追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布

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11話

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 夜の帳が下りた王城は、昼間の喧騒が嘘のように静まり返っている。
 アルヴィス様の寝室。厚手のカーテンが夜風を遮り、暖炉の中で爆ぜる薪の音だけがパチパチと響いていた。

 僕は今、昼間の予告通り、大きなベッドの上でアルヴィス様に組み敷かれている。
 彼の手が僕の両手首を優しく、けれど逃がさない強さで枕元に固定していた。

「……アルヴィス、様。あの、供給、ですよね……?」
「ああ。だが、ただ触れるだけでは足りんと言ったはずだ」

 アルヴィス様の黒髪が、さらりと僕の頬に落ちる。
 彼の銀色の瞳は、暗がりの中で獲物を狙う猛獣のように鋭く光っていた。昼間の冷徹な政務の顔とは違う、本能に忠実な男の顔だ。

「ヒイロ、貴様はさっき、他の女の方がマシだと言ったな。その罰だ」

 彼が顔を近づけ、僕の耳たぶを熱く湿った舌でなぞった。

「ひ……ぁっ……!」

 全身に電流が走ったような衝撃。
 反射的に体を跳ねさせたけれど、彼の重厚な体躯に押さえ込まれて逃げ場はない。
 彼が耳元で低く笑うのがわかった。その振動が僕の脳まで揺さぶる。

「……私の毒に耐えられるのは、この世界で貴様の血肉だけだ。貴様が私を拒めば、私は内側から灼け落ちて死ぬ。……それでも、他の誰かに譲ると言うのか?」
「そ、んなの……嫌です。死なないで……っ」

 必死に首を振ると、アルヴィス様は満足げに目を細め、今度は僕の鎖骨の窪みに深く、跡を残すような口づけを落とした。
 触れられた場所から、僕の中に溜まった「熱」が吸い出されていく。
 それと同時に、僕の意識もふわふわと溶け始めていた。

「そうだ、その顔だ……。私だけを求めていろ。貴様の魔力も、その声も、体温も。すべて私のためにだけ使え」

 吸い上げられる魔力が心地よくて、切なくて。
 僕は拘束されていない足を彼の腰に絡ませたい衝動に駆られながら、夜の深淵へと引きずり込まれていった。
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