ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ

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93 騒ぎ

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私達は訓練場を出て、シュルツ様と別れ、街に戻ってきた。

「何か欲しいものは?」
「用事は終わっているのです。アルと公園で遊ぼうと思っていたのですが、訓練場で飛んで満足したみたいですね。」

そう言ってアルを見ると、弾んだ声が返ってきた。

“楽しかったよ~。”
“良かったわね。私もリーナに構ってもらったから、今日は満足よ。”

パールも機嫌が良さそうだ。

「それなら、少し街なかを歩こうか?」
「はい。」

私達は目的なく、店を見ながら大通りを歩いた。

「こういうの久しぶりな気がします。」
「そうなのか?」
「ずっと忙しくて出来ていなかったので。」

この世界でほとんど経験はないが、言葉から何か察してくれたのだろう。深く聞かれることはなかった。

ウィンドウショッピング。
前は苦手だったけど、ザック様とならこうして街を回るのも楽しいわ。

その時、何やら騒がしくなった。

「どうしたのかしら?」
「行ってみよう。」

騒ぎが起こっているだろう所には、人集りが出来ていた。

人々の視線の先には剣を持ち、向かい合う男と騎士達。

「何をしてるんだ?」

ザック様が呟くと、野次馬のひとりが教えてくれた。

「破落戸が暴れて、騎士団が来たんだが、決着がつかないんだ。どうなってんだかな。」

アイザックは冷静に状況を見る。
破落戸三人に、騎士が二人。
周りを囲む野次馬は破落戸の近くにもいる。

「…囲んでいる市民に被害がいかないようにセーブして戦っているのか。」

市民を人質にされたら、手を出せなくなるものね。でも…

「破落戸達は、まだ人質をとっていないんですね。」

私はザック様だけに聞こえるように言った。

「そうだな。」

こう言っては何だけど、野次馬を傷つけて道を作り逃げる事も、人質を取って言うことを聞かせることもできるのに、何故それをせず向き合っているのかしら?

「とりあえず、行ってくる。」
「はい。いってらっしゃいませ。」

ザック様は、一歩出した足をそのままにこちらに振り向いた。

「…なんか良い。」
「はい?」
「リーナに『いってらっしゃい』と言われるのは。」
「………早く行ってあげてください。」

サリーナは、アイザックの背を押した。

「改めて…行ってくる。」
「はい。」

アイザックは後ろにいた騎士に、破落戸の様子を見ながら、小声で話しかけた。

「第2部隊のアイザックです。これはどんな状況ですか?」
「あ、アイザック殿下。私達は第3部隊です。斬り掛かって周りに被害が出たら…」

第3部隊ってリオン兄様の所?

「これだけ騎士がいるのに、何故あちら側に騎士がいないのです?」
「こちらから来たもので…」
「ふたりとも?」
「…はい。」
「はぁぁ。」

アイザックは、大きな溜息をついた。

そんな話をしていると、前にいた騎士が何を血迷ったか破落戸に斬りかかった。

「アイザック殿下!来てくださったなら、話してないで援護お願いします!」
「は?」

ガツン

騎士の剣と破落戸の中のひとりの剣がぶつかる。
その衝撃で破落戸の剣が折れた。

一発で折れる剣って何!?

そして、その折れた剣先はサリーナのいる方へ飛んできた。

「リーナ!」

ゴツン!

結構な勢いで当たり大きな音もしたが、サリーナは無傷だった。

「リーナ、大丈夫か?」

破落戸を魔法で確保しながら、アイザックはサリーナへ向かって叫んだ。

「びっくりはしましたが、大丈夫ですよ。バリアを張っておいてよかったです。」

サリーナは、微笑んだ。

ふぅ…訓練場に入る前に張って、解除してなくて良かった。
実は、あまりに楽しくて解除を忘れていたのよね…。





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