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45話
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地下空洞に満ちる黒い霧は、絶望そのものだった。ガリア王家に代々蓄積された負の感情と魔力の残滓が、巨大な影の獣となってタイガたちに襲いかかる。しかし、その中心で凛と立ち続けるハルの放つ光が、暗闇を寸前で食い止めていた。
「ハル……、力を貸してくれ。お前の光があれば、俺はどこまでも行ける!」
黄金の雷鳴を纏ったタイガが、地を裂くような速さで影の獣へと肉薄する。ハルの魔力を直接受け取ったタイガの体は、限界を超えた出力を叩き出していた。彼の振るう一撃が、黒い霧を物理的に切り裂き、浄化していく。
「タイガさん、頑張って……! もう、暗いのは終わりです!」
ハルが両手を組み、祈りを込めるように魔力を放出する。ハルの足元から波紋のように広がった光の輪が、洞窟の壁面に刻まれた古い呪いの紋様を次々と白く塗り替えていった。その光に当てられた影の獣は、断末魔のような悲鳴を上げる。
「フン、息子ばかりにいい顔をさせるわけにはいかんな。――ガリアの戦士たちよ、ハル殿の道を切り開け!」
国王が大剣を一閃し、暴走する魔力の触手をなぎ払う。親子が背中を合わせ、一人の青年を守るために戦う姿は、かつての確執を完全に過去のものとしていた。
「ジーク、援護しろ! カイルはハルの背後を死守。一分たりとも隙を見せるな」
「了解。……まったく、ハル様を巡る戦いは、いつも規模が大きすぎますね」
ギルバートの白銀の剣とジークの幾何学的な魔方陣が、ハルの周囲に多層的な結界を構築する。ハルはその絶対的な安心感の中で、全神経を浄化へと集中させた。
やがて、ハルの唇から自然とメロディが零れ落ちる。それは言葉にならない、魂を癒やすための「浄化の歌」だった。ハルの歌声が空洞に響き渡ると、猛り狂っていた影の獣は、次第に輪郭を失い、最後には一筋の清らかな水へと姿を変えて泉へと還っていった。
「……終わったのか……?」
タイガが黄金のオーラを解き、肩で息をしながら呟く。地下空洞を支配していた禍々しさは消え去り、そこにはハルの癒やし香だけが優しく漂っていた。
「タイガさん、怪我はないですか?」
ハルが駆け寄り、タイガの煤けた頬に手を当てる。その温もりに、タイガはたまらずハルを抱きしめた。
「ああ、ハルのおかげだ。……親父、これで文句ねぇだろ。俺たちの世代で、この呪いは終わらせたぜ」
国王は静かに頷き、二人の歩み寄る姿を見つめていた。
数日後。国王の全快と呪いの完全消滅を祝い、ガリア帝国は建国以来最大の祝祭に沸いた。しかし、同時にそれは別れの時でもあった。
「本当に帰ってしまうのか、ハル殿。貴殿さえよければ、国教のトップに据えても構わんのだが……」
名残惜しそうにハルの手を握る国王の横で、ギルバートたちが殺気を隠そうともせず馬車の扉を開けて待っている。
「ありがとうございます。でも、俺の帰る場所はあそこですから」
ハルが優しく微笑むと、ガリアの民たちは国境に至るまでの道に跪き、「ハル様、万歳!」という地鳴りのような歓声を送った。
馬車が動き出す。肩の上で、ポポが誇らしげに城を見上げて鳴いた。
「キュイッ!(また遊びに来てあげてもいいよ!)」
タイガはハルの隣に座り、窓の外の景色を見ながら、そっとハルの肩に頭を乗せた。
「……ハル。今度は俺が、お前の隣で、ずっと守ってやるからな」
特使団を乗せた豪華馬車は、新たな絆と、少しばかり増えた「過保護な愛」を乗せて、懐かしい王宮へとひた走る。
「ハル……、力を貸してくれ。お前の光があれば、俺はどこまでも行ける!」
黄金の雷鳴を纏ったタイガが、地を裂くような速さで影の獣へと肉薄する。ハルの魔力を直接受け取ったタイガの体は、限界を超えた出力を叩き出していた。彼の振るう一撃が、黒い霧を物理的に切り裂き、浄化していく。
「タイガさん、頑張って……! もう、暗いのは終わりです!」
ハルが両手を組み、祈りを込めるように魔力を放出する。ハルの足元から波紋のように広がった光の輪が、洞窟の壁面に刻まれた古い呪いの紋様を次々と白く塗り替えていった。その光に当てられた影の獣は、断末魔のような悲鳴を上げる。
「フン、息子ばかりにいい顔をさせるわけにはいかんな。――ガリアの戦士たちよ、ハル殿の道を切り開け!」
国王が大剣を一閃し、暴走する魔力の触手をなぎ払う。親子が背中を合わせ、一人の青年を守るために戦う姿は、かつての確執を完全に過去のものとしていた。
「ジーク、援護しろ! カイルはハルの背後を死守。一分たりとも隙を見せるな」
「了解。……まったく、ハル様を巡る戦いは、いつも規模が大きすぎますね」
ギルバートの白銀の剣とジークの幾何学的な魔方陣が、ハルの周囲に多層的な結界を構築する。ハルはその絶対的な安心感の中で、全神経を浄化へと集中させた。
やがて、ハルの唇から自然とメロディが零れ落ちる。それは言葉にならない、魂を癒やすための「浄化の歌」だった。ハルの歌声が空洞に響き渡ると、猛り狂っていた影の獣は、次第に輪郭を失い、最後には一筋の清らかな水へと姿を変えて泉へと還っていった。
「……終わったのか……?」
タイガが黄金のオーラを解き、肩で息をしながら呟く。地下空洞を支配していた禍々しさは消え去り、そこにはハルの癒やし香だけが優しく漂っていた。
「タイガさん、怪我はないですか?」
ハルが駆け寄り、タイガの煤けた頬に手を当てる。その温もりに、タイガはたまらずハルを抱きしめた。
「ああ、ハルのおかげだ。……親父、これで文句ねぇだろ。俺たちの世代で、この呪いは終わらせたぜ」
国王は静かに頷き、二人の歩み寄る姿を見つめていた。
数日後。国王の全快と呪いの完全消滅を祝い、ガリア帝国は建国以来最大の祝祭に沸いた。しかし、同時にそれは別れの時でもあった。
「本当に帰ってしまうのか、ハル殿。貴殿さえよければ、国教のトップに据えても構わんのだが……」
名残惜しそうにハルの手を握る国王の横で、ギルバートたちが殺気を隠そうともせず馬車の扉を開けて待っている。
「ありがとうございます。でも、俺の帰る場所はあそこですから」
ハルが優しく微笑むと、ガリアの民たちは国境に至るまでの道に跪き、「ハル様、万歳!」という地鳴りのような歓声を送った。
馬車が動き出す。肩の上で、ポポが誇らしげに城を見上げて鳴いた。
「キュイッ!(また遊びに来てあげてもいいよ!)」
タイガはハルの隣に座り、窓の外の景色を見ながら、そっとハルの肩に頭を乗せた。
「……ハル。今度は俺が、お前の隣で、ずっと守ってやるからな」
特使団を乗せた豪華馬車は、新たな絆と、少しばかり増えた「過保護な愛」を乗せて、懐かしい王宮へとひた走る。
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