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本当はそんなカメラもついておらず、伊織は何か決定的な出来事を目撃したわけではなかった。
だが、一樹と璃玖が朝練を二人きりで行っていることを知っていた伊織は、まるで何か秘密を目撃したかのように話を続けた。
「それって……」
「まあ、これ以上は言わなくても当人だからわかると思うけど」
案の定、一樹に何か心あたりのある様子が伊織には見て取れたため、伊織はそのまま嘘を重ねた。
「何を見られたか、わかったみたいだね。でもね、アイツは一樹だけじゃないよ。実は他の奴とのあんな場面、僕は何回も見かけているんだ。一樹には可哀そうだから言わなかったけど、結構モテるみたいだね」
「何、言って……」
「アイツのトクベツは、一樹だけじゃないってことだよ。いいかげん気が付けば?」
「そんなの嘘だ……。そんなわけ……」
嘘だと言いながら、手を震わせている一樹に伊織は更に追い打ちをかける。
「聖さんやスタッフにまで取り入っているのが、いい証拠だろ。きっと良いスポンサーが現れたから、一樹は用なしなんだよ」
「そんなわけ……」
伊織はもう一度一樹に近づき、一樹の首に腕を絡める。
「ねぇ、いいかげん目を覚ましなよ。あんな奴やめて、僕とデビュー目指そうよ」
「やめろっ!」
一樹は伊織の腕から逃げ出すと、そのまま走ってスタジオを出て行った。
だが、一樹と璃玖が朝練を二人きりで行っていることを知っていた伊織は、まるで何か秘密を目撃したかのように話を続けた。
「それって……」
「まあ、これ以上は言わなくても当人だからわかると思うけど」
案の定、一樹に何か心あたりのある様子が伊織には見て取れたため、伊織はそのまま嘘を重ねた。
「何を見られたか、わかったみたいだね。でもね、アイツは一樹だけじゃないよ。実は他の奴とのあんな場面、僕は何回も見かけているんだ。一樹には可哀そうだから言わなかったけど、結構モテるみたいだね」
「何、言って……」
「アイツのトクベツは、一樹だけじゃないってことだよ。いいかげん気が付けば?」
「そんなの嘘だ……。そんなわけ……」
嘘だと言いながら、手を震わせている一樹に伊織は更に追い打ちをかける。
「聖さんやスタッフにまで取り入っているのが、いい証拠だろ。きっと良いスポンサーが現れたから、一樹は用なしなんだよ」
「そんなわけ……」
伊織はもう一度一樹に近づき、一樹の首に腕を絡める。
「ねぇ、いいかげん目を覚ましなよ。あんな奴やめて、僕とデビュー目指そうよ」
「やめろっ!」
一樹は伊織の腕から逃げ出すと、そのまま走ってスタジオを出て行った。
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