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98 夜に行なう1日の出来事を話す会

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『そうか、そんなことが。』
「心当たりはお有りですか?」

サリーナとアイザックは、習慣になっている『夜に行なう、1日の出来事を話す会』をしていた。
決めていないのに、ほぼ毎日と言っていいくらいの頻度で、小型手紙魔法陣を使った遣り取りをしているのだ。

『う~ん…たぶん。あの時だと思う。』
「あの時?」
『隊長の家にお邪魔したら、妹君とお子さん達が来ていた。』
「そのひとりがアントニーさん?」
『たぶん。魔力操作のコツを聞かれたから、リーナから教えてもらった事を話した。』
「それで、師匠なのね。」
『その1回だけだけどな。』
「ザック様にアドバイスをもらった事や、そのアドバイスで出来るようになった事が嬉しかったのね。」
『その気持ちは分かる。俺もリーナに見てもらえて、魔法で世界が変わった。』
「ザック様は魔法が苦手でしたものね。」
『ああ。それにしても、師匠という呼び方は、変えてもらわないとな。』
「何があるか分かりませんものね…。」
『弟子を持った覚えもないしね。』

冷たくも感じるかもしれないが、子供が言っている事とはいえ、ザック様と繋がりを持とうとする変な人がアントニーに近づいたり、命を狙われたりする事が考えられる為、そのままにはしておけない。

『隊長に頼むことにするよ。』
「私も、学校で聞いたらお話させてもらいます。」
『ありがとう。よろしく。』
「はい。」
『話は変わるのだが、今度武道大会がある。見に来てくれるか?』

「もちろんです。」

今まで学校があって、行きたくても行けなかったのよね。

武道大会は、騎士達が競い合うもので、鍛錬の1つに位置し、騎士とは関係なく一般人も見学が出来る。

『ルーフやアルも一緒に来ていいから、けしてひとりでは来ない様に!』
「分かりました。」
『それと、侍女や侍従も一緒がいいと思う。』
「メルは一緒に行ってくれると思いますが。」
『女性ふたりでは危なくないかな?』
「大丈夫ですよ。」
『声をかけられたら、逃げるんだよ?』
「それでは、こちらが不審者です…。」
『そんなことない。リーナは可愛いのだから。』
「可愛いと、不審者じゃないのは、結びつきません。………ザック様、お父様のようですね。」
『それは、嫌だ…。』
「クスクスッ。…それで、日にちはいつですか?」
『来週の金の日だ。』

金曜日。
曜日はこちらにもあり、~の日と呼ぶ。

「分かりました。必ず見に行きます。」
『それでは、張り切らせてもらう。』
「はい。楽しみにしていますね。」

そして、あっという間に武道大会の日となった。


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