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92 サプライズ後
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私は、訓練が終わりこちらへ来てくれたザック様に、サプライズの事を話した。
「リーナ。」
「はい?」
「抱きしめていい?」
「だ、駄目です!」
「何で?」
「なんでって…」
ここ、訓練場。
しかも、シュルツ様もいるのに…。
「俺、帰るか?」
「ああ、そうして。」
私が気にしていることを察知したのだろう、シュルツの発言に簡単に頷くザック様。
「ザック様、何を仰っているのですか?」
「何ってシュルツが気になるんだろう?いなくなれば問題なく抱きしめ、」
「恩人に向かって、それはありません。」
「恩人?」
「………あ。」
さっき、ぼやかしたのに…。
ごめんなさいね、バズ様。
「リーナ、隠し事は無しだよ?」
「隠し事と言いますか、これは特に話さなくてもいい事と言いますか…」
「スウィーティー様。あいつを庇わなくていいよ。俺も後で言うつもりだったし。」
シュルツ様がニッコリ笑う。
「庇う?リーナが誰を?」
「それは…」
「バズだよ。」
「バズ?何で?」
「街でスウィーティー様に声を掛けていたんだ。こんなに綺麗な子には会えないかもしれないから、とか言ってたかな。」
「…それは、同感だな。」
「声をかけられたと言っても、ザック様の婚約者と知らなかった様ですし、直ぐにシュルツ様もいらしたので何もなかったですよ。」
「知らない奴に声をかけられて怖かっただろう?」
頭を撫でられる。
「怖くはなかったです。ちょっと面倒くさいなとは思いましたけど…。」
「そうか。なら良い。」
「おっ、俺の思っていた反応とは違う。」
シュルツ様が驚いている。
「何がだ?」
「いや、もっと怒るかと思ってたんだよ。」
「怒る?」
「『俺の婚約者に声をかけやがって』みたいな?」
「そんな理不尽なことは言わない。」
「へぇー。」
「リーナが綺麗で可愛いのは分かっていることだから、声をかけられるのは必然。……とはいえ、安易に女性に声をかけるなとは注意するけどな。」
「ほぉ~。」
「それより、リーナは自分がそこら辺にはいない綺麗で可愛い女性だという事を分かったほうがいい。何故一人で街に行ったんだ?もっと、危機感を持たないといけない。」
怒られるのは、私だった!?
「ですが、仕事帰りには一人で行くしかないと思います。それに、アルもいましたし…。」
「俺が一緒に行く。」
「ザック様は訓練日だったではないですか。」
「この後は何もない。」
「ですが、訓練後はいつもお疲れですよね?」
「一緒に買い物するくらい、どうってことないから。」
「明日に響きます。」
「可愛いリーナに何かあったほうが響く。」
「で、でも、私は対応できますよ。」
魔法の腕には多少の自信がある。
「強いかどうかの問題ではないよ。魔導具だってあるし、何も起きない可能性がないとは言えないんだから。」
私は何も言えなくなった。
その様子を見て、シュルツ様が笑いをこらえながら、言った。
「くくっ。スウィーティー様、諦めたほうが良いですよ。これからは、番犬を連れて買い物行って下さい。」
「番犬…。」
私はザック様を見た。
「ん?何?」
他の人から見ても、犬に見えるのね…。
ま、いいか。ひとりで行かなきゃいけないことはないし、隠すものも無い。
「ザック様。この後予定がなければ、一緒にデートしましょう。」
「で、デート!?」
「そうですけど?」
何故、そんなに驚いているの?
「いや、改めて言われると緊張する…。」
頬を赤らめたザック様を見て、シュルツ様は少し呆れているようだ。
「お前、面倒くさいな。婚約して何年経つんだよ。」
「リーナ。」
「はい?」
「抱きしめていい?」
「だ、駄目です!」
「何で?」
「なんでって…」
ここ、訓練場。
しかも、シュルツ様もいるのに…。
「俺、帰るか?」
「ああ、そうして。」
私が気にしていることを察知したのだろう、シュルツの発言に簡単に頷くザック様。
「ザック様、何を仰っているのですか?」
「何ってシュルツが気になるんだろう?いなくなれば問題なく抱きしめ、」
「恩人に向かって、それはありません。」
「恩人?」
「………あ。」
さっき、ぼやかしたのに…。
ごめんなさいね、バズ様。
「リーナ、隠し事は無しだよ?」
「隠し事と言いますか、これは特に話さなくてもいい事と言いますか…」
「スウィーティー様。あいつを庇わなくていいよ。俺も後で言うつもりだったし。」
シュルツ様がニッコリ笑う。
「庇う?リーナが誰を?」
「それは…」
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「街でスウィーティー様に声を掛けていたんだ。こんなに綺麗な子には会えないかもしれないから、とか言ってたかな。」
「…それは、同感だな。」
「声をかけられたと言っても、ザック様の婚約者と知らなかった様ですし、直ぐにシュルツ様もいらしたので何もなかったですよ。」
「知らない奴に声をかけられて怖かっただろう?」
頭を撫でられる。
「怖くはなかったです。ちょっと面倒くさいなとは思いましたけど…。」
「そうか。なら良い。」
「おっ、俺の思っていた反応とは違う。」
シュルツ様が驚いている。
「何がだ?」
「いや、もっと怒るかと思ってたんだよ。」
「怒る?」
「『俺の婚約者に声をかけやがって』みたいな?」
「そんな理不尽なことは言わない。」
「へぇー。」
「リーナが綺麗で可愛いのは分かっていることだから、声をかけられるのは必然。……とはいえ、安易に女性に声をかけるなとは注意するけどな。」
「ほぉ~。」
「それより、リーナは自分がそこら辺にはいない綺麗で可愛い女性だという事を分かったほうがいい。何故一人で街に行ったんだ?もっと、危機感を持たないといけない。」
怒られるのは、私だった!?
「ですが、仕事帰りには一人で行くしかないと思います。それに、アルもいましたし…。」
「俺が一緒に行く。」
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「この後は何もない。」
「ですが、訓練後はいつもお疲れですよね?」
「一緒に買い物するくらい、どうってことないから。」
「明日に響きます。」
「可愛いリーナに何かあったほうが響く。」
「で、でも、私は対応できますよ。」
魔法の腕には多少の自信がある。
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私は何も言えなくなった。
その様子を見て、シュルツ様が笑いをこらえながら、言った。
「くくっ。スウィーティー様、諦めたほうが良いですよ。これからは、番犬を連れて買い物行って下さい。」
「番犬…。」
私はザック様を見た。
「ん?何?」
他の人から見ても、犬に見えるのね…。
ま、いいか。ひとりで行かなきゃいけないことはないし、隠すものも無い。
「ザック様。この後予定がなければ、一緒にデートしましょう。」
「で、デート!?」
「そうですけど?」
何故、そんなに驚いているの?
「いや、改めて言われると緊張する…。」
頬を赤らめたザック様を見て、シュルツ様は少し呆れているようだ。
「お前、面倒くさいな。婚約して何年経つんだよ。」
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