだな…。何かあってもなくても声が聴きたくなったらいつでも連絡して…いや……絶対しろ。そうじゃないと俺が寂しい。」
陽真はそう言って、僕の肩を抱き寄せた。
僕は陽真の胸に顔を埋め、小さく頷いた。
「陽真こそ連絡してね。大阪は遠いけど、海外みたいに行けない距離じゃないから行けるときに新幹線で会いに行くよ。」
「ああ…」
僕達の間に、しばらく沈黙が流れた。
「なあ、若葉。最後に、もう一度だけ…」
陽真はそう言って、僕の唇に自分の唇を重ねた。
「…ぅ……んぅ…ぁ………」
僕は目を閉じ、陽真のキスに応えた。
翌朝、寝ている陽真を置いて僕は東京へと旅立った。
それから少しして目覚めた陽真は見慣れた部屋で、僕の残り香を感じて独り静かに涙した。
◇◇
東京での生活は、想像以上に忙しい。
僕は仕事に追われ、陽真と連絡を取る時間もなかなか作れなかった。
「遠藤さん、こことあそこ間違ってる。すぐ修正して。」
「はい…」
……難しいな。
でもやりがいはある…頑張ろう。
一方、陽真もプログラマーとして多忙な日々を送っていた。
「桜井さん、これもお願いします。」
「はい…」
……終わらない、今日も残業か。
若葉の声が聴きたいけど…連絡する余裕も……
はぁ…余計なこと考えないで仕事…仕事…。
社会に放り出され、お互い慣れない仕事で手一杯だった。
そんなこんなで時が経つほどに少しずつ距離が生まれていった。
そんなある日。
ちょうど休日の日に、久しぶりに陽真から電話がかかってきた。
『はい、もしもし~陽真久しぶり。』
『久しぶり…あのさ…若葉伝えたいことがあるんだけど…』
『何?』
……有給取って東京に遊びに来てくれるとかだと嬉しいな。
それかどっか2人で温泉旅行も……悪くないな~あ~楽しみ♪
『…若葉、俺達もう終わりにしよう』
『は?なんで??』
……遊びに来たり、温泉旅行は……?
『もう…会うことも中々難しいだろ…それに、お互い新しい生活に慣れるのに精一杯で、連絡も結局あまりしてないし…」
『……嫌だ。僕に悪いところがあったら直すから別れたくないよ。』
『ごめんな…若葉に問題があるわけじゃなく、俺に問題があるから無理なんだ。俺、若葉には幸せになってほしいんだ。だから俺のことは忘れて近くにいる人と幸せになってくれ。じゃあな。』
陽真はそう言って、一方的に電話を切った。
僕は受話器を握りしめたまま、しばらく動けなかった。
◇◇
1ヶ月後。
僕は有給を取って陽真に会いに大阪へ向かった。
しかし、会っても陽真は僕に素っ気なかった。
「もう、終わりにしようって言ったよな?俺達は、もう…無理だよ。」
陽真はそう言って、僕に背を向けた。
僕は何か言っても突っぱねられる気がして何も言えなかった。
東京へ帰る新幹線の中で、僕は陽真との思い出を振り返っていた。
楽しかった大学生活、初めて二人で旅行した海、そして、別れの日のキス。
「陽真…」
4年間、共に過ごした彼との日々は、僕にとってかけがえのないものだった。
しかし僕達の関係は、大学卒業と共に枯れてしまった。
どちらが悪いわけではない…そういう運命だったんだ。
そう僕は考え、陽真との思い出を胸に、新しい人生を歩み始めることを決意した。
……さようなら、陽真。今までありがとう
僕は心の中でそう呟いた。
終わり
卒業式から数日後、桜井陽真が僕(遠藤若葉)の部屋に入って来てそう切り出した。
「ありがとう。でも、陽真も僕もこれから社会人として他のことも色々準備しないといけないし大丈夫だよ。1人でやる。」
「大丈夫か?若葉の部屋わりと散らかってるけど、1人でまとめられるか?」
「もう!大丈夫だから。陽真はさっさと自分の部屋に戻りなよ。いると気が散る。」
「はいはい…わかったよ。出て行きますよ。」
そう言って陽真はしぶしぶ部屋を出て行った。
「はぁ……」
……ちょっと言い方きつ過ぎたかな。
いや…あれぐらい言わないとあいつは自分のことを後回して僕のために時間を使っちゃうからあれでいいんだ…いいんだ……
