異世界転生した俺のフェロモンが「全種族共通の特効薬」だった件 ~最強の獣人たちに囲まれて、毎日代わりばんこに可愛がられています~

たら昆布

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43話

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ガリア国王の快復から一夜明け、城内は異様な熱気に包まれていた。「救世主ハル殿を、我が国から離してはならぬ!」という国王の号令の下、広大な中庭では突如として『ハル様歓迎フェスティバル』が開催されたのだ。

会場には、ガリア帝国が誇る最高級の「もふもふ魔獣」たちが国中から集められ、さらには大陸全土から取り寄せた珍しい果実やスイーツが山のように積み上げられている。

「ハル殿、見てくれ。この『スノーフェンリル』の子犬は、世界で最も毛並みが良いと言われている。貴殿にこそ相応しい」

国王が自らハルの手を引き、雪のように白い仔犬を見せる。ハルはその愛くるしさに瞳を輝かせた。

「わあ……! 本当にふわふわですね。……いいんですか? こんなに歓迎してもらっちゃって」

ハルが仔犬を抱き上げ、穏やかに微笑む。その瞬間、周囲にいた強面のガリア将軍たちが一斉に頬を染め、悶絶した。だが、その平和な光景を、背後から「虚無」の瞳で見つめる一行がいた。

「……ジーク。本国に連絡しろ。至急、王宮の宝物庫にある『伝説の聖獣の卵』をこちらへ運ばせる。予算は問わん」

ギルバートが冷徹な声で指示を飛ばす。

「承知いたしました。ついでに、ハル様がお好みの『星降る丘の蜂蜜』も、生産地ごと買い占めておきましょう。ガリアの供物など、ハル様の視界に入れる必要はありません」

ジークは手帳に恐ろしい勢いでペンを走らせる。そんな大人たちの火花を余所に、タイガはハルの腕を強引に引いた。

「おい、こんな人混みはいいだろ。ちょっと付いてこいよ」

タイガはハルを連れ出し、城の最上部にある、かつて自分が王子として過ごしていた「秘密の隠れ家」へと向かった。そこは、荒々しい城の中で唯一、タイガが大切にしていた静かなテラスだった。

「……ハル。お前が来てくれて、本当に良かった。親父があんなに笑うのを、俺は初めて見た気がする」

夕陽に照らされ、タイガが不器用に、けれど真っ直ぐにハルを見つめる。

「俺……お前と出会って、本当の『強さ』が何かって分かった気がするんだ。だから……」

タイガが何かを言いかけたその時、足元の「影」が不自然に揺れた。

「――タイガ殿。密談はそこまでにしていただこうか。ハル様には、この後ジークが用意した夜食の試食をしていただく予定ですので」

影から現れたフェンの声に、タイガは「またお前か!」と叫び声を上げる。しかし、フェンの表情はいつになく険しかった。

「……それと、冗談抜きで事態は急を要します。ガリアの地下……不眠の原因となった魔力の残滓が、ハル様の清浄な力に当てられて、逆に『活性化』し始めています」

ハルの清らかな癒やしの力が、眠っていた「何か」を呼び覚まそうとしていた。
肩の上で、ポポが地下から漂ってくる不穏な気配に、小さく毛を逆立てて鳴いた。

「キュイッ……!!」
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