1 / 3
1.【始まりは妹のタレコミ】
しおりを挟む
王都は何やら騒がしいとの噂を聞きますが、私の住む王都から離れたアステリア伯爵領はその日も長閑なものでした。
「お姉様の婚約者、聖女様の妹君の婚約者になっておりますよ!」
王都から帰ってきた妹の話を聞くまでは。
その日も、穏やかな1日が過ぎると思っておりました。
窓を開けると鳥の囀りの向こうに牛の鳴く声。
人間より動物の方が遥かに多い田舎貴族の領地なんて、何処もこんなものでしょうね。
この世界に転生して早18年。生前の年齢を足すと結構枯れた年齢になるからという訳ではないと思いたいのですが、王都よりも私は領地にいる時間が一番好きです。
子供時代から腹の探り合いが始まる貴族同士の交流なんて、普通の女子大学生の記憶が残っている私には正直苦痛なんですよ。
まあ、転生したと言っても私はダラダラ生きていた方なので、これと言って何か革命をもたらす知識なんて持ち合わせてはおりません。
多くの知識を持って生まれた転生者は既に何人もいて、私は彼らの遺産をちょこちょこ改良するだけの生活でしょうか。
実際のところ、これくらいが気楽で丁度良いんですよ。
あまり活躍すると社会構造との軋轢と高位貴族達の欲望に巻き込まれ、命の危険に晒されますからね。活躍した転生者は概ね非業の死を遂げております。
ただ単に転生しただけの私には何の監視もありません。
今日は何をしましょう?
とても穏やかでのんびりとした空気に一息ついていると。
「お姉様!」
ドタドタと廊下を音を立てて走ってきた妹は、ノックもなく私の部屋の扉を開けました。
そう言えば、今日は王都で生活している妹が帰ってくる日でした。
ちょっと活動的すぎた妹は、矯正とばかりに父に特に厳しいとされる淑女学校に入れられております。
これで少しは礼儀を身に付けて帰ってくると思っていたのですが、どうやら無駄だったようです。
あまりに変わらない姿に、私は眉をひそめました。
「エウリシア、部屋に入るときはノックをしなさいとあれ程……」
「礼儀の話は後で聞きます! お姉様の婚約者、聖女様の妹君の婚約者になっておりますよ!」
王都の噂は田舎に届くまでは時間がかかります。
私は王都から急いで帰宅した妹に教えられて初めて王都に広がっているニュースを知りました。
取り敢えず、最悪です。
「お姉様の婚約者、聖女様の妹君の婚約者になっておりますよ!」
王都から帰ってきた妹の話を聞くまでは。
その日も、穏やかな1日が過ぎると思っておりました。
窓を開けると鳥の囀りの向こうに牛の鳴く声。
人間より動物の方が遥かに多い田舎貴族の領地なんて、何処もこんなものでしょうね。
この世界に転生して早18年。生前の年齢を足すと結構枯れた年齢になるからという訳ではないと思いたいのですが、王都よりも私は領地にいる時間が一番好きです。
子供時代から腹の探り合いが始まる貴族同士の交流なんて、普通の女子大学生の記憶が残っている私には正直苦痛なんですよ。
まあ、転生したと言っても私はダラダラ生きていた方なので、これと言って何か革命をもたらす知識なんて持ち合わせてはおりません。
多くの知識を持って生まれた転生者は既に何人もいて、私は彼らの遺産をちょこちょこ改良するだけの生活でしょうか。
実際のところ、これくらいが気楽で丁度良いんですよ。
あまり活躍すると社会構造との軋轢と高位貴族達の欲望に巻き込まれ、命の危険に晒されますからね。活躍した転生者は概ね非業の死を遂げております。
ただ単に転生しただけの私には何の監視もありません。
今日は何をしましょう?
とても穏やかでのんびりとした空気に一息ついていると。
「お姉様!」
ドタドタと廊下を音を立てて走ってきた妹は、ノックもなく私の部屋の扉を開けました。
そう言えば、今日は王都で生活している妹が帰ってくる日でした。
ちょっと活動的すぎた妹は、矯正とばかりに父に特に厳しいとされる淑女学校に入れられております。
これで少しは礼儀を身に付けて帰ってくると思っていたのですが、どうやら無駄だったようです。
あまりに変わらない姿に、私は眉をひそめました。
「エウリシア、部屋に入るときはノックをしなさいとあれ程……」
「礼儀の話は後で聞きます! お姉様の婚約者、聖女様の妹君の婚約者になっておりますよ!」
王都の噂は田舎に届くまでは時間がかかります。
私は王都から急いで帰宅した妹に教えられて初めて王都に広がっているニュースを知りました。
取り敢えず、最悪です。
10
あなたにおすすめの小説
見切りをつけたのは、私
ねこまんまときみどりのことり
恋愛
婚約者の私マイナリーより、義妹が好きだと言う婚約者ハーディー。陰で私の悪口さえ言う彼には、もう幻滅だ。
婚約者の生家、アルベローニ侯爵家は子爵位と男爵位も保有しているが、伯爵位が継げるならと、ハーディーが家に婿入りする話が進んでいた。
侯爵家は息子の爵位の為に、家(うち)は侯爵家の事業に絡む為にと互いに利がある政略だった。
二転三転しますが、最後はわりと幸せになっています。
(小説家になろうさんとカクヨムさんにも載せています)
そのご令嬢、婚約破棄されました。
玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。
婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。
その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。
よくある婚約破棄の、一幕。
※小説家になろう にも掲載しています。
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
婚約破棄されたので、もうあなたを想うのはやめます
藤原遊
恋愛
王城の舞踏会で、公爵令息から一方的に婚約破棄を告げられた令嬢。
彼の仕事を支えるため領地運営を担ってきたが、婚約者でなくなった以上、その役目を続ける理由はない。
去った先で彼女の能力を正当に評価したのは、軍事を握る王弟辺境伯だった。
想うことをやめた先で、彼女は“対等に必要とされる場所”を手に入れる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる