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116 兄貴

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私達家族は、家の裏の森にいた。
アルも木の上にいる。

結局立ち会っているわね。

「アル…。お嫁さんの所に戻っていいといったのに。」
「『主を大切にしなさい』って追い出されたの。ここなら巣も近いし良いでしょ。」
「そう…。ありがとう。お嫁さんにもお礼を言っておいてね。」
「は~い。」

ザック様達は、空を飛んで戻ってきた。ザック様、パール、ルーフ、件の2匹の順で森へ降りる。

「アイザック殿下。お手数おかけして申し訳ございません。」

お父様はザック様へ頭を下げる。

「公爵のせいではない。気にしないでくれ。」
「そうよ。アイザックくんではなく、このバカ達のせいよ。」

パールは、後ろの2匹を見る。

「えへ。来ちゃった!」

最初に、口を開いたのは黒豹だ。

「『来ちゃった!』じゃないわよ。断ったでしょ?」
「でも、諦められないんだよ~。と言うことで、また口説きに来た!」
「…」

パールは答えない。

呆れているわね…。

「俺は、兄貴についていこうと決めたんだ!」

今度は、黒狼が胸を張る。

「兄貴になった覚えはない。」
「兄貴になってくれ!」
「お前が思う兄貴とは何だ?」
「兄貴か?俺より強い。」
「…それだけか?」
「強かったら、ついて行きたくなる。俺は心を入れ替えて兄貴の為に動くぞ。」
「はぁ…。無用な戦いはしないと約束しろ。」
「え?」
「どうなんだ?」

黒狼は、首をブンブンと縦に振る。

「リーナ。俺はこいつの兄貴になる。」
「分かったわ。」
「ルーフ!貴方、面倒くさいと言っていたじゃないの!?」

パールが驚く。

来訪これが続く方が面倒くさいと分かった。」
「兄貴。俺の気持ち分かってくれたんですね!」

ルーフ、そんな事言ってないわよね?

「それでだ。」

スルー!

「お前は森を守れ。他にも強いやつがいるらしいが、弱いものも多いのだろう?黒豹これは今後もこちらへ来る気がする。今まで守っていた場所の奴が困ることもあるだろう。そっちも守ってやれ。」
「はい!兄貴!」
「では、森へ戻れ。」
「イエッサー!」

黒狼はそのまま森を出て行こうとする。

「ちょっと待て!街を抜けないと、元の森へ帰れないでしょ?」
「そうだったな…。」
「後で街の外れまで送るわ。」
「は!兄貴の主、ありがとうございます!」

随分、素直になったわね。








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