[完結]加護持ち令嬢は聞いてはおりません

夏見颯一

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55,彼女のはっぴー・うぇでぃんぐ

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 その日、すっかり友人同士となりましたメイリアが離宮にいらして、
「前に私が加護持ちが正気を失うって話した廊下、全部の窓が割れてしまったらしいのよ」
 ああ、あの通ると加護持ちから言い掛かりを付けられる廊下のことでしょうか。
 最近離宮から出ていないこともありまして、そんな場所があったことも私は忘れておりました。
「私達が来なかったから全部割れたって言われて、そんなに言うならもう来ないと言い返してやったわ。そしたら直ぐに謝ってきたけど、何なのかしらね」
「窓って加護持ちがいないと割れる物だったかしら」
「普通は割れないでしょ。加護持ちがいないと割れるなら、大抵の家の窓は毎日全損よ」
 ウィルマを振り返ると分からないと首を振るので、最早どういう理屈でここにいるのかも不明なディル(仮名)さんを見ると、
「あー……『反転の鏡』が割れたとは聞いております」
「え?」
 驚きの声を上げたのは、ウィルマです。
 私とメイリアは、「ふーん」と聞いていただけでした。
「国宝扱いではなかったの?」
「そりゃ、国宝でも使いたければ使うでしょうね。宝物庫にはもう無事な物は残っていないそうですよ」
「『反転の鏡』って加護持ちがいないと割れるのね。……でも元々はしまっていたのよね」
 変ではないでしょうか?
 しまっておいた物は割れていないのに、窓に使った物は加護持ちがいないと割れるなんて。
「先に言いますけど、私も加護持ちがいないと割れるなんて話、今初めて耳にしました。割れない理由は分かりません」
 結構長く付き合ってきたので、ディル(仮名)さんの言葉の裏はある程度読めるようになりました。
「割れる理由は知ってるのね」
「穢れを無理矢理跳ね返していたからですよ」
 ふふふふふ……私は聞いておりませんよ?
「王が禁忌を犯していたのをどう対処していたか、城の状態を見たら分かりませんか?」
「分かるわけがないでしょ!」
 流石に今度という今度は怒らざるを得ませんでした。
 ……確かに、私も陛下が禁忌を犯しているとは思っておりましたが、影響は国土の異常気象だと思っておりました。
「それと加護持ちとどう関係あるのかしら?」
「だから分かりません」
 本当にディル(仮名)さんは御存知なさそうです。
 知っていることなら質問したら答えて下さいますものね。
 私達の話を傍で聞いておられたメイリアは「ふうん」と仰って、
「廊下は普通の廊下になったけど、まだ影響がある場所は残っているわ。何か分かるかも知れないし、行ってみる?」
 ……離宮から出られないと思っておりましたが、実際はどうなんでしょう?
 よく考えると、私が勝手に騎士に警戒している所もありますね。実は普通に出ることが出来るかも知れません……。
「うー……それってどこかしら?」
「王城の表玄関近くよ」