僕と陽真は4年間、同じ大学に通い、同じアパートで暮らす恋人同士だった。
しかし卒業を機に、別々の道を歩むことになる。
僕は東京のIT企業に就職が決まり、陽真は地元の大阪のゲーム会社でプログラマーとして働くことになった。
遠距離になることは寂しいけど、入りたかった会社に就職出来ているから正直嬉しさの方が上回ってる。
こんなこと陽真には言えないけどねw
◇◇
「今日が最後だね陽真。」
「そうだな…。何かあってもなくても声が聴きたくなったらいつでも連絡して…いや……絶対しろ。そうじゃないと俺が寂しい。」
陽真はそう言って、僕の肩を抱き寄せた。
僕は陽真の胸に顔を埋め、小さく頷いた。
「陽真こそ連絡してね。大阪は遠いけど、海外みたいに行けない距離じゃないから行けるときに新幹線で会いに行くよ。」
「ああ…」
僕達の間に、しばらく沈黙が流れた。
「なあ、若葉。最後に、もう一度だけ…」
陽真はそう言って、僕の唇に自分の唇を重ねた。
「…ぅ……んぅ…ぁ………」
僕は目を閉じ、陽真のキスに応えた。
翌朝、寝ている陽真を置いて僕は東京へと旅立った。
それから少しして目覚めた陽真は見慣れた部屋で、僕の残り香を感じて独り静かに涙した。
◇◇
東京での生活は、想像以上に忙しい。
僕は仕事に追われ、陽真と連絡を取る時間もなかなか作れなかった。
「遠藤さん、こことあそこ間違ってる。すぐ修正して。」
「はい…」
……難しいな。
でもやりがいはある…頑張ろう。
一方、陽真もプログラマーとして多忙な日々を送っていた。
「桜井さん、これもお願いします。」
「はい…」
……終わらない、今日も残業か。
若葉の声が聴きたいけど…連絡する余裕も……
はぁ…余計なこと考えないで仕事…仕事…。
社会に放り出され、お互い慣れない仕事で手一杯だった。
そんなこんなで時が経つほどに少しずつ距離が生まれていった。
そんなある日。
ちょうど休日の日に、久しぶりに陽真から電話がかかってきた。
『はい、もしもし~陽真久しぶり。』
『久しぶり…あのさ…若葉伝えたいことがあるんだけど…』
『何?』
……有給取って東京に遊びに来てくれるとかだと嬉しいな。
それかどっか2人で温泉旅行も……悪くないな~あ~楽しみ♪
『…若葉、俺達もう終わりにしよう』
『は?なんで??』
……遊びに来たり、温泉旅行は……?
『もう…会うことも中々難しいだろ…それに、お互い新しい生活に慣れるのに精一杯で、連絡も結局あまりしてないし…」
『……嫌だ。僕に悪いところがあったら直すから別れたくないよ。』
『ごめんな…若葉に問題があるわけじゃなく、俺に問題があるから無理なんだ。俺、若葉には幸せになってほしいんだ。だから俺のことは忘れて近くにいる人と幸せになってくれ。じゃあな。』
陽真はそう言って、一方的に電話を切った。
僕は受話器を握りしめたまま、しばらく動けなかった。
◇◇
1ヶ月後。
僕は有給を取って陽真に会いに大阪へ向かった。
しかし、会っても陽真は僕に素っ気なかった。
「もう、終わりにしようって言ったよな?俺達は、もう…無理だよ。」
陽真はそう言って、僕に背を向けた。
僕は何か言っても突っぱねられる気がして何も言えなかった。
東京へ帰る新幹線の中で、僕は陽真との思い出を振り返っていた。
楽しかった大学生活、初めて二人で旅行した海、そして、別れの日のキス。
「陽真…」
4年間、共に過ごした彼との日々は、僕にとってかけがえのないものだった。
しかし僕達の関係は、大学卒業と共に枯れてしまった。
どちらが悪いわけではない…そういう運命だったんだ。
そう僕は考え、陽真との思い出を胸に、新しい人生を歩み始めることを決意した。
……さようなら、陽真。今までありがとう
僕は心の中でそう呟いた。
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