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62 6年後

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私は、13歳になった。

あの日、大騒ぎする人間を余所にルーフとパールは落ち着いており、私について話したのは『そのうち起きる』の一言だったそうだ。

それを信じ、お父様達は起きない私をそのままに、自宅への帰路についた。

私は馬車が揺れても、家についてベッドへ運ばれても、身体を清拭されても起きなかった。

しかし、何をしても起きなかった事が嘘のように、その次の日の朝には目を覚ました。
結局の所、魔力を使いすぎて回復するための睡眠だったのだ。

あの時はびっくりしたわよ。起きたら、お父様と兄様達の顔があるのだもの。
ザック様も心配して、泊まっていてくれたのよね。
懐かしいわ。

私は現在、普通科コースの7年生だ。
魔法の練習も順調で、あの日以降長い眠りにつくこともない。そして、ある程度の魔力を使っても問題ないまでになっている。
要するに、身体を慣らしながら少しずつ使う量を増やしていけば良かったのだ。

分かっていたことなのに…。

ちなみに、リック兄様は文官として働いており、ザック様とリオン兄様は騎士コースを卒業し、見習い期間を経て成人した。

今日は成人の儀とは別にザック様の成人祝の舞踏会が開かれる。
婚約者である私の契約獣、ルーフとアルの参加も認められた。もちろん、パールもザック様と参加する。

「サリーナ様、終わりました。」
「ありがとう。」

私は、メル達侍女の手で磨かれ、いつもよりツヤツヤキラキラになっている。

「お綺麗です。」
「貴方達のお陰ね。」
「何をおっしゃいますか!サリーナ様の美貌があってこそです!」

サリーナは、前にも増して美しく成長していた。

「そう言ってくれるのは、うちの皆だけよ。」

面と向かって言わないだけで、サリーナと会う者は皆見惚れるのだが、本人は自覚していない。

「リーナ、綺麗だ。」
「リック兄様まで…。」
「可愛い妹を褒めて何が悪い?」
「悪くはありませんが…。ありがとうございます。」
「それでは、行こうか。」
「はい。リック兄様。」

父ジャックは宰相の為、朝から王城へ行っている。ダリオンは騎士寮で生活している為家にはいない。
サリーナは、仕事が休みのパトリックと王城に向かった。

王城につき、広間に通されると、すでに多くの人がいた。

「アイザック殿下が入場したら、そこまで送る。」
「いいえ。ルーフとアルがいますし、一人で大丈夫ですわ。」
「そうか?」
「リック兄様は、サラ様の元にいてあげてください。」

サラ様とはリック兄様の婚約者だ。いつもは迎えに行くのだが、今日は私の為に現地集合にしたらしい。

「サラは気にしないと思うが…。」
「そういう事ではありませんわ。」
「?」
「あんなに愛らしいのです。サラ様に変な虫が近づいてきたらどうするのですか。」

そう!サラ様は可愛い!小動物の様に可愛い!

「それは困るな…。」
「ほら!サラ様がいらっしゃいました。」
「あ、ああ。」

サラ様の姿を見つけて、私達は近づく。

今日も可愛らしい!
年上とは思えない。

「サラ。」
「リック様。」

ふたりは、私やサラ様の家族に目をくれず
手を取り合う。

仲が良くて何より!

サリーナは微笑んだ。
その時、王族が入場する音楽が流れた。


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