85 / 134
66
しおりを挟む
目を開けると、見慣れない天井が見える。
「ここは…」
…そうだ、ジェイクの家。
私はベッドから上体を起こした。
幸い骨折はしていなかったが、腕と足がズキズキ痛む。
昨夜は怪我を見てもらい、痛み止めを飲んで、お風呂も貸してもらって。
そしたら、疲れなのか、副作用なのか、眠くなって寝てしまった。
コンコンコン
侍女が部屋に入ってくる。
「はい。どうぞ。」
「お目覚めですか?朝食はお部屋に用意しますが宜しいでしょうか?」
「はい。ありがとうございます。…あの、リカーナお母様やジェイク…様は?」
「お呼びしますね。その前にこちらをどうぞ。」
その侍女はガウンを手渡してくれる。
「えーと、私の着替えは…」
「今、手入れをしております。」
「そう、ですか。…こちらをお借りします。」
「はい。それでは、一度失礼致します。」
侍女は部屋を出ていった。その間にガウンを羽織り、前を閉める。
コンコンコン
「はい。」
ジェイクがドアを開け、顔を覗かせる。
「入っていいだろうか?」
「どうぞ。」
ジェイクはラフな格好をしている。
こういう格好も良いわ。
部屋の中に入ってくると、ベッド横にあった椅子に座る。
「調子はどうだ?」
「少し痛みます。」
「そうか。薬は食後だが、我慢できそうか?」
「はい。大丈夫です。…リカーナお母様にもお礼をしたいのですが、会えますか?」
「ああ。起きたことは知らせてあるだろうから、すぐ来ると思うぞ。」
「分かりました。」
「朝食はここで俺も一緒に食べてもいいか?」
「はい。一人は寂しいので嬉しいです。」
そこへ、リカーナお母様と、師匠も来てくれた。
「大変だったわね。今日はゆっくりしてね。」
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしてすみません…。」
「良いのよ。」
「プルメリア。大丈夫なら、昨日の話を聞きたいのだが。」
「ジェイソン!」
リカーナお母様が師匠を止めようとしてくれるが、こういう事は早く話した方が良い。
「大丈夫です。…昨日の事ですが、外に出ていた時に、庭園に視線をやると、女性が黒尽くめの人たちに囲まれているのが見えました。只ならぬ雰囲気だったので放ってはおけず、そちらに向かいました。その女性がクレマだという事、近くにバートンくんが倒れていた事に気付いたのは近づいてからです。あの黒尽くめ達は、私とクレマを連れ去ろうとしていたのだと思います。名前を確認されましたし、『用事があるふたり』と言っていたので。」
「用事があるふたり、か…。心当たりは?」
「私達ふたりが狙われる心当たりは、1つです。」
「…リカルド殿下か。」
ジェイクも思い当たった様だ。
「そうです。私だけなら他の事も考えられますが、クレマと一緒となると、それが一番濃厚です。」
「どういう事だ?」
「リカルド殿下は今、リアとアメシスト嬢と行動を共にしている。他の生徒とは必要な時にしか交流がない。」
「なるほど。ふたりを邪魔に思うものがいると…。疲れている所すまん。話してくれてありがとな。」
「いえ。」
そして、師匠は部屋を出ていった。
「あの人は本当にもう…。ごめんなさいね。」
リカーナお母様は師匠を追うように部屋を出た。それと入れ替わりで、朝食が運ばれてくる。
ベッドの横にテーブルと椅子も用意された。私がベッドから足を下ろし、立ち上がろうとすると、ジェイクが支えてくれる。
「ありがとうございます。」
椅子に座り、朝食を目の前にすると、お腹がぐぅとなった。
「…すみません。」
恥ずかしい…。
「お腹が空いて当たり前だ。昨夜は舞踏会で、ほとんど食べてないだろう?食べよう。」
「はい。頂きます。」
朝食を食べ終えると、白湯と薬を用意してくれたので服薬する。
「今日は休みを貰っているんだ。1日中、一緒にいよう。」
「それは嬉しいですが、お暇しないと…。」
「何故だ?」
「学園への欠席申請が今日までなのです。家に帰って、準備をしないといけません。」
「それについては、侯爵から連絡が来ている。」
ジェイクがお父様からの手紙を見せてくれる。
『学園には連絡をした。成績に問題はないし、怪我が治るまで休んでも良いそうだ。リアを宜しく頼む。しかし、落ち着いたら我が家へ帰すように!』
「落ち着いたら、家へ帰るようにとあります。」
「そうだな。」
「なので、やはり、」
「まだ落ち着いていない。」
「?」
「約束も果たされていない。」
「約束?」
何かあったかしら…?
「ここは…」
…そうだ、ジェイクの家。
私はベッドから上体を起こした。
幸い骨折はしていなかったが、腕と足がズキズキ痛む。
昨夜は怪我を見てもらい、痛み止めを飲んで、お風呂も貸してもらって。
そしたら、疲れなのか、副作用なのか、眠くなって寝てしまった。
コンコンコン
侍女が部屋に入ってくる。
「はい。どうぞ。」
「お目覚めですか?朝食はお部屋に用意しますが宜しいでしょうか?」
「はい。ありがとうございます。…あの、リカーナお母様やジェイク…様は?」
「お呼びしますね。その前にこちらをどうぞ。」
その侍女はガウンを手渡してくれる。
「えーと、私の着替えは…」
「今、手入れをしております。」
「そう、ですか。…こちらをお借りします。」
「はい。それでは、一度失礼致します。」
侍女は部屋を出ていった。その間にガウンを羽織り、前を閉める。
コンコンコン
「はい。」
ジェイクがドアを開け、顔を覗かせる。
「入っていいだろうか?」
「どうぞ。」
ジェイクはラフな格好をしている。
こういう格好も良いわ。
部屋の中に入ってくると、ベッド横にあった椅子に座る。
「調子はどうだ?」
「少し痛みます。」
「そうか。薬は食後だが、我慢できそうか?」
「はい。大丈夫です。…リカーナお母様にもお礼をしたいのですが、会えますか?」
「ああ。起きたことは知らせてあるだろうから、すぐ来ると思うぞ。」
「分かりました。」
「朝食はここで俺も一緒に食べてもいいか?」
「はい。一人は寂しいので嬉しいです。」
そこへ、リカーナお母様と、師匠も来てくれた。
「大変だったわね。今日はゆっくりしてね。」
「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしてすみません…。」
「良いのよ。」
「プルメリア。大丈夫なら、昨日の話を聞きたいのだが。」
「ジェイソン!」
リカーナお母様が師匠を止めようとしてくれるが、こういう事は早く話した方が良い。
「大丈夫です。…昨日の事ですが、外に出ていた時に、庭園に視線をやると、女性が黒尽くめの人たちに囲まれているのが見えました。只ならぬ雰囲気だったので放ってはおけず、そちらに向かいました。その女性がクレマだという事、近くにバートンくんが倒れていた事に気付いたのは近づいてからです。あの黒尽くめ達は、私とクレマを連れ去ろうとしていたのだと思います。名前を確認されましたし、『用事があるふたり』と言っていたので。」
「用事があるふたり、か…。心当たりは?」
「私達ふたりが狙われる心当たりは、1つです。」
「…リカルド殿下か。」
ジェイクも思い当たった様だ。
「そうです。私だけなら他の事も考えられますが、クレマと一緒となると、それが一番濃厚です。」
「どういう事だ?」
「リカルド殿下は今、リアとアメシスト嬢と行動を共にしている。他の生徒とは必要な時にしか交流がない。」
「なるほど。ふたりを邪魔に思うものがいると…。疲れている所すまん。話してくれてありがとな。」
「いえ。」
そして、師匠は部屋を出ていった。
「あの人は本当にもう…。ごめんなさいね。」
リカーナお母様は師匠を追うように部屋を出た。それと入れ替わりで、朝食が運ばれてくる。
ベッドの横にテーブルと椅子も用意された。私がベッドから足を下ろし、立ち上がろうとすると、ジェイクが支えてくれる。
「ありがとうございます。」
椅子に座り、朝食を目の前にすると、お腹がぐぅとなった。
「…すみません。」
恥ずかしい…。
「お腹が空いて当たり前だ。昨夜は舞踏会で、ほとんど食べてないだろう?食べよう。」
「はい。頂きます。」
朝食を食べ終えると、白湯と薬を用意してくれたので服薬する。
「今日は休みを貰っているんだ。1日中、一緒にいよう。」
「それは嬉しいですが、お暇しないと…。」
「何故だ?」
「学園への欠席申請が今日までなのです。家に帰って、準備をしないといけません。」
「それについては、侯爵から連絡が来ている。」
ジェイクがお父様からの手紙を見せてくれる。
『学園には連絡をした。成績に問題はないし、怪我が治るまで休んでも良いそうだ。リアを宜しく頼む。しかし、落ち着いたら我が家へ帰すように!』
「落ち着いたら、家へ帰るようにとあります。」
「そうだな。」
「なので、やはり、」
「まだ落ち着いていない。」
「?」
「約束も果たされていない。」
「約束?」
何かあったかしら…?
172
あなたにおすすめの小説
公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました
Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。
そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。
それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。
必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが…
正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。
【完結】転生白豚令嬢☆前世を思い出したので、ブラコンではいられません!
白雨 音
恋愛
エリザ=デュランド伯爵令嬢は、学院入学時に転倒し、頭を打った事で前世を思い出し、
《ここ》が嘗て好きだった小説の世界と似ている事に気付いた。
しかも自分は、義兄への恋を拗らせ、ヒロインを貶める為に悪役令嬢に加担した挙句、
義兄と無理心中バッドエンドを迎えるモブ令嬢だった!
バッドエンドを回避する為、義兄への恋心は捨て去る事にし、
前世の推しである悪役令嬢の弟エミリアンに狙いを定めるも、義兄は気に入らない様で…??
異世界転生:恋愛 ※魔法無し
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
転生令嬢、シスコンになる ~お姉様を悪役令嬢になんかさせません!~
浅海 景
恋愛
物心ついた時から前世の記憶を持つ平民の子供、アネットは平凡な生活を送っていた。だが侯爵家に引き取られ母親違いの姉クロエと出会いアネットの人生は一変する。
(え、天使?!妖精?!もしかしてこの超絶美少女が私のお姉様に?!)
その容姿や雰囲気にクロエを「推し」認定したアネットは、クロエの冷たい態度も意に介さず推しへの好意を隠さない。やがてクロエの背景を知ったアネットは、悪役令嬢のような振る舞いのクロエを素敵な令嬢として育て上げようとアネットは心に誓う。
お姉様至上主義の転生令嬢、そんな妹に絆されたクーデレ完璧令嬢の成長物語。
恋愛要素は後半あたりから出てきます。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました〜モブのはずが第一王子に一途に愛されています〜
みかん桜
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。
ここは、乙女ゲームが舞台の小説の世界だった。
悪役令嬢が主役で、破滅を回避して幸せを掴む——そんな物語。
私はその主人公の姉。しかもゲームの妹が、悪役令嬢になった原因の1つが姉である私だったはず。
とはいえ私はただのモブ。
この世界のルールから逸脱せず、無難に生きていこうと決意したのに……なぜか第一王子に執着されている。
……そういえば、元々『姉の婚約者を奪った』って設定だったような……?
※2025年5月に副題を追加しました。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】
23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも!
そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。
お願いですから、私に構わないで下さい!
※ 他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる