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84 森へ出発

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メルがバスケットを抱えて戻ってきた。

「お待たせいたしました。」
「ありがとう。さてと…」

私が動こうとすると、メルの目が輝いた…気がした。

「…メルも行く?」
「はい!」

首をぶんぶん縦に振る。

ふふっ、昔から変わらないわ。
メルとはもう15年の付き合いになるのね。

普段冷静なのに、時折子供のような反応をする時があるメルは、まだ不思議に思う所も多い。

そもそも、年齢が不詳よね。私が3歳の頃から見た目が変わらない…。

「サリーナ様。いかがされましたか?」
「…メルは、いつまでも変わらないなぁ…と思っていただけよ。」
「それは成長していないと…。」
「違うわ。いつまでも若いと言う事よ。」
「それは、サリーナ様に細胞の活性化魔法を教えていただきましたから!」

私は、髪ドライの他にも、ちょこちょこ自分に便利な魔法を作り、使っていた。
それを見たメルも一緒に練習していたのは確かだ。

「サリーナ様ほど上手くできませんが、日々頑張っています。」
「そうかしら?メルの方がツヤツヤのような気がするのだけれど。」
「何をおっしゃいますか。サリーナ様の肌の方が…」
「ねぇ~、褒め合ってないで行こうよ~。どっちも可愛いし、綺麗だからさぁ~。」
「アル…。」
「アル様…。」
「…メル、行きましょうか。」
「…はい。」
「では、魔法をかけるわよ。ルーフもね。」
「おう。」

私は、ルーフとメルに飛行の魔法をかけた。この魔法が使えるようになってから、人目が少ない時に移動手段として使っている。

ルーフは熱風で浮くことができるが、長時間飛ぶ事は苦手で、メルは仕組みが理解できず使えない様だ。

「リーナ良い?」
「ええ。準備OKよ。」
「じゃあ、しゅっぱ~つ!」

アルが勢いよく、高度を上げた。
私達も地面を蹴り、空へ飛び立つ。

高度はこれくらいでいいかしら。

アルは私達の遥か頭上を飛んでいるが、私達は下にいる人が気にならない位の高さを飛べばそれで良い。

今日はメルもいるからのんびり行きましょう。

私は少しスピードを落として、先程アルが示していた方へ向かった。
私自身のスピードは自由に調節できるが、ルーフとメルのスピードは自動的に私と同じになる。

メルを見ると、口角が上がり楽しそうだ。

「リーナぁ!あそこだよぉ!」

アルが叫ぶ。
言われた方を見ると、森の中に赤い色が転々と見える。

「メル、ここは…」
「もちろん。スウィーティー家の物です。」
「よし!降りるわよ。」

私達は徐々に高度を下げ、着地した。





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