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「一体どうしてなんですか? 璃玖は今どこにいるんですか?」

「知らねーよ。なんだよコイツ。だから大人の話に入ってくるなって」

 詰め寄ってくる一樹から隼人は距離をとろうとするが、一樹はお構いなしにもっと隼人に詰め寄り、矢継ぎ早に質問をする。

「もしかして璃玖に連絡がつかないことと、何か関係があるんですか? 璃玖は昨日から一体どこで何をしてるんですか?」

「部外者のお前に話すかよ。お子様は黙ってな」

 その言葉に一樹は苛立ちを覚え、口が悪くなっていく。

「アンタのほうがよっぽど部外者だ。璃玖に手を出ししたら絶対許さないからな」

「おいおい、それが先輩への態度か?」

 聖は二人の様子に呆れて深い溜め息をつく。

「隼人、お前がまず黙れ。あと、一樹君。璃玖君は元気だよ。昨日から僕の仕事の手伝いをしてくれている関係で、一緒のホテルにいるんだ」

「何ですか、それ? 璃玖が聖さんの何を手伝えるっていうんですか?」

「おいおい、それは璃玖に失礼なんじゃないのか?」

「アンタは黙ってろよ。聖さん、璃玖に何をしたんですか?」

「てめぇ、いいかげんに……」

 一樹の態度にカッとなった隼人は一樹の肩を掴もうとするが、その手は聖によって止められた。

 聖は隼人に向かって首を横に振って見せると、一樹のこの興奮した様子では話を続けても埒が明かないと、もう一度溜め息をつき、スッと表情を消した。

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