身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布

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「……え、待って。なんで俺、ゴミ山の上にいるの?」

 視界に飛び込んできたのは、異様に高い天井と、きらびやかなシャンデリア。
 そして、俺の体の下にあるのは、折れたモップや埃を被ったガラクタの山だった。

 さっきまで、俺は大学の帰り道でコンビニの肉まんを頬張っていたはずだ。
 それがどうして、こんなファンタジー映画のセットみたいな場所にいるのか。

「おのれ……召喚に失敗したか!」

 低く、地を這うような声が響く。
 見上げると、そこには豪華なローブを纏った老人たちと、それを見下ろす背の高い男が立っていた。

 特に中央に立つ男は、恐ろしいほど整った顔立ちをしていた。
 夜の闇を溶かしたような漆黒の髪に、すべてを見透かすような黄金の瞳。
 彼が纏う軍服のような衣装が、その威圧感をさらに引き立てている。

「アルフレート公爵閣下、申し訳ございません。聖女召喚の儀式を行いましたが……現れたのは、この魔力も持たぬ『男』のようです」

 老人の一人が、虫けらを見るような目で俺を指差した。
 アルフレートと呼ばれた男は、フンと鼻で笑う。

「ゴミ山にゴミが一つ増えただけか。見る価値もない」

(……ゴミ? 今、俺のことゴミって言った?)

 昴はムッとしたが、相手の纏う空気があまりに鋭く、声が出なかった。

「閣下、この異物はいかがいたしますか? 魔力もなく、言葉も通じぬ野蛮人のようですが」

「殺すのも剣が汚れる。離宮の地下にでも放り込んでおけ。死ぬまでな」

 冷徹な宣告。
 アルフレートは一度も俺と目を合わせることなく、大マントを翻して部屋を去っていった。

 数分後。
 俺は屈強な騎士たちに両脇を抱えられ、引きずられるようにして「離宮」へと運ばれた。
 そこは、王宮の隅にある、何十年も放置されたような呪われそうな洋館だった。

「ここで大人しくしてろ。お前の食事は一日一回、扉の前に置いてやる」

 ガチャン! と重々しい音を立てて、扉が閉められる。
 完全なる軟禁状態だ。

 俺は暗い部屋の中で一人、ぽつんと立ち尽くした。

「……まじかよ。召喚されて即、ゴミ扱いからの終身刑?」

 普通ならここで絶望して泣き崩れる場面だろう。
 けれど、俺は目の前の光景を見て、別の意味で震えていた。

「いや、ちょっと待て……。なんだこの部屋の汚さは!!」

 月明かりに照らされた床は、指でなぞれば跡がつくほどの厚い埃。
 カーテンは破れ、窓ガラスは曇りきり、蜘蛛の巣がアートのように張り巡らされている。

 俺の実家は創業100年のクリーニング店兼、清掃請負業だ。
 幼い頃から「汚れは悪!」と叩き込まれてきた俺の血が、この瞬間、召喚の恐怖を上回って沸騰した。

「いい度胸だ異世界。俺をここに閉じ込めたことを後悔させてやる……。まずは、この床からだ!」

 俺は脱ぎ捨てられていた古い布を掴み取ると、近くにあった水瓶へと駆け寄った。

 ――これが、後に「王国の四至宝」と呼ばれる男たちを骨抜きにする、俺の戦いの始まりだった。
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