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「ごめん、一緒にデビューは無理だ……。俺は璃玖と組むんだ」

 そんな伊織の気持ちには全く気が付かない様子で一樹はキッパリと言い切った。

「はぁー……。一樹がここまで馬鹿だとは思わなかったよ……」

 感情をこれ以上表に出さないように、伊織は呆れた様子を装いつつ溜め息をつき、掴んでいた一樹の二の腕から手を離すと一樹に背を向けた。

「仕方ないね。こんなこと、言いたくなかったけど……教えてあげるよ。神山に夢みるのも勝手だけど、アイツの本性をね」

 一樹から数歩距離をとってから伊織は振り向くと、一樹に笑いかけた。

「璃玖の本性?」

「そう……。ねぇ、一樹はレッスンルームで自分が何をしたか覚えてる?」

「レッスンルームで?」

「レッスンルームって実は監視カメラついていて、先生たちの部屋から見れるんだよ。だから僕、偶然見ちゃったんだ」

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