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118 帰り

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私は今、空の上。
ザック様とルーフと一緒に黒狼を町外れへ送っている所だ。

パールは私の部屋で、ふて寝中。
黒豹くんは、騎士団の許可が出るまで我が家の裏の森に滞在することになった。

家の中に居場所を作ろうとも思ったが、

「それは、遠慮するよ。そこまで図々しくないし、パールを口説く応援をしてもらっただけで十分だ。」
「あら。そう?」

私は、それを聞いてちらりとパールを見た。

「…ふん。」

パールはそっぽを向いてしまったが、怒っているような雰囲気は感じられなかった。


「少しずつでも打ち解けてくれると良いけど。」
「ん?どうした?」
「パールのことを思い出していたのです。」
「ああ。どうなるかは見守るしかないな。」
「そうですね。…そうだ。ねぇ、黒狼くん。」
「はい?」
「黒豹くんとは長い付き合いなのかしら?」
「付き合いも何もないです。」
「でも、知り合いなのでしょう?」
「まぁ、同じ森ですからね。」
「どんな子か分かる?」
「臆病者。何度戦いを申し込んでも戦うことをせず逃げますから。」
「そう。」

面倒くさかったのかしら?

「リーナ、見えたぞ。」

森に少し入ったところで、私達は降りた。

「兄貴の主、ありがとうございました。」
「良いのよ。それより、その『兄貴の主』ってやめてほしいわ。」
「しかし…」
「リーナが言っているんだ。」
「はい、兄貴!何と呼べば?」
「リーナは、サリーナと言う名だ。」
「では、サリーナさん!ありがとうございました!兄貴もまた…すぐにでも森へ来てください!」
「…気が向いたら行く。」
「では!…あ、何かある時は遠吠えをしてくれれば、何時でも馳せ参じます。」
「ああ、分かった。」

そして、黒狼は森の奥へと消えていった。

「濃い1日でしたね。」
「そうだな。何日も経ったような気さえしてくる。…夜も遅い。帰ろうか。」
「はい。」
「俺は鍛錬がてら走っていく。」

ルーフがそう言い出した。

「え?遠いわよ?」
「確かに飛ぶより時間はかかるが、速く走る事はできるからな。」

鍛錬か。『駄目だ』といえば聞くとは思うけど…。

「明日、森の訓練場にも行くけど疲れない?」
「こんな事で支障が出るほど疲れない。」
「そうね。…分かったわ。気をつけるのよ。」
「分かっている。」
「街中に行く時に明るくなっていたら、呼ぶのよ。」
「そんなにかからない。」
「迷子になったら、」
「リーナ。家のニオイに向かえば迷子になりようが無い。」
「…そうよね。」
「リーナ。ルーフは大丈夫。」
「ザック様…。分かっています。」
「では、行こうか。」
「はい。…ルーフ、後でね。」
「ああ。後で。」

そして、私達は分かれ、再び空へ飛び立った。







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