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74 アイザックの新たな一面

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「リーナと同じ?」
「はい。」
「前世の記憶を持っていると?」
「話していた内容からの推測でしかありませんが…。」
「話していた内容?」
「先程言った『アイザック様と結ばれる』の他に、『この世界で1番の魔法使い』『貴方なんか知らない』などの発言がありました。」
「それで?」
「この国の方が『この世界』と言うでしょうか?仮に他国から来ているにしても、『世界一』とは言っても、『この』を付けるかどうか。」
「うん。」
「それに、もしこの世界が私の知らない何かの漫画や、ゲームと似た世界だとしたら…。」
「漫画?ゲーム?」
「物語や舞台のような物と思っていただければ良いです。前の世界で流行っていたのです。異世界へ転生や転移する話が…。」
「なるほど。ハンニー嬢は、その物語と同じ様な人物や状況が目の前にあったと言う事か。」
「はい。私の考えすぎかもしれませんが、私が存在している以上、他にいても可笑しくはないかと思います。」
「分かった。一応、リオンには話しておこう。それから、父さんと公爵にも。後のことは、父さんと公爵の判断に任せよう。」
「分かりました。………え~と、もう帰っても良いのでしょうか?」
「話も終わったから良いと思うけど、皆寝てるし、もう少し休憩していったらどうだろう?」

ザック様が、周りを見て言った。私も続いて見ると、ルーフもパールも伏せて寝ている。アルは背もたれに止まっているが、翼に顔を乗せて寝ていた。

「急いで助けに来てくれたのだもの。疲れたのね。」
「パールも知らせを聞いて、すぐに走り出したからな。そして、途中でリーナからも情報が入ったと教えてくれた。俺も馬に魔法をかけながら走らせたんだ。」
「そうですか。ザック様もありがとうございました。」
「…リーナ。ご褒美をもらえるかな?」
「え?」
「さっきの続き…。」
「さっき?」
「そう、さっき。」
「………………あ。」
「思い出した?」

私は、自分の顔が熱くなるのを感じた。

きっと赤くなっている…。

「良いかな?」
「は、はい…。」
「それでは…」

ザック様の顔が近付いてきた。私は目を閉じる。
…と、その時

ガチャ!

その音で私は思わず目を開けた。
ザック様の顔が近い。

「許可をもらったぞ!ダリオンも、…あ、すまん。」
「隊長…。」
「本当にすまん。許せ。」
「はぁ~。」

アイザックは大きなため息を付き、肩を落とした。

「ザック様。また別の機会に…」
「!!…それは、しても良いと言うことかな?」
「も、もちろん…ですよ。」

サリーナの声がだんだん小さくなる。顔だけでなく、耳まで真っ赤だ。

「隊長。早退させてください!」
「駄目だろう。」
「何故ですか?こんなに可愛いリーナと離れるなど出来ません。」

何!?

「お前には、やる事があるだろうが。」
「何かありましたか?」
「ダリオンにバリアの張替えを教えてくれ。」
「紙に書きますから。」
「それで伝わるのか?」
「大丈夫でしょう。」

そんな簡単な物ではない気がするのだけれど…。

「ざ、ザック様。私はお仕事をきちんとこなしているザック様が、格好いいと思っています。ですから…」
「隊長。リオンには、いつ教えたらいいですか?」
「…現金なやつだな。」

ザック様の新たな一面を見たわ…。






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