電光石火の雷術師~聖剣で貫かれ奈落で覚醒しましたが、それはそれとして勇者は自首して下さい~

にゃーにゃ

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最終話『アフターエピソード』

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「よう! クロノ! 僕だ、シンだ。おひさっ!」

「どうも、アリアです。おじゃましちゃいましたっ」

部屋でルルとマクラ投げしたら、部屋の空間がきしみだした。目の前の空間がガラスのように砕け散っり、次元の狭間から、シンとアリアが現れる。

「言いたいことはたくさんあるが、まず、玄関からