【R18】わたしとアイツと腐った純愛

くったん

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わたしとアイツと報告ノート

◆7話

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「……お別れの言葉は要らない。きっとまた会えると信じてるから」
 イタリア修行から帰国して二日目。現在、ベッドに腰掛けてる勇樹の前で、この私が床に正座をしている。
 帰国するなり、般若と化した勇樹に出迎えられた。
 いくつも届く荷物の中に、明らかに男から貰ったであろうプレゼントが大量にあったと。ここまで貢がれるってことは、浮気をしたか、もてあそんだか、どっちにしろ許されることはしてないだろうと。
「勇樹を不安にさせていたのね。でも、安心して。浮気なんてしてないわ。好きな物を好きなだけ買ってあげるって言われたから、正直になっただけ。マイクは財布、浮気相手じゃないのよ」
「はい、嘘。最低。信じてた俺がバカみてえ」
「私を信じて! 私はね、勇樹のためなら何だってしてあげるのよ!」
「それじゃあ、反省文を提出してくれよ。イタリアでの生活を、嘘偽りナシで、すべてを書き出してもらうぜ」
「……ちょっとそういうのは……、ほら、プライベートに関わるし……」
「書き終えるまで一歩たりとも部屋から出さねえ」
「あー………」
「ほらほら、早く書き上げねぇと、俺の春休みが終わっちまう。寝る暇を惜しんで書けよ、この浮気者。俺のためなら何でも出来るんだろ?」
「同じ男でもマイクと全然違うんだね。マイクは常に紳士だったのに。何で日本の男ってこうあるのかしら」
「マジでなめてやがんな。絶対反省してねぇだろ」
 ということがあって、イタリアの生活がつづられた反省文を書くことになった。いっそのこと春休み中にかけて書いてやろうと思ったけど、私も仕事があるし、寝る暇を惜しんで二日で書き上げ、報告ノートと書かれたノートを勇樹に提出。
 そして冒頭に戻る。
「ツッコミどころ満載過ぎて処理しきれねぇんだけど。とりあえず咲希が文章力のないウソツキクソ女ってことは理解した」
「はあ?」
「ああ?」
「ナンデモアリマセン」
「結局何だよ、原因って。言い寄られたのは本当の話だろうけどさ、なんつーか……被害に遭ったマイクが可哀想なんだけど」
「それね、私も書いてて整理できたの」
「何?」
「飲み過ぎよ」
「は?」
「普通なら次の日にシラフに戻ってまともな思考に戻るんだろうけど、初日は飛行機で飲み過ぎて、しかも寝不足に時差ボケも入ってたでしょ。現地に着いても夜は歓迎会でたらふく飲んで、次の日も仕事で朝から夜中までテイスティング。睡眠時間二時間で、またワイナリー見学でテイスティング。夜も同じく。休みの日もここぞとはかりにガチ飲み。この一カ月飲みっぱなしだったの。やっぱり睡眠時間二時間で連日お酒はキッツいわ。つまり、何が原因かというと、ハードスケジュールとお酒の飲み過ぎね」
 勇樹は頭を抱えるだけで何も言わず。とりあえず勇樹の意識が戻ってくるのを待ってた。
「あー……、いろいろと整理してーし、散歩にでも行く?」
「行く!」
 今日の予定も決まったし、久しぶりのお散歩デートへ。
 勇樹と並んで町を歩く。ようやく会えた実感が沸いて、自然と笑顔になってしまう。
「マイクと違って金もねぇし、公園でピクニックでもどうっすか」
「いいわね! ピクニック大好き!」
「俺は?」
「もっと好き!」
「愛情5パー回復」
「好き好き好き」
「言われた数で上がるわけじゃねぇけど3パー回復」
「やった! 上がった!」
「あと92回言ってくれたら100パーなんだけどなぁ」
「めんどくさいから今すぐ100パーにしなさいよ」
「マジで絶対に反省しないのな、生意気お姉さま」
 公園に向かう途中、サンドイッチが有名なパン屋さんでパンを買った。
 公園のベンチに座って、少し冷めたコーヒーを飲みながらそれを食べる。寒いけど今日は晴れていて何よりだ。
「あー……、会いたかった」
 勇樹はベンチに寝転ぶと、太ももに頭を乗っけてきた。
「私も!」
「嘘つき、浮気者」
「あれは浮気じゃないの」
「俺が同じことしたら?」
「あら、勇樹くんは去勢されたいの?」
「ったく、傲慢でワガママだよなぁ。振り回される身にもなってほしいぜ」
「男は女に振り回されるくらいがちょうどいいのよ」
「まっ、惚れた弱みってやつっすね」
「そういうこと」
 気持ち良いくらいスカッと爽やかな真っ青な空を見上げた。勇樹の手が私の手をギュッと握ってきた。
「なぁ、本当は何があったんだよ。どうせまだ続きがあんだろ? マイクの想いをなあなあで終わらせるわけねぇし」
「なんのことかしら」
「うわ、秘密主義かよ」
「お口直しでもしよっかな」
 もう片方の手で、ポケットからキャンディーを取り出して口に含んだ。ついでに勇樹の口にも含ませる。
「誤魔化しやがったな」
「そんなことないわよ」
「つーか報告ノートの内容のほとんどが嘘ばっかなんだけど。これ、報告する気ないじゃん」
「そんなことないわよ。本当の話よ」
「二重人格も?」
「二重人格はウソよ。飛行機で見てたアニメが面白くて、そのキャラをパクったの」
「やっぱりウソつきじゃん」
「まぁまぁ、あとは大体本当のことだから」
「その大体ってやつが気になるんたけどぉ」
「はあ、いい天気ね」
「とうとうシカトかよ」
 まだ寒いはずなのに、太陽が寒さを和らげてくれる。のほほんと公園を見渡した。一組のカップルがケンカしてた。彼女が浮気したらしい。彼氏が「捨てないで」と土下座してた。あれこそ理想の修羅場だ。
 今は目が痛くなるから視線を別の所にずらした。子供がキャッキャ言いながら無邪気に遊んでいる。理想の修羅場のあとに見ると、とてもほほ笑ましいものである。キミ達も将来ああなるんだよ。
 目を閉じると、子供の騒ぐ声、楽しそうな会話、鳥の鳴き声、いろいろな声が耳に届く。
 もうすぐ春だ。
「んで、咲希にもてあそばれたマイクは立ち直れんの?」
「彼は大丈夫よ」
「なぁ、何して終わらせたんだよ」
「あのね、勇樹。物語の結末は、終わらせるべき物語と、終わらせない物語、二つあるの。今回は終わらせない物語だった。それだけの話よ」
「浮気者の言い訳なんて分かりたくもねーな。結局何したんだよ。いい加減、マジで怒るぜ」
「オー、ノー」
 目を閉じてて表情は伺えないけど、マジでキレる寸前ってのは、声で分かる。
 確かにノートに綴った話にはまだ途中がある。マイクとのお別れがあれで済むわけない。でも私の威厳の為にも絶対に教えたくない。かといって嘘で誤魔化しても勇樹にはモロバレ。
 覚悟を決めるしかないようだ。
「……したの」
「まさかセックスじゃねーよな!?」
「違うわよ! 勇樹がいるのに!」
「よっし、愛情3パー回復。で、何をしたんだよ」
「……ざ」
「ざ?」
「……っ、土下座して謝ったの! 本当に申し訳ないって、おでこを床に引っ付けて私なりの誠意を見せたの!」
「……咲希が、……土下座、だと?」
「だってこうでもしないと罪悪感で死にそうだった! マイクは『勝手に惚れてやったことだから必要ない』って言ってくれたけど、でも……そうよ、マイクのためでも何でもない! 自分のために頭を下げたクソ女なのよ!」
「……マジかよ」
「うぅ、生まれてはじめて頭を下げたのぉ……」
「いやなんつーか、仮にノートの内容が本当の話だったとして、あそこまで酷いことをしといて土下座で済まそうとする辺りが性根が腐ってやがるし、何の解決にもなってねぇからさらに驚きだし。でも言えることは一つ、マイクの野郎、まじで紳士だぜ」
「そこ!?」
「尊敬するわ、マイク。いつか会ったら咲希の性悪について語り合おう」
「みんなで性悪って! そもそも性悪って何なのよ!」
「辞書で性悪って引いてみ? 咲希って名前がそこにあるから」
「生意気っ!」
「痛い!」
 勇樹のおでこにデコピンした。今回は、マイクのことにしろ、勇樹に心配をかけたことにしろ、どう考えても私が悪い。デコピンしたところをそっと撫でて、小さくごめんと謝った。
「罪の意識はあるんすね」
「そりゃあるわよ」
「じゃあ、俺のゴキゲン直すの手伝って?」
「いいわよ」
「マジで!?」
「勇樹のためなら何でもするって言ったじゃない。まっ、どうせセックスの要求でしょ? どんだけ溜まってるのよ。あーやだやだ、濃い精子って苦手なのよね」
「えー、でも、うーん、……ここでするか」
「ん? ここ?」
「ここ」
 勇樹に手を引かれて、誰も来なさそうな公園の公衆トイレに連れて行かれた。
 これって、ここでセックスすること?ちょっと、……ええええ!? ここは公園だよ! エッチなことをする場所じゃなくてアグレッシブに遊ぶ所だよ! はっ、ある意味アグレッシブ!
 冷や汗ダラダラの私をよそに、便座に座った勇樹が太ももを叩いて、「座って」と促してきた。
 首を横に振れば、手を掴んで思い切り引っ張ってきた。
「何でもしてくれる約束だろ」
 こうなると座るまで終わらないから、大人しく太ももに座ることにした。
「もっとゴネるかと思ったけど。もしかして咲希も溜まってたぁ?」
「っ」
 ここは公園で人がいつ来てもおかしくない。そんなこと分かってるのに、拒否したくない自分が居るなんて。……おかしい、絶対に。なにこれ恥ずかしさで死ねる。
「顔真っ赤でやんのぉ」
「うるさい!」
「咲希って本番に慣れねぇよなぁ」
「そんなことないわよ! 私はいかなるジャンルも達人クラスなのよ! あんたなんか私が本気を出せばすぐに骨抜きに出来ちゃうの!」
「達人クラスねぇ。だったら俺に合わせてくれよ?」
「……うー……あー……、が、頑張る……」
「ははっ、……じゃあ、頑張ってもらお」
「んっ」
 柔らかい唇が触れ合った。離れて、また引っ付けて、それを繰り返してたら、唇が引っ付いてる時間が長くなってた。
 勇樹の首に腕を回した。角度を変えて何度も何度もキスをすると、唇の隙間から舌が入ってきたけど、すぐに唇が離れた。
「アメ……食べてた?」
「ん」
「……もっと、それちょーだい」
 小さくなったキャンディーを舌で転がし、絡める。貪るようなキスに、声が漏れそうになるのをグッと我慢した。
 酸素が足りなくて頭がボーッとする。苦しすぎて視界が歪む。でもこれが勇樹のキスと思ったら、ゾクゾクッとキモチイイモノが走って、口内がビリビリして、……もっと欲しいって思ったんだ。
「……声、我慢な?」
「ッ」
 そのタイミングを知ってるのか、服の中に手を忍ばせて、胸を揉んできた。冷たくなった指が胸の突起を摘まむ。冷たさにゾワリとした。キスしてた唇を離して、声が出ないように奥歯を噛んだ。
「キスは? ほら……舌、出して」
「……やだ」
「俺に合わせてくれんだろ?」
「……んっ」
「お利口さん」
 また舌を絡めながら、胸の突起を指でグリグリして、漏れそうになる声を我慢。寒くて冷たいはずなのに、イヤになるくらい熱くて、汗が滲む。
 このまま……真っ白になりたいのに……何かが足りない。もっと真っ白になれる、強い何かを私は知ってる。
 ほしい、たまらなく、今、ほしい。
「ッ」
「エロすぎ。腰、動いてじゃん」
「ちがっう、そんなことっ」
「ふーん」
「んんっ」
 胸の突起を摘まんでる逆の手が、下着の中に侵入してきて、冷たい指が私のナカの熱をかき回す。望んでいた強い刺激が体中に染み渡る。
「んっ! んあ!」
「声、出すなって」
 無意識に声が大きくなってしまう。それを唇で塞がれて、窒息しそうなほどの深い快楽に蝕まれた。
「あっれぇ? やっぱり溜まってたのかよぉ」
 勇樹の嫌みが鼻につく。
 でも、今は、どうでもいい。
「やだ、ゆーき、もっと、して」
「んじゃ、お口でしてくれる?」
「んっ、する」
「いいの? 濃い精子苦手なんだろ?」
「ゆーきのなら、何でもすきっ」
「あー……もう! かわいすぎ! 愛情100パー越えちまったわぁ」
 公衆トイレの中、クラクラする思考で、一カ月振りの勇樹の味を堪能した。




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