【R18】わたしとアイツと腐った純愛

くったん

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わたしとアイツと日常

 6話

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「なぁ、咲希」
「んー?」
「……何でもねえ」
 あの日、転がり出そうな言葉を飲み干すのに必死で、二度寝する咲希をそのままにして部屋に戻った。
 勉強を再開しようにも集中出来るはずもなく、その日は休みにして部屋で過ごしていた。
 好きだって言ってしまいそうだった。
 まだそのときじゃない。言ったら最後。俺たちの関係は終わってしまう。ようやくここまできたんだ、絶対に終わりたくない。
 多分もう少し。
 もう少しで、咲希は……
「ちょっと、聞いてんの?」
「……へ?」
「テストよ、テスト。結果はどうだったの」
 今日は学校が休み。テスト期間も終わった。もちろん結果は惨敗。テストの平均点数は90点と劇的に上がったけど、満点は一つも取れなかった。
 あんだけ勉強したのに結果がコレ。むちゃくそかっこ悪いから、テストが返ってきても咲希に内緒にしてた。
 黙ってれば約束なんてすぐ忘れるだろうと思ってたけど、同じく今日休みだった咲希にテストの結果を聞かれてしまった。
「あー……ムリでした」
「答案用紙を見せなさい」
「そこまでする!?」
「いいから早く。あんたの部屋に行くわよ」
 何が悲しくてかっこ悪い姿を見せなきゃならねーんだって言いたいけど、足コキで反応する姿よりマシかと思い、咲希に先導されながら部屋に向かう。
「これ」
 机の引き出しから全教科の答案用紙を引っ張り出して咲希に渡すと、それを受け取りベッドに腰掛けた。
「ここ、座りなさい」
 咲希が指差した場所は、ベッドに座る咲希の前、つまり床。そういう命令に慣れてる俺は黙って従った。
 今回は何を言われるんだろう。咲希のことだから、「約束は約束よ。お姉さまの下僕として一日中遊んで、あ、げ、る」とか言うんだろうな。それはそれで全然おいしいけど、俺が咲希で遊びたかったわけで。あーあ、たまには好き放題したかった。
「へぇ、98点が二枚もある」
「でも満点じゃねーし」
「どれも90点はとれてるし、頑張ったじゃないの」
「でも満点じゃねーし」
「前回より平均点数上がったんでしょ? 成績もうなぎ登りね」
「でも満点じゃねーし」
「これでママも一安心ね。この調子で次のテストも頑張りなさい」
「……ん?」
 すっげぇ違和感を感じて咲希を見ると、すっげぇ笑顔を向けてきた。
「あんたの成績を上げたらボーナスをあげるって言われてたの。勇樹のおかげで臨時収入が入ったわ」
 この悪魔!俺との約束を使ってお袋と取引してやがった!マジで信じらんねえ!っていう文句を口にする前に、咲希の手が俺の頭に乗った。
「そう怒らないでよ。成績が上がったら、あんたのお小遣いを増やすように頼んでるから」
「マジで?」
「そりゃそうよ。頑張ったご褒美はほしいでしょ」
「お姉さまが最高過ぎて女神に見える!」
「もうすぐクリスマスよね。ほしいピアスがあるの。プレゼントを楽しみにしてる」
「……やっぱり悪魔な女だな! そーいう魂胆で取引をしたのかよ!」
「はい、じゃあ、今度は私の番ね。約束通り、あんたを好き放題してあげる」
「どうせそれも何かの陰謀が働いてるんだろ」
「約束は約束よ。そ、れ、に、……あんたのアレが恋しくて」
 ウソか本当か、咲希の小せえ足が俺のアレに触れる。悲しいかな、それだけでムクムクっと勃っちまう。ほんと、腐ってやがるぜ。
「あらあら、あんたもお姉さまが恋しかったのかしらぁ」
「当たり前だろ。そのために頑張ったんだからよぉ」
「そうよねぇ、セックス大好きだもんねぇ」
「別にそういうんじゃねーよ! ただ!」
「ただ?」
「……別に。何でもない」
 セックスが好きなだけって勘違いされてるが訂正しようにも「咲希が好きだから咲希とのセックスが好き」って言ってしまいそうで、ぐっと手を握りしめた。
 今はまだその時じゃねえ。
「ねぇ、それは……しょげてるの? それとも興奮してるの?」
「どっちもだよ! ちくしょう!」
 ほんと憎いぜ、俺の腐った純愛め!
「まぁ、でも、私は悪魔じゃないし」
「はあ?」
「何よ」
「イイエ、ベツニ」
「その生意気さは許したくないけど、今回は本当に頑張ってたし、勇樹のお願い一つだけ叶えてあげる」
「マジ!?」
