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83 庭園散歩

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私達は外に出て、我が家の庭師が作ってくれた庭を散策する事にした。

「久しぶりに、こののんびり感を堪能している気がする。」
「休みは今までもあっただろう?」
「学生の休みと、卒業してからのこの感じは違う気がするの。」
「そうか?」
「きっと気持ちの問題ね。」
「しかし、明日からも行くんだろう?」
「学校?そうよ。講師としてね。」
「気持ちが変わるものなのか?」

ルーフは不思議そうに首をひねる。

「緊張はするわよ。でも、週2回だし生徒だったときより、身体も気持ちも楽よ。前世と比べたら、学生時代も十分楽だったけどね。」
前世あの時は、朝から夜遅くまでいなかったもんな。」
「ええ。貴方達には寂しい思いをさせていたわね。ごめんなさい。」
「…寂しかったというよりも、心配だったな。」
「ルーフ…。」
「今のリーナは楽しそうで、前世の様な心配はない。」
「そう?」
「魔法の訓練で疲れても倒れても、楽しそうだ。」
「ええ、楽しいわ。自分の思い描いた魔法ができたら、感動もする。」
「リーナが幸せなら、俺達も幸せだ。」
「そうだよ~。僕達も楽しく過ごせるんだから。」

私とルーフの頭上からアルの声も聞こえる。

「アル、戻ってたの?」
「うん!はい、お土産。」
「ひめりんご?」

アルは、足で掴んでいた小さなりんごを、私が差し出した手においた。

「森で見つけた。」
「森?え~と、森の所有者の許可とか…。」

私がメルの方へ振り返ると…。

「この辺りの森は全てスウィーティー家の物ですので問題ありません。」
「それなら良かった。アル、ありがとう。でも、他の敷地からは持ってきては駄目よ。」
「分かった!」
「さっそく食べても良い?」
「うん!」

私は水魔法を使い、洗ってからりんごを噛じった。

「ん~!甘酸っぱくて美味しい。」

顔は自然と笑顔になる。

「良かったぁ!もっと採ってこようかぁ?」
「うーん…、場所はここから遠い?どの方向?」
「あっち。ひとっ飛びだよぉ。」

アルは、民家が少なく森が多い方向を指した。

「メル、午後の予定はなかったわよね?」
「はい。」
「それなら、ちょっと私も出かけようかしら。」
「お出かけですか?」
「そう。ひめりんごを採りに…」
「では、馬車をご用意します。」
「いいえ。その必要はないわ。」
「!」
「バスケットだけ持ってきて。」
「畏まりました。」

メルは小走りで家の中へ入っていった。

「俺も行く。」
「もちろんよ。」

私達はメルがバスケットを持って戻るのを待った。



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