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後日談2
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「……タクミ、動くな。あと少し、あと五分だけこのままでいろ」
朝の陽光が差し込む団長室。
いつもなら早々に訓練場へ向かうはずのガイが、今日は寝間着のまま、ベッドの上でタクミをがっしりと背後から抱きしめて離さなかった。
タクミの背中に、ガイの逞しい胸板がぴったりと密着している。
スキルの暴走が収まった今、タクミから漂うのはごく普通の「人の匂い」のはず。だが、ガイにとってはそれが何よりの毒薬であり、特効薬であるらしい。
「……ガイさん、もう五分を三回繰り返してますよ。カシアンさんがさっきからドアの外で『団長、朝の点呼です!』って叫んでるのが聞こえませんか?」
「聞こえん。……今の俺には、お前のうなじから漂うこの……微かな『バニラ』の香りしか聞こえんのだ」
「聞こえるって何ですか。それにバニラって……。俺、昨日は何も甘いもの食べてませんってば」
タクミが苦笑して振り返ろうとすると、ガイはその動きを封じるように、タクミの首筋に深く、深く顔を埋めた。
「……フェリの言った通りだ。俺にだけは、お前がその時々で『一番食べたいもの』の匂いがする。……今の俺は、朝食のパンよりも、お前の甘いところを一口……いや、一食分いただきたい気分なんだぞ」
「(……この人、建前がなくなってからの方が、言葉がストレートすぎて心臓に悪い!)」
タクミは顔を真っ赤にしながら、ガイの腕を解こうともがく。
だが、ガイは大きな手でタクミの指先を絡めとると、その節々に愛おしそうにキスを落とした。
「……タクミ。俺は、お前が元の世界に帰らなくて本当に良かったと思っている。……だが、そのせいで俺の心臓は、四六時中『空腹』でたまらんのだ。お前が視界に入るだけで、触れるだけで……胃袋ではなく、魂が騒ぎ出す」
「ガイさん……」
「……だから、責任を取れ。今日一日の俺の『活力』として、今ここで十分な補給(テイスティング)をさせろ」
ガイの熱い唇が、タクミの耳朶に触れる。
かつての「食材に対する情熱」は、今や「愛する者への執着」へと美しく、そして猛烈に変換されていた。
「……っ。……一口だけですよ?」
タクミが観念して首を傾けると、ガイは満足げに喉を鳴らした。
重なり合う体温と、二人にしか分からない甘い香り。
朝の点呼を待ちわびる騎士たちの喧騒をよそに、部屋の中には、とろけるような甘美な時間が流れていく。
「……ガイさん。……幸せすぎて、お腹いっぱいになっちゃいますね」
「……バカを言うな。お前に関しては、俺は一生『おかわり』し続けるつもりだ」
二人の「フルコース」に終わりはない。
じっくりと、ゆっくりと、世界で一番甘くて美味しい関係を、彼らはこれからも大切に育んでいく。
朝の陽光が差し込む団長室。
いつもなら早々に訓練場へ向かうはずのガイが、今日は寝間着のまま、ベッドの上でタクミをがっしりと背後から抱きしめて離さなかった。
タクミの背中に、ガイの逞しい胸板がぴったりと密着している。
スキルの暴走が収まった今、タクミから漂うのはごく普通の「人の匂い」のはず。だが、ガイにとってはそれが何よりの毒薬であり、特効薬であるらしい。
「……ガイさん、もう五分を三回繰り返してますよ。カシアンさんがさっきからドアの外で『団長、朝の点呼です!』って叫んでるのが聞こえませんか?」
「聞こえん。……今の俺には、お前のうなじから漂うこの……微かな『バニラ』の香りしか聞こえんのだ」
「聞こえるって何ですか。それにバニラって……。俺、昨日は何も甘いもの食べてませんってば」
タクミが苦笑して振り返ろうとすると、ガイはその動きを封じるように、タクミの首筋に深く、深く顔を埋めた。
「……フェリの言った通りだ。俺にだけは、お前がその時々で『一番食べたいもの』の匂いがする。……今の俺は、朝食のパンよりも、お前の甘いところを一口……いや、一食分いただきたい気分なんだぞ」
「(……この人、建前がなくなってからの方が、言葉がストレートすぎて心臓に悪い!)」
タクミは顔を真っ赤にしながら、ガイの腕を解こうともがく。
だが、ガイは大きな手でタクミの指先を絡めとると、その節々に愛おしそうにキスを落とした。
「……タクミ。俺は、お前が元の世界に帰らなくて本当に良かったと思っている。……だが、そのせいで俺の心臓は、四六時中『空腹』でたまらんのだ。お前が視界に入るだけで、触れるだけで……胃袋ではなく、魂が騒ぎ出す」
「ガイさん……」
「……だから、責任を取れ。今日一日の俺の『活力』として、今ここで十分な補給(テイスティング)をさせろ」
ガイの熱い唇が、タクミの耳朶に触れる。
かつての「食材に対する情熱」は、今や「愛する者への執着」へと美しく、そして猛烈に変換されていた。
「……っ。……一口だけですよ?」
タクミが観念して首を傾けると、ガイは満足げに喉を鳴らした。
重なり合う体温と、二人にしか分からない甘い香り。
朝の点呼を待ちわびる騎士たちの喧騒をよそに、部屋の中には、とろけるような甘美な時間が流れていく。
「……ガイさん。……幸せすぎて、お腹いっぱいになっちゃいますね」
「……バカを言うな。お前に関しては、俺は一生『おかわり』し続けるつもりだ」
二人の「フルコース」に終わりはない。
じっくりと、ゆっくりと、世界で一番甘くて美味しい関係を、彼らはこれからも大切に育んでいく。
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