「あいつがそんなことする筈がない! えん罪だ!」
 何か王城前から声が聞こえて参ります。
 危ないのでウィルマは離宮に残してきました。ディル(仮名)さんは……連れて歩いて良いのか判断がつかず困りましたが、そもそも窓から出入りしている者を連れて行けないと気が付きまして、文句を言われましたが離宮に置いて行きました。
 久し振りの王城の中は文官の姿があまりなく、騎士達が多く行き交っており、物々しさがありました。
 ですが、王城の表玄関に近付くと、騎士達は王城前広場に大勢集まって注意もそこに集まっており、意外にも私達が離宮から出ていることに気にとめる者はおりませんでした。
 興味を引かれ、私とメイリアは広場に近付きました。
「お前らはそんなに我が国と戦争をしたいのか!」
「戦争をしたいのはそちらの方でしょう。きちんと我々は犯人である根拠も示しました。最早納得するしないの話でもありませんよ」
 後者は第1王子殿下の声ですね。
 もう一人の声は……。
「俺をどうしても帰そうと言うのなら、最低でも我が国のためにあの加護持ちの王女を連れてこい! なら、この無礼も大目に見て良いだろう」
 やたら尊大なこの物言いは、間違いなくアルブラニアの王子ですね。
 屈強な騎士達に囲まれたこの状況でもしっかりと要求できるなんて、素晴らしく太く呆れた神経の方です。
 冷たい大勢の目に囲まれ馬車に押し込められながら、
「もう加護持ちなら貴族でも誰だっていい! 俺が王妃にしてやるから、誰か連れてこい!」
 アルブラニアも異常気象が続いておりますから、王子も必死になるしかない部分があることには私も同情はいたしますが……
「本当ですか!?」
 隣から嬉しそうな声が聞こえました。
 よりによって、こんな妄想男の戯れ言に食いつくなんて、結婚にやたら執着した部分があったとしても普段のしっかり者のメイリアとは思えません。
 騎士達がぎょっとして振り返り、初めて私達の存在に気が付いたようです。
 一斉に見られる事とはこんなに恐怖を感じるものなのですね。
 王子を押し込もうとなさっていた騎士の方は、メイリアの声と私の存在に驚いた様子で、手が完全に止まってしまわれました。
 王子は加護持ちらしき女性が食いついたことで気をよくされたのか、
「加護を見せてみろ! 有用ならば王妃にしてやる!」
 誰でもいいから王妃にすると仰ったのに、あっという間に条件を付けられましたね。
 せこ過ぎる王子に私は呆れるしかありません。
「分かりました!」
 メイリアは喜んでおりますが……私もメイリアの加護はまだ教えていただいておりません。
 有用などと条件が付けられ、大丈夫かと私がメイリアを見ると、
「王女様、危ないのでお下がりください」
 突然の言葉に困惑してしまった私は動けなくなりましたが、慌てて駆けつけた第1王子殿下に手を取られて下がりました。
 危ないって、何でしょうか?
 アルブラニアの王子は上機嫌となっております。
「ふふん。自信があ……」

「うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ……」

 後半は女性の声とは信じられない、地の底から響くような低い……恐ろしい声でした。
 王城という王立騎士団でも選ばれた精鋭のみが働いている筈ですが、騎士達はひるんで少しずつ後退りをしております。アルブラニアの王子などは異様な様子に顔面蒼白になって地面にへたり込んでしまわれました。
 周囲の空気も地面も大きく脈打つように震え、小鳥たちが悲鳴の如き鳴き声を放って飛び去っていきます。
 第1王子殿下に支えられた私も、殿下自身も立っているのがやっとでした。

「ヒャッハー!!!」

 地獄の扉が開いたかと勘違いするような叫び声に、私は身も心もすくみ上がりました。
 メイリアの体から何か轟音とともに火柱のようなものが立ち上がり、強烈な突風が吹き抜けたため、私は第1王子殿下の背に庇われながら目を閉じました。
 しばらくして、

「この私の加護を求めたからには、お前は私の夫になるしかないな」

 聞いたことのない低い声でした。
 一体誰の声でしょうか?
 突風が収まり、私がメイリアの立っていた場所を確認すると、見たこともない筋骨隆々で長身の武人らしき方が立っておられました。
 その方から放たれる凄まじい気迫に、騎士達までもが強い恐怖に襲われたのか、徐々に腰を抜かすか大きく後退する者が増えていきます。
「ニア! 兄上!」
 第1王子殿下と私も震えて動けなくなっている中、後方から声が聞こえてきました。
 大きな騒ぎになっているのを聞きつけた者達、レイも慌てた様子で王城前広場に駆けつけました。
「フランドル子爵令嬢……力を解放したのか……」
 震える体をレイに抱きかかえられながら、レイと一緒に駆けつけた王立騎士団の騎士団長が愕然と呟く声を聞きました。
「まさか。あれが、メイリアなの……?」
 全身の筋肉が大きく盛り上がる巨体の髪の色は、確かにメイリアと同じダークブロンドの髪です。
「我が友よ、これが真の私だ。武神の……破壊の加護なのだ」
 振り返った巨体の主の瞳もまた、メイリアのものと同じ、ピーコックブルーでした。
「ああ、メイリア! 貴女の真の姿なら、私は怖くないわ!」
 友を恐れるなんて、そんな非常なことは私にはできません。
 恐ろしい気迫が私にも叩き付けられますが、私は同じ加護持ちで、私達は親友なんです。
 こんなものくらいで私達の友情は壊れません!
「ありがとう、友よ……」
 メイリアの目からも涙がこぼれました。
 私達の友情は、どんな困難にも耐えられる絆があるのです。
「いや、髪と目以外は……」
「レイも些細なことを気にする王侯貴族になってはいけません!」
 髪と目、それ以外が全く変化してほぼ別人の姿になってしまいましたが、私の友に違いありません。
「いやもう、あれは性別も……」
「そんなことは関係ありません!」
 第1王子殿下まで細かいことを言い出すので、流石に私は少し怒って言ってしまいました。
 どうしてこの兄弟王子達は、細かいことを気にするのでしょう。

