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しおりを挟むその日の夜、自分で作ったシロツメクサの花冠をじっと見つめていると、皇子が私の部屋に来た。
ひどく憔悴していたから、まずはソファーに座らせた。私は皇子の前にひざまずいて、冷たい手に自分のを重ねた。
「俺は」
「いいのよ、皇子。何も言わなくていいの。あなたは何も悪くないの。大丈夫よ。わたくしはどんなことが起きてもアレックスの味方ですわ」
「……アルザ……」
傷ついた皇子をそっと抱きしめる。温もりと優しさに安心したのを見計らって、皇子の手を引いて寝室へ向かった。私がベッドに座ると、皇子は我に返ったように首を横に振った。私はその手をきつく握りしめた。
「何もしません。ただ、そうね、……添い寝をしましょう。子どもの頃によくやりましたでしょう?」
「子どもの頃と今は違うだろ」
「いいえ、一緒ですわ。安心して眠りたい子どもと同じです。ねっ、皇子。人の温もりは不安を消してくれるのよ」
横になって皇子に手を伸ばすと、何だかんだいいながらもベッドに上がった。愛した女がいなくなったばかりなのに。そういう所が無神経なんだ、このアホ皇子。それを愛した女もアホだけど。
「……アルザ」
「今はゆっくりお休みになって」
腕まくらをしたら、皇子は胸に顔を寄せてスヤスヤと眠り始めた。私は皇子のキレイな髪を撫でながら、自分の唇をペロリと舐めた。
愛した女が嫌っていた、その女の腕の中で眠るなんて、皇子は女ってものを何も分かってない。甘やかされて育ったから、そういう考えにも及ばないんでしょうけど。
「バカな人」
皇子に裏切られた日々のことをハッキリと覚えている。あの日々の傷は、まだこんなにも鮮明に残っていて、どんどん私を腐らせた。
苦しかった。
心から愛する人が、別の誰かを愛していく様子を見るのは、死にたくなるほどつらかった。いいえ、死んだの。皇子があの女の名前を呼ぶたび、私は殺された。ずっとずっと殺され続けた。
腐って堕ちた私は……
「よう」
「やっぱり来てくれた」
唯一の愛に出会えた。
「泣いてんじゃねーかとな」
何もない所から現れたご主人さまは、当たり前のようにベッドに座って、私の髪を撫でた。本当に何者なんだ。聞いたって教えてくれないだろうけど。
「泣いてないわ」
「惚れてたんだろ」
「昔の話よ。今はご主人様以外に興味ないの。でも、そうね、ただ、腹が立っただけ。それだけのお話です」
「……それだけ、か。……本当に?」
眠っている皇子から腕を抜いて、ご主人様の方に寝返りを打とうとした。でも、ご主人様がアレをぼろんと出したのを見て、あーんと口を開けた。
「よく言うぜ、どうせ【見られること】に興奮を覚えただけだろ」
「んぅっ、あなたもそうでしょう?」
「まぁ、いいぜ、最後の仕上げでも手伝ってやるか。手だけ、それ以上は許さねえ」
「ぐんう!!」
ご主人様は私の頭を掴んだ。アレを喉の奥まで押し込み、腰を前後に動かした。
嗚咽が出た。ヨダレも出た。それでも、喉の奥をガンガン攻め立てるアレに、苦しさで涙が溢れてきた。
「あー……その表情、……最高だ」
「んぐぅ!んうっ!」
ご主人様の誉め言葉に、細胞の全てが喜んだ。もう待てなかった。理性すらも必要なく感じた。
「こいつがほしいなら自分で準備しろ」
すぐに自分の指をアソコに入れた。フェラだけで垂れ流しのアソコを無我夢中でかき混ぜた。ここまで滾るのは、久しぶりだった。
「ねっ、もう、入れてっ」
「いいのかよ、【婚約者が見てる】ぜ」
首を動かして後ろを見ると、顔面蒼白の皇子が口を開けてこっちを見ていた。そう、【見ていた】の。
これは夢じゃないかと、今を疑ってる。疑いのその目で、私を見ていた。
「んうう!!」
「おら、勝手にイッてんじゃねえ。こっちにケツ向けろ」
ビクンビクンと動くアソコから指を引き抜いて、ご主人様にお尻を向けた。四つん這いになった私は、目の前にいる皇子の頬を優しく撫でた。皇子の目に恍惚に染まっている私が見えて、芯から熱くなった。
「ねぇ、皇子。目の前で【婚約者】が奪われるってどんな気持ち?」
「……アル……ザ……?」
「自尊心がボロボロ?苦しい?死にたくなる?それとも、殺したくなる?」
「……うそ……だろ……」
「私は、痛かったわ。ずっと、ずっと、痛くて……でもね、ご主人様のおかげで痛みが快楽に変わったの。あの日、私は心から救われたのよ」
「……やめ、ろ……」
涙目になる皇子がかわいくて、自分の唇をねっとりと舐めた。
「わたくしは、ご主人様だけを、愛してるの」
大好きなご主人様がずぐんと奥まで入ってきた。
「かわいいこと言いやがって。ああ、俺も愛してるぜ」
「ああっ!ご主人さまっ!」
脳天までしびれるそれに、私は舌が出てしまうほど悦んだ。
「やめ、ろ!やめてくれ!」
そう言う割に、目を合わせたまま。あの日と同じ。隠しきれていない欲情に手を伸ばし、それを握りながら、皇子の首に顔を埋めた。
「ねぇ、皇子っ。してあげるからっ、服をっ、脱いでくださる?」
「っ」
「あっ、……恥ずかしいことはっ、何もっないのよ……っ、もう!ご主人様っ、激しくしないでっ!」
「いいな、これ、最高に、興奮するっ」
「ああっ!あっ!んう!」
ご主人様は腰の角度を変え、奥深いトコロに触れてきた。そこはキモチイイ場所。ズンズンとそこに触れられると、キモチイイ以外のことが全部ブッ飛んでしまうトコロ。
「……ひっ!……ダメ!ダメらの!そこっ、おくっ!」
「イクことに夢中になってねーで、そいつのをやってやれ。イイコに待ってるぜ」
ご主人様の言葉で我に返る。自分の唇をペロリと舐めて、イイコに従った皇子のそれを上下にしごきながら、皇子の耳元で囁いた。それに合わせて動きを弱めるご主人様も相当タチが悪い。自分だって寝取ることに興奮を覚えたくせに。
「ええ、とてもお上手ですわ。……こんなに溢れさせて、興奮していらっしゃるのね」
「……ちがっ」
「いいのよ、皇子。これでいいじゃありませんか。キモチイイことは悪くありませんのよ。ねっ、……三人で、夢中になりましょう」
「っっ」
「きっと、すごく楽しいですわ」
皇子の手が重なった。力強く握るそれを上下にしごく。それを見たご主人様が嫉妬するかのように、力強く腰を掴んだ。
入り交じったと思った。
「ひゃん!ああ!」
【前世の記憶】と【現世の記憶】が入り交じって、ごっちゃごちゃで、今は、前世なのか、現世なのか、あやふやで、トロトロして、ふわふわで。
どっちか分からくなったから、両方に力を入れた。
「っ」
ずるんと引き抜かれたあと、アソコにぶっかけられたご主人様の熱が本物か。
「うっ」
二人の重なった手のひらに出された熱が本物なのか。
「あああっ!!」
でも、盛大に体を震わせたあとも、またずぐんとナカに入ってきたご主人様の熱が本物だと信じて、皇子の前であられもなく鳴いて叫んだ。
「んひゃう!ごしゅじんさまっ!キモチイイですっ、キモチイイですぅ!あなたがっ、だれよりもすきです!」
「またぶっ飛びやがった。ったく、かわいい奴隷め。ほら、皇子が見てるぞ。何か言ってやれ」
「そんなのっ、ないの!ごしゅじんさまっ!ごしゅじんさまだけがっ、わたしのっ!」
「アルザっっ」
この日、私は、現世の婚約者の前で、前世のご主人様を求め続けた。
でも、罪悪感なんてものはこれっぽっちもない。
先に裏切ったのは、皇子だ。
現世の私を殺したのは、皇子なんだ。
「懐かしいな、シロツメクサ。おい、くそ皇子、知ってるか?これの花言葉は……」
そう、これは、ただ、【復讐】するだけの、つまらないお話だわ。
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