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更なるプロデュース
03 上辺の気持ちはいらない
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好きの反対は嫌いではなく、無関心。
とても有名な言葉だが、この言葉には続きがある。
好きの反対は嫌いではなく、無関心――だから、嫌いだったものが好きになったり、逆に好きなものが嫌いになることは珍しくない。
子ども頃、あれほど熱中していたゲームが、大人になって嫌いになることがある。ゲームをしている最中、他にやるべきことがあるのではないか、もっと意味のあることをしたほうがいいのではないか、と雑念と呼んでもいい思考が挟む。
その結果、好きだったゲームがいつの間にか嫌いなってしまうのだ。
は、――馬鹿な話だ。
そう、一笑出来てしまうのは、この私――黒部フネにその経験がないからだろう。
好きなものが嫌いになる? 嫌いなものが好きになる?
それは最初から好きでも嫌いでもなかったからだろう。何、可笑しなことを言っているんだ?
美川恵美子がとある女性社員に酒の席で言ったことだ。相談に来たであろうその女性社員は、そのときは私と同じように笑っていた。
その翌月、会社を辞めた。都合退職だった。
一年後、酒の席でその話を誰かにした。男だったか、女だったかは覚えていない。親しい間柄だったことはなんとなく覚えているが、どうしてもその声と顔が頭に浮かばない。
ただ、その人が言った言葉だけは覚えていた。
――好きでいられるのも、才能の一つだよ。
あのときは、この人は私に才能があると褒めたのだと都合よく解釈していたが、今にして思えば、好きでい続けるほうが少数派なのだと伝えたかったのだろう。
そう考えれば、円藤桜音も私と同じ少数派の人間だ。
だが、不破ミドリはどうだろうか?
彼女はアイドルグループ『エンジェリング』が金原優子の引き立て役でしか存在意義がないことを理由にアイドルを辞めたいと私の計画に賛同し――『ユダ』の仮面でそのアイドル性を遺憾なく発揮した。
ミドリちゃんは――アイドルを辞めていなかったのだ。ステージを、環境を変えてあげるだけで彼女は喜んでアイドルを演じる。
勝手に――好き勝手にアイドルを演じ始める。
事実に気が付いたとき、それはそうだと私は思った。
本当に好きならば――金原優子を目の敵にする必要はない。今の時代、ネットを使えば一人でアイドル活動は出来ないにせよ、アイドル的な活動ならば出来る。
彼女――ミドリちゃんはそれを理解していたのだろうか?
天気のように移り変わる好き嫌いは、私の求めているものではない。もっと、根底の感情――自分の命よりも重い言葉の発露を私は求めている。
痛い目に合いながらも、金切声を上げながら『好き』だと言えるのだろうか?
一時の感情の揺れで、気持ちが『嫌い』一色にならないだろうか?
訊かなければならない――ミドリちゃんの根底に眠る本心を。
全力無双――その第一の村、第二の村をクリアしたミドリちゃんと桜音は第三の村『赤贄村』へと足を進む。
人を殺せば殺すほど威力が増す刀が生産されている――刀匠の村である。
◇ ◇ ◇
赤贄村に到着した円藤桜音と不和ミドリは、そのボスである『夜武者』と戦いを行い――12回目の戦闘不能に陥った。
12回目の敗北である。
「う~ん、勝てない!」
体全体で地団駄を繰り返す円藤桜音に、不破ミドリはため息をつきながら返す。
「戦うごとに強くなってる感じないですか?」
「そうなんだよね~、なんだか必殺技が読めている節があるんだよね~」
唸って困り果てる円藤桜音を――不和ミドリは好きにはなれなかった。
そこまで一生懸命になる理由が判らないからだ。人は自分が理解出来ない者に対し好まない傾向があり、不破ミドリの場合、円藤桜音が当てはまっていた。
だから、黒部フネよりも少し距離取って会話している。
「よし! 新しい必殺技を考えよう! もう、これしかないよ!」
円藤桜音は――黒い鎧武者の恰好をしたのっぺらぼうの鬼に対抗するための必殺技、それを当てるための作戦だと次々と地面に書いていく。
……刀の先で書かなくても、と不和ミドリは思いながらも、同じように刀の先でアイディアを広げていった。
(フネちゃんの言う通りなら、第一章クリア、現実世界に戻れる! そこまで、ファイトだミドリ!)
自分自身を鼓舞する不和ミドリ。
内心毛嫌いしながらも、円藤桜音の横で作戦を練っていた。
既にゲームを行う理由は、不破ミドリの頭に残っていない。完全に忘れている。
ただ、一刻も早く現実に戻り、意味のあることしたい――不和ミドリはそれしか考えることが出来ないまま13回目の『夜武者』との戦闘が始まった。
とても有名な言葉だが、この言葉には続きがある。
好きの反対は嫌いではなく、無関心――だから、嫌いだったものが好きになったり、逆に好きなものが嫌いになることは珍しくない。
子ども頃、あれほど熱中していたゲームが、大人になって嫌いになることがある。ゲームをしている最中、他にやるべきことがあるのではないか、もっと意味のあることをしたほうがいいのではないか、と雑念と呼んでもいい思考が挟む。
その結果、好きだったゲームがいつの間にか嫌いなってしまうのだ。
は、――馬鹿な話だ。
そう、一笑出来てしまうのは、この私――黒部フネにその経験がないからだろう。
好きなものが嫌いになる? 嫌いなものが好きになる?
それは最初から好きでも嫌いでもなかったからだろう。何、可笑しなことを言っているんだ?
美川恵美子がとある女性社員に酒の席で言ったことだ。相談に来たであろうその女性社員は、そのときは私と同じように笑っていた。
その翌月、会社を辞めた。都合退職だった。
一年後、酒の席でその話を誰かにした。男だったか、女だったかは覚えていない。親しい間柄だったことはなんとなく覚えているが、どうしてもその声と顔が頭に浮かばない。
ただ、その人が言った言葉だけは覚えていた。
――好きでいられるのも、才能の一つだよ。
あのときは、この人は私に才能があると褒めたのだと都合よく解釈していたが、今にして思えば、好きでい続けるほうが少数派なのだと伝えたかったのだろう。
そう考えれば、円藤桜音も私と同じ少数派の人間だ。
だが、不破ミドリはどうだろうか?
彼女はアイドルグループ『エンジェリング』が金原優子の引き立て役でしか存在意義がないことを理由にアイドルを辞めたいと私の計画に賛同し――『ユダ』の仮面でそのアイドル性を遺憾なく発揮した。
ミドリちゃんは――アイドルを辞めていなかったのだ。ステージを、環境を変えてあげるだけで彼女は喜んでアイドルを演じる。
勝手に――好き勝手にアイドルを演じ始める。
事実に気が付いたとき、それはそうだと私は思った。
本当に好きならば――金原優子を目の敵にする必要はない。今の時代、ネットを使えば一人でアイドル活動は出来ないにせよ、アイドル的な活動ならば出来る。
彼女――ミドリちゃんはそれを理解していたのだろうか?
天気のように移り変わる好き嫌いは、私の求めているものではない。もっと、根底の感情――自分の命よりも重い言葉の発露を私は求めている。
痛い目に合いながらも、金切声を上げながら『好き』だと言えるのだろうか?
一時の感情の揺れで、気持ちが『嫌い』一色にならないだろうか?
訊かなければならない――ミドリちゃんの根底に眠る本心を。
全力無双――その第一の村、第二の村をクリアしたミドリちゃんと桜音は第三の村『赤贄村』へと足を進む。
人を殺せば殺すほど威力が増す刀が生産されている――刀匠の村である。
◇ ◇ ◇
赤贄村に到着した円藤桜音と不和ミドリは、そのボスである『夜武者』と戦いを行い――12回目の戦闘不能に陥った。
12回目の敗北である。
「う~ん、勝てない!」
体全体で地団駄を繰り返す円藤桜音に、不破ミドリはため息をつきながら返す。
「戦うごとに強くなってる感じないですか?」
「そうなんだよね~、なんだか必殺技が読めている節があるんだよね~」
唸って困り果てる円藤桜音を――不和ミドリは好きにはなれなかった。
そこまで一生懸命になる理由が判らないからだ。人は自分が理解出来ない者に対し好まない傾向があり、不破ミドリの場合、円藤桜音が当てはまっていた。
だから、黒部フネよりも少し距離取って会話している。
「よし! 新しい必殺技を考えよう! もう、これしかないよ!」
円藤桜音は――黒い鎧武者の恰好をしたのっぺらぼうの鬼に対抗するための必殺技、それを当てるための作戦だと次々と地面に書いていく。
……刀の先で書かなくても、と不和ミドリは思いながらも、同じように刀の先でアイディアを広げていった。
(フネちゃんの言う通りなら、第一章クリア、現実世界に戻れる! そこまで、ファイトだミドリ!)
自分自身を鼓舞する不和ミドリ。
内心毛嫌いしながらも、円藤桜音の横で作戦を練っていた。
既にゲームを行う理由は、不破ミドリの頭に残っていない。完全に忘れている。
ただ、一刻も早く現実に戻り、意味のあることしたい――不和ミドリはそれしか考えることが出来ないまま13回目の『夜武者』との戦闘が始まった。
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