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シコクに聞いたノアの仕事終了時間に近づいてきた。
今日すぐに良い答えをもらえる筈がないのよ。頑張れ、私。
「よし!」
プリムローズは気合を入れた。
そして、ノアへ話があるとシコクから伝えてもらう。
ノアはすぐにやって来た。
「お話があるとのことですが?」
「ノア、仕事終わりに来てくれてありがとう。………貴方が好き。」
「プリムローズ様。以前も言いましたが、」
「分かっているわよ!…でも、仕方ないじゃない。気持ちが止まらないのよ。」
「…」
「お父様達にも宣言してきたわ。」
「ジェイク様達にもですか?」
「そうよ。」
「全くあの方達は…。」
「これ、今日作ったの。良かったら食べて。」
プリムローズは、ノアにカップケーキが入った小箱を差し出す。
「これは?」
「お母様に色々教えてもらう事になったの。聞いていない?」
「ああ。花嫁修業の一環ですか?」
「は、はなよめ!?ま、まぁ、そうなるかしら。」
『花嫁』と改めて言われると、照れくさくなる。
「応援しております。きっとお相手も喜びますよ。」
「何を言っているのよ。ノアの為に決まっているじゃない。さっきも好きといったでしょう?」
「はぁ…。」
ノアが溜息をついた。
「私はプリムローズ様より年上です。」
「渋くてかっこいいと思うわ。」
「貴族でもございません。孤児院で育ちました。」
「問題ないわ。私が色々学んでノアを支える。」
「人の命を奪った事もございます。」
「私達を守る為にしてくれた事でしょう?」
「プルメリア様は、命を奪う事を良しとしません。」
「お母様?」
「私はプルメリア様の専属でしたから。それ以前です。オパール家にお世話になるずっと…。とにかく、汚れた手でございます。」
「でも、生きる為に頑張った手でしょう?」
「貴方は私の何を知っていますか?簡単に頑張った等と言わないで欲しい!………失礼致しました。」
「良いの。貴方の話をもっと聞きたい。」
「話すことは何もございません。」
「私はノアを諦めないわ。」
「……失礼致します。」
ノアは、そのまま退室した。
踏み込んではいけない所に踏み込んでしまった?
不安になったプリムローズは、プルメリアの元へ行き、話の流れを話した。
「どうしよう。傷つけてしまったかも…。」
「あら?諦めるの?」
「諦めないわ!でも!………お母様。ノアがお母様の専属だったと言っていたわ。」
「話した事がなかったかしら?」
「初めて聞きました。」
「学園へ入学した時からだから、もう長い付き合いね。ライラもネーロもそうよ。メランは、卒業近くなってからね。」
「お母様は、何か知っているの?」
「うーん。知っている様な、知らない様な?」
「何よ、それ。」
「私は、ノアに聞いたことはないから。」
プルメリアはバルコニーに面した窓を見る。
「お母様?」
「何でもないわ。ローズはローズらしくいなさい。色々学ぶのでしょう?」
「もちろん。」
プリムローズは、プルメリアと話したことで気持ちがスッキリし、自室に戻った。
次の日からも、朝練をして料理を作り、合間に裁縫して、自主練習。そして、ノアに作った料理を渡すと言う事を続けた。
初日と1つ違ったのは、呼び出さずに使用人棟へ押しかけるという点だった。
「ノア。今日は唐揚げを作ったのよ。どうぞ。」
プリムローズは、木で作られているお弁当箱を差し出す。
「…プリムローズ様。またですか?」
ノアの眉間にシワが寄る。
「あら。そういう顔も格好いいわね。」
素直にノアの言葉を受け取っていたら、前に進めない。拒否されるのが当たり前。負けないわ!
「はぁ。」
ノアは大きな溜息をつく。
「ノア。いい加減答えてあげたら?」
ふたりを見ていたメランが口を挟んだ。
「姉上、他人事だと思って…。」
「貴方に幸せになってほしいのよ。」
「人の事より、自分の幸せを考えてください。」
「大きなお世話よ。」
「その言葉、こちらからも言いたい。」
ノアを見て話していたメランは、ノアの言葉を無視するようにプリムローズの方を向く。
「プリムローズ様。応援してます。」
「メラン、ありがとう。私、もっと頑張るわ!」
「頑張らなくて結構です…。」
今日すぐに良い答えをもらえる筈がないのよ。頑張れ、私。
「よし!」
プリムローズは気合を入れた。
そして、ノアへ話があるとシコクから伝えてもらう。
ノアはすぐにやって来た。
「お話があるとのことですが?」
「ノア、仕事終わりに来てくれてありがとう。………貴方が好き。」
「プリムローズ様。以前も言いましたが、」
「分かっているわよ!…でも、仕方ないじゃない。気持ちが止まらないのよ。」
「…」
「お父様達にも宣言してきたわ。」
「ジェイク様達にもですか?」
「そうよ。」
「全くあの方達は…。」
「これ、今日作ったの。良かったら食べて。」
プリムローズは、ノアにカップケーキが入った小箱を差し出す。
「これは?」
「お母様に色々教えてもらう事になったの。聞いていない?」
「ああ。花嫁修業の一環ですか?」
「は、はなよめ!?ま、まぁ、そうなるかしら。」
『花嫁』と改めて言われると、照れくさくなる。
「応援しております。きっとお相手も喜びますよ。」
「何を言っているのよ。ノアの為に決まっているじゃない。さっきも好きといったでしょう?」
「はぁ…。」
ノアが溜息をついた。
「私はプリムローズ様より年上です。」
「渋くてかっこいいと思うわ。」
「貴族でもございません。孤児院で育ちました。」
「問題ないわ。私が色々学んでノアを支える。」
「人の命を奪った事もございます。」
「私達を守る為にしてくれた事でしょう?」
「プルメリア様は、命を奪う事を良しとしません。」
「お母様?」
「私はプルメリア様の専属でしたから。それ以前です。オパール家にお世話になるずっと…。とにかく、汚れた手でございます。」
「でも、生きる為に頑張った手でしょう?」
「貴方は私の何を知っていますか?簡単に頑張った等と言わないで欲しい!………失礼致しました。」
「良いの。貴方の話をもっと聞きたい。」
「話すことは何もございません。」
「私はノアを諦めないわ。」
「……失礼致します。」
ノアは、そのまま退室した。
踏み込んではいけない所に踏み込んでしまった?
不安になったプリムローズは、プルメリアの元へ行き、話の流れを話した。
「どうしよう。傷つけてしまったかも…。」
「あら?諦めるの?」
「諦めないわ!でも!………お母様。ノアがお母様の専属だったと言っていたわ。」
「話した事がなかったかしら?」
「初めて聞きました。」
「学園へ入学した時からだから、もう長い付き合いね。ライラもネーロもそうよ。メランは、卒業近くなってからね。」
「お母様は、何か知っているの?」
「うーん。知っている様な、知らない様な?」
「何よ、それ。」
「私は、ノアに聞いたことはないから。」
プルメリアはバルコニーに面した窓を見る。
「お母様?」
「何でもないわ。ローズはローズらしくいなさい。色々学ぶのでしょう?」
「もちろん。」
プリムローズは、プルメリアと話したことで気持ちがスッキリし、自室に戻った。
次の日からも、朝練をして料理を作り、合間に裁縫して、自主練習。そして、ノアに作った料理を渡すと言う事を続けた。
初日と1つ違ったのは、呼び出さずに使用人棟へ押しかけるという点だった。
「ノア。今日は唐揚げを作ったのよ。どうぞ。」
プリムローズは、木で作られているお弁当箱を差し出す。
「…プリムローズ様。またですか?」
ノアの眉間にシワが寄る。
「あら。そういう顔も格好いいわね。」
素直にノアの言葉を受け取っていたら、前に進めない。拒否されるのが当たり前。負けないわ!
「はぁ。」
ノアは大きな溜息をつく。
「ノア。いい加減答えてあげたら?」
ふたりを見ていたメランが口を挟んだ。
「姉上、他人事だと思って…。」
「貴方に幸せになってほしいのよ。」
「人の事より、自分の幸せを考えてください。」
「大きなお世話よ。」
「その言葉、こちらからも言いたい。」
ノアを見て話していたメランは、ノアの言葉を無視するようにプリムローズの方を向く。
「プリムローズ様。応援してます。」
「メラン、ありがとう。私、もっと頑張るわ!」
「頑張らなくて結構です…。」
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