 メイリアはゆっくりとアルブラニアの王子に近付きます。
「あ……あ……」
 恐怖で涙もよだれも出ておりますが、メイリアは優しく微笑みかけ、
「私の夫となるべき男よ。いいだろう。こういうペットも悪くない」
 …………。
 ………………えっと……夫、ですよね?
 迂闊に隣国に来たばかりに……なんてことでしょう。
 いえ、今のメイリアなら例え男尊女卑の国に行っても自分が傅く方向では考えられません。どちらかというと、向こうが跪くような、こちらが支配するような……そんな感じがいたします。
 異様な恐怖に犯されつつある空間で、拳を握りしめた騎士団長が、一歩前に進みました。
「フランドル子爵令嬢、待て。令嬢もこの国の貴族。そちらの国に行くなど許されんぞ」
 怒りを滲ませた声の理由は、私には分かりません。
「結婚もさせない癖に、貴族の義務だけ口にするとはな。いいだろう。許さんと言うのなら、その血を流すが良い!」
 メイリアの言葉が終わる前に騎士団長の体は吹き飛ばされました。
 離れた場所から手を振り払うだけで、どうして吹き飛ばすだけの威力を持った風を起こせたのか、私にはその理屈は皆目見当がつきません。
 騎士ですらない周囲の多くの人々も、人間離れした力に驚きのあまり声が出せなくなっております。
「レクスタ殿!」
 第1王子殿下は騎士団長に呼びかけます。
 恐る恐る私が後ろを振り向きましたところ、騎士団長は後方の壁に叩き付けられておりましたが、微かに唸る声は聞こえてました。どうやら生きておられることに、一応安堵いたしました。
「メイリア!」
 流石にこれはやり過ぎではないでしょうか。
「悪かった、友よ。あちらが私の結婚を妨げようとするのでな」
 確かにそれに関しては騎士団長が全面的に悪いと私も思います。
 人の恋路を邪魔するのであれば、通常馬に蹴られるところを吹き飛ばされただけで済んだのなら、軽い方ではないでしょうか。
 ……分かりません。
 私は現状自分が大分混乱している自覚はございます。
「さあ、騎士達よ。私の結婚を妨げようとするならば、私の前に立つがいい」
 精鋭の筈の騎士達は、一斉に後退りしました。
 騎士団長も倒された状況で、ほとんどの騎士達は完全に戦意を喪失しております。ですが、何人かの騎士が気持ちを奮い立たせ、メイリアの前に立ちはだかろうとしたとき、
「立ちはだかるのなら、連れて行って愛でてやろう」
 駄目です。
 騎士達は全員完全に戦意を喪失して崩れ落ちました。

 失神したアルブラニアの王子を肩に担ぎ、
「我が友よ。これで別れのようだ。いつかは再び会うことができるかもしれんが、今はただ、私の旅立ちを祝福してくれ」
「ええ……! いつの日か会えることを願っているわ。結婚おめでとう!」
「ありがとう、友よ。友の祝福は、千の他人の祝福よりも尊い」
 馬車から外された馬にまたがり、メイリアは夫を肩にしたまま、
「では、またな」
 メイリアは、そうして結婚で旅立って行かれました。

 私は王子様がお姫様抱っこをして結婚相手を連れて行くものだと思っておりましたが、
「幸せになられるといいですね……。でも男性が女性に荷物のように担がれて結婚するなんてこともあるとは、私も想像もしたことはありません」
「私は猟師が獲物を担いで凱旋する姿に見えますね。それなりの価値がある獲物だから猟師も幸せでしょう」
 私と第1王子殿下の会話は、混乱の後片付けをしておられるレイの耳にも届き、
「…………まあ、どちらも望みが叶ったからハッピーエンドだろう」
 かなり声はお疲れのようでした。


 尚、残りのアルブラニアの者達は帰そうとすると恐怖で怯え、泣きつくなど異常な様子で、王立騎士団が国境付近まで送り届けたということです。


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