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「璃玖がどうかしたんですか!」

「誰こいつ?」

 急に会話に入って来た一樹に、隼人は怪訝そうな顔をする。

「璃玖君と同じスターチャートの研修生で、堂島一樹君だよ。今回、バックダンサーとして参加してもらうんだ」

「へぇー。ということは、ダンスはお上手なんだな。けど、スターチャートの育成も落ちたもんだな。大人の会話に割って入ってくるなんて……痛っ」

 聖は隼人の頭を軽く手の甲で小突いた。

「急に来たのはお前だろ。隼人がとやかく言う権利はない」

「ちぇーっ。せっかく後輩に元先輩らしいところを見せようとしたのになぁ」

「あのっ! 璃玖に何かあったんですか? アイツ、昨日から全然連絡つかなくて……」

 聖の前だということも忘れ、一樹は焦りを露わにしてしまう。

「別に元気だぜ。まあ、ちょっとバタついているというか……。ホテルには戻ったんだけど、ちょっと聖には事前報告というか……」

「えっ? 璃玖は……家に帰っていないんですか?」

「あっ……」

 隼人は余計な事を言ってしまったと気が付いた時にはもう手遅れで、一樹は問い詰めるようにどんどん隼人に詰め寄る。

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