「セックスがだーい好きな勇樹くんはぁ、お姉さまにぃ、何をお願いするのかなぁ」
 もはやコレしかないだろと、そのお願いを促すように、ぐっぐっと足でアレを押してくる。俺もそのために勉強を頑張ったんだ。
 願うことはただ一つ!
「好きだって言ってくれ」
 俺の口から出た言葉は全く違うものだった。
「……え?……え?……好き?」
 咲希も困惑してる。大丈夫、俺も困惑してる。
「……ほ、ほら! 俺ってさ、女に告白されたことがなくてさ! ど、どんな感じなのかなぁって! セックス経験してるのにそこは童貞かよって!」
「……そういうことね。いいわよ。お姉さまからウソの告白してあげる」
「ワーイ、スッゴクウレシイナ!」
「なぜに棒読み?」
「ハジメテの告白キンチョーシチャウ」
「お姉さまが、また、あんたのハジメテをもらってあげるね」
 そのお願いは間違いで、本当は好き放題して遊びたいんだって言いたいけども、俺の腐った純愛が咲希からの好きって言葉を聞きたいと叫んでいるのも事実で。
 でも、もしかしたら、これをキッカケに意識してくれるかも。やってみる価値はある。
「ここ、座って」
 いい作戦が浮かんだ俺は、自分の太ももを叩いてここに座るよう促した。
「別にここでもいいでしょ」
「密着されながら告白されてーの」
「いや、幻想を抱いてるところ申し訳ないんだけど、そんな告白はないと思う」
「いいの! 俺の夢なの! 俺のハジメテはこれがいいの!」
「分かったわよ! ったく、仕方ないわね」
 押しにめっぽう弱い咲希は、文句を言いながらも俺の太ももに座った。しかも何も言ってねーのに向き合う形で。だから俺はここから逃さねぇように咲希の腰に手を回した。
 ちゃんと顔を見ながら咲希の告白を聞けるとか幸せかよ。
「へへっ、何かキンチョーしちまうな」
「たかが告白のまねごとに?」
「ってことは、お姉さまは告白することに慣れてるってこと? もしかして、誰かと付き合うたびにお姉さまから告白してんの?」
「はあ!? 私は告白をされる側であって、する側じゃないの! 告白なんかしてたまるもんですか!」
「とか言って、実は数十回目だったりして」
「ふざけるんじゃないわよ! ハジメテに決まってるじゃない!」
「へ?」
「っ!?」
 余計なことを言ってしまったようで、ぎゅっと唇を噛んで俯いてしまった。これは嬉しい誤算だ。咲希のハジメテの告白をいただけるなんて幸せ過ぎて爆発しそう。
「こ、これはウソだから告白に入らないの! ただの演技なの!」
「うんうん、そうっすね」
 耳まで真っ赤にしちゃって、破滅的にかぁわいい! この世の者とは思えないくらい尊すぎて抱きついてスリスリしてガオーってして遊び倒して俺の女にしてえ!
 いかんいかん、まだ冷静に。
「ねっ、早く」
「いいわよ、やってやるわよ!」
 がばりと顔を上げた咲希と目が合う。でも咲希目線はすぅっと横にズレていった。
「どした?」
「べ、別に!」
「照れてんの?」
「まさか!」
「んじゃ、俺の目を見て、好きって言ってみて」
「何で目を見る必要があるのよ!」
「ただの演技だろ? それとも何? 俺のこと意識してんの?」
「バッ、バカ言ってんじゃないわよ! 誰がペットのあんたなんか!」
「んなら余裕で言えるよな。ペット如きに照れもキンチョーもするはずないもんなぁ」
「余裕よ、余裕しゃくしゃくよ」
 ここまで追い込んだらもうあとはない。咲希はふぅっと息を吐いたあと、もう一度俺の目をみた。
「……あ、……あぅ」
 もはや目を回している。いや、思考もぐちゃぐちゃに回ってるに違いない。
「早く」
「……えっと」
「まだ?」
「……あ……、うぅ……」
 なんだこれ。かわいすぎだろ。まだ告白されてねーのに、何かもう……何かもう!!
「……俺のこと、好き?」
 たまらず聞いてしまった。
 しまったと後悔したのもつかの間、俺は破壊された。長年溜め込んでいた想いを、そりゃもう粉々に。
「……ん」
 真っ赤な顔で小さく頷く咲希は、俺の心を壊せる唯一の破壊兵器であり、これだけは誰にも見せたくないと、俺のものであってほしいと、俺の女になってほしいと、押さえ付けてた想いが溢れ出して止まらない。
 全部が全部ウソなのに。
 でも……
「俺も、好き」
「っ」
「……なんちゃって」
 ウソだからこそ、ウソのせいにして、力いっぱい咲希を抱きしめた。



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