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「どう? これでも素人以下だと思う?」

 隼人は驚いた様子のまま、マウスを握る手を止めた。

「……驚いた。これは予想以上だった。なぁ聖、本当に璃玖って何者なんだ?」

「何者って?」

「今日一日でこれだけ変わるって……。やっぱり、聖の力なのか?」

「違うよ。これは璃玖君自身の力だよ。あの子は、誰かが道を教えてあげて迷わないようにしてあげれば、これだけのものができるんだよ」

「なるほどな……。まぁ、たしかに璃玖はこれからもっと化けるかもしれないが……。けど、Ωじゃ正直、この先は厳しいだろ? なのにいくら放っておけないからってお前がここまでするのは、やっぱり俺には納得いかない」

 隼人は聖ともう何年も一緒に過ごしてきているが、聖は男女問わず様々な思惑で近づかれることが多かった。

 だが、どんな美人や可愛い子にも聖自身から特別な興味を示すことは決してなく、璃玖に対して行っていることが聖にとって何の意味があるのか、隼人には全く理解できなかった。

「なぁ、璃玖はΩだろ? 今は発情期も来てない年齢だから大丈夫かもしれないが、お前はαだ。巻き込まれるかもしれないぞ。それにまた、あんな辛いこと繰り返すのか? 俺は傷つくお前を見たくないぞ」

「繰り返すか……。それこそ、僕の運命なんだって受け止めるよ」

 聖は鼻で笑った。

「だいたい、聖もずっとここにいるわけじゃないんだし、璃玖の面倒なんか、ずっとは見れないだろ」

「確かにずっとは見てあげられない。だからこそ……余計にだよ。今、僕にしかできないことを璃玖君にしてあげたいんだ」

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