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29話
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世界が浄化の光に包まれてから、三ヶ月。
魔王領の首都は、かつてない祝祭の熱気に包まれていた。街中の至る所に黄金色のリボンと、魔王軍の黒い旗が掲げられ、空には祝砲代わりにゼノス様が放った美しい紫の魔力が花火となって弾けている。
今日は、僕とゼノス様の「結婚式」だ。
「……ゼノス様。あの、何度も言いますけど、この衣装、正装って言いましたよね?」
鏡に映る自分の姿を見て、僕は顔から火が出そうなほど真っ赤になっていた。
それは、魔族の伝統的な婚礼衣装らしいのだが……。
シルクのように滑らかな白い布地は、肩から胸元が大きくはだけ、腰回りは際どいスリットが入っている。さらに、首にはあの「番の鈴」が、ダイヤモンドと魔石でデコレーションされて豪華に輝いていた。
「当然だ。魔族にとって婚礼とは『お前を一生私の所有物にする』という契約の儀。……肌の露出が多いのは、俺の刻んだ『印』が誰の目にも明らかになるようにするためだ。不満か? エルヴィン」
背後から、漆黒の礼装に身を包んだゼノス様が僕を抱きしめた。
鏡越しに、彼の熱い視線が僕の肌を舐めるように這う。
「不満っていうか……これ、全世界の来賓に見られるんですよね? カインさんも、元母国の王族も……」
「見せつけてやるのだ。……お前が俺だけの供給体であり、俺の命よりも重い伴侶であることをな。……さあ、行こう。俺の可愛い花嫁(生贄)」
魔王城の大広間には、数千人の魔族、人間、そして諸国の要人たちがひしめき合っていた。
僕たちが姿を現した瞬間、地鳴りのような歓声が巻き起こる。
「魔王陛下に栄光あれ!!」
「聖子エルヴィン様に祝福を!!」
僕たちは壇上に上がり、全世界を証人として誓いを立てる。
……といっても、ゼノス様の誓いの言葉は、相変わらずのものだった。
「聞け、愚民共。……今日この時より、エルヴィンは俺の一部となる。この男の髪一本、吐息一つに至るまで、俺以外の者が触れることは決して許さん。……もしエルヴィンを悲しませる者がいれば、その国ごと冥府へ送る。……以上だ」
カインさんが隣で「もう少し慈愛に満ちた言葉はありませんか」と耳打ちしていたが、ゼノス様はそれを無視して、僕の腰を引き寄せた。
「エルヴィン。……俺に、永遠を誓え」
「……はい。ゼノス様。……僕も、一生あなたに魔力を吸われ続けて、あなたの隣で笑い続けるって……誓います」
僕たちが唇を重ねると、会場のボルテージは最高潮に達した。
黄金の魔力と漆黒の魔力が混ざり合い、空に巨大な「番の紋章」を描き出す。それは、この世界に新しい理(ことわり)が刻まれた瞬間だった。
――しかし、感動の式典はそこまでだった。
「――よし、儀式は終わったな。カイン、あとは任せた! 俺はこれより一ヶ月、エルヴィンと初夜に入る!」
「ええっ!? ゼノス様、まだ披露宴の最中ですよ!?」
「うるさい! これほど多くの男たちにお前の姿を晒したのだ、俺の独占欲はもう限界だ! 今すぐお前を俺の魔力で塗り潰し、お前の体中に俺の名前を刻み直さねば気が済まん!」
ゼノス様は僕をひょいとお姫様抱っこすると、来賓たちが呆気に取られる中、猛スピードでオリハルコンの寝室へと駆け出した。
背後から「陛下! 外交問題になります!」「有給を返せ!」というカインさんの叫びが聞こえた気がしたが、ゼノス様は結界をバァン!と閉じ、僕をベッドに押し倒した。
「ん、ぁ……っ、ゼノス、様……っ。……結婚したからって、そんなに……っ」
「……足りん。一生かけても、お前への渇きは癒えん。……エルヴィン。お前の魔力も、心も、体も……そのすべてを俺に供給し続けろ」
ゼノス様の熱い指が、衣装の隙間から滑り込み、僕の敏感な場所を容赦なく責め立てる。
首元の鈴がチリン、チリンと、僕の歓喜の声をなぞるように鳴り響いた。
窓の外では、平和になった世界が広がっている。
けれど、僕の世界は、この不器用で、重すぎる愛をぶつけてくる魔王様の腕の中だけ。
「……愛しています、ゼノス様」
「……ああ。俺もだ。死が二人を分かつまで……いや、死んだ後も、地獄の果てまでお前を逃がさん」
最強の魔王と、究極の供給体。
二人の甘くて激しい「終わらない初夜」は、こうして幕を開けたのだった。
――完。
魔王領の首都は、かつてない祝祭の熱気に包まれていた。街中の至る所に黄金色のリボンと、魔王軍の黒い旗が掲げられ、空には祝砲代わりにゼノス様が放った美しい紫の魔力が花火となって弾けている。
今日は、僕とゼノス様の「結婚式」だ。
「……ゼノス様。あの、何度も言いますけど、この衣装、正装って言いましたよね?」
鏡に映る自分の姿を見て、僕は顔から火が出そうなほど真っ赤になっていた。
それは、魔族の伝統的な婚礼衣装らしいのだが……。
シルクのように滑らかな白い布地は、肩から胸元が大きくはだけ、腰回りは際どいスリットが入っている。さらに、首にはあの「番の鈴」が、ダイヤモンドと魔石でデコレーションされて豪華に輝いていた。
「当然だ。魔族にとって婚礼とは『お前を一生私の所有物にする』という契約の儀。……肌の露出が多いのは、俺の刻んだ『印』が誰の目にも明らかになるようにするためだ。不満か? エルヴィン」
背後から、漆黒の礼装に身を包んだゼノス様が僕を抱きしめた。
鏡越しに、彼の熱い視線が僕の肌を舐めるように這う。
「不満っていうか……これ、全世界の来賓に見られるんですよね? カインさんも、元母国の王族も……」
「見せつけてやるのだ。……お前が俺だけの供給体であり、俺の命よりも重い伴侶であることをな。……さあ、行こう。俺の可愛い花嫁(生贄)」
魔王城の大広間には、数千人の魔族、人間、そして諸国の要人たちがひしめき合っていた。
僕たちが姿を現した瞬間、地鳴りのような歓声が巻き起こる。
「魔王陛下に栄光あれ!!」
「聖子エルヴィン様に祝福を!!」
僕たちは壇上に上がり、全世界を証人として誓いを立てる。
……といっても、ゼノス様の誓いの言葉は、相変わらずのものだった。
「聞け、愚民共。……今日この時より、エルヴィンは俺の一部となる。この男の髪一本、吐息一つに至るまで、俺以外の者が触れることは決して許さん。……もしエルヴィンを悲しませる者がいれば、その国ごと冥府へ送る。……以上だ」
カインさんが隣で「もう少し慈愛に満ちた言葉はありませんか」と耳打ちしていたが、ゼノス様はそれを無視して、僕の腰を引き寄せた。
「エルヴィン。……俺に、永遠を誓え」
「……はい。ゼノス様。……僕も、一生あなたに魔力を吸われ続けて、あなたの隣で笑い続けるって……誓います」
僕たちが唇を重ねると、会場のボルテージは最高潮に達した。
黄金の魔力と漆黒の魔力が混ざり合い、空に巨大な「番の紋章」を描き出す。それは、この世界に新しい理(ことわり)が刻まれた瞬間だった。
――しかし、感動の式典はそこまでだった。
「――よし、儀式は終わったな。カイン、あとは任せた! 俺はこれより一ヶ月、エルヴィンと初夜に入る!」
「ええっ!? ゼノス様、まだ披露宴の最中ですよ!?」
「うるさい! これほど多くの男たちにお前の姿を晒したのだ、俺の独占欲はもう限界だ! 今すぐお前を俺の魔力で塗り潰し、お前の体中に俺の名前を刻み直さねば気が済まん!」
ゼノス様は僕をひょいとお姫様抱っこすると、来賓たちが呆気に取られる中、猛スピードでオリハルコンの寝室へと駆け出した。
背後から「陛下! 外交問題になります!」「有給を返せ!」というカインさんの叫びが聞こえた気がしたが、ゼノス様は結界をバァン!と閉じ、僕をベッドに押し倒した。
「ん、ぁ……っ、ゼノス、様……っ。……結婚したからって、そんなに……っ」
「……足りん。一生かけても、お前への渇きは癒えん。……エルヴィン。お前の魔力も、心も、体も……そのすべてを俺に供給し続けろ」
ゼノス様の熱い指が、衣装の隙間から滑り込み、僕の敏感な場所を容赦なく責め立てる。
首元の鈴がチリン、チリンと、僕の歓喜の声をなぞるように鳴り響いた。
窓の外では、平和になった世界が広がっている。
けれど、僕の世界は、この不器用で、重すぎる愛をぶつけてくる魔王様の腕の中だけ。
「……愛しています、ゼノス様」
「……ああ。俺もだ。死が二人を分かつまで……いや、死んだ後も、地獄の果てまでお前を逃がさん」
最強の魔王と、究極の供給体。
二人の甘くて激しい「終わらない初夜」は、こうして幕を開けたのだった。
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