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「エルヴィン・ラングリス。君との婚約を破棄させてもらう。……その、薄気味悪い『魔力供給体』という体質も、僕には不快でしかないんだ」
きらびやかな夜会の中心で、元婚約者の第一王子は冷酷に言い放った。
周囲からは失笑と蔑みの視線が突き刺さる。実家の公爵家からも見捨てられ、僕はそのまま、魔物が跋扈(ばっこ)するという国境の森へと放り出された。
(……よっしゃあああああ! 自由だ! 最高だ!)
森の冷たい風に吹かれながら、僕は内心でガッツポーズを決めていた。
あんな傲慢な王子と結婚しなくて済むなら、魔物の餌になった方がマシだ。
僕の『魔力供給体』という体質は、他人に魔力を分け与えるだけの、この国では「歩く魔力タンク」と蔑まれるだけのもの。
でも、ここなら誰にも縛られずに生きていける。
そう思った、矢先だった。
「……なんだ。こんな場所に、極上の『獲物』が落ちているとはな」
背後から響いたのは、地響きのような低く、心地よいバリトンボイス。
振り返ると、そこには漆黒の鎧を纏った、とてつもなく体格の良い男が立っていた。
夜の闇よりも深い黒髪に、燃えるような紅い瞳。
見上げるほどの長身。その男から放たれる圧倒的な威圧感に、僕は息を呑む。
「あんた……誰……?」
「この国の住人ではないな。……香るぞ。お前から、甘い魔力の匂いが」
男――隣国の魔王ゼノスは、一歩、また一歩と距離を詰めてくる。
逃げようとした僕の細い手首を、熱を帯びた大きな掌が容易く掴んだ。
「ひっ……!」
「黙れ。……少し、食わせろ」
抵抗する暇もなかった。
強引に顎を押し上げられ、熱い唇が重なる。
――ん……っ!?
深い口づけと共に、僕の体の中からドロドロとした熱い魔力が吸い出されていく。
今までの王子たちへの供給とは、比べものにならないほど強烈な衝撃。
脳が痺れ、膝の力が抜けていく。
「ふ、あ……、はぁっ……」
ようやく唇が離れたとき、僕はゼノスの腕の中に崩れ落ちていた。
ゼノスは満足げに唇を拭うと、琥珀色の瞳を潤ませる僕を冷たく、だが独占欲を孕んだ目で見下ろした。
「決めた。お前は今日から、俺専用の『食事』だ。魔王城へ連れて行く」
自由を満喫するはずが、どうやらとんでもない「捕食者」に捕まってしまったらしい。
きらびやかな夜会の中心で、元婚約者の第一王子は冷酷に言い放った。
周囲からは失笑と蔑みの視線が突き刺さる。実家の公爵家からも見捨てられ、僕はそのまま、魔物が跋扈(ばっこ)するという国境の森へと放り出された。
(……よっしゃあああああ! 自由だ! 最高だ!)
森の冷たい風に吹かれながら、僕は内心でガッツポーズを決めていた。
あんな傲慢な王子と結婚しなくて済むなら、魔物の餌になった方がマシだ。
僕の『魔力供給体』という体質は、他人に魔力を分け与えるだけの、この国では「歩く魔力タンク」と蔑まれるだけのもの。
でも、ここなら誰にも縛られずに生きていける。
そう思った、矢先だった。
「……なんだ。こんな場所に、極上の『獲物』が落ちているとはな」
背後から響いたのは、地響きのような低く、心地よいバリトンボイス。
振り返ると、そこには漆黒の鎧を纏った、とてつもなく体格の良い男が立っていた。
夜の闇よりも深い黒髪に、燃えるような紅い瞳。
見上げるほどの長身。その男から放たれる圧倒的な威圧感に、僕は息を呑む。
「あんた……誰……?」
「この国の住人ではないな。……香るぞ。お前から、甘い魔力の匂いが」
男――隣国の魔王ゼノスは、一歩、また一歩と距離を詰めてくる。
逃げようとした僕の細い手首を、熱を帯びた大きな掌が容易く掴んだ。
「ひっ……!」
「黙れ。……少し、食わせろ」
抵抗する暇もなかった。
強引に顎を押し上げられ、熱い唇が重なる。
――ん……っ!?
深い口づけと共に、僕の体の中からドロドロとした熱い魔力が吸い出されていく。
今までの王子たちへの供給とは、比べものにならないほど強烈な衝撃。
脳が痺れ、膝の力が抜けていく。
「ふ、あ……、はぁっ……」
ようやく唇が離れたとき、僕はゼノスの腕の中に崩れ落ちていた。
ゼノスは満足げに唇を拭うと、琥珀色の瞳を潤ませる僕を冷たく、だが独占欲を孕んだ目で見下ろした。
「決めた。お前は今日から、俺専用の『食事』だ。魔王城へ連れて行く」
自由を満喫するはずが、どうやらとんでもない「捕食者」に捕まってしまったらしい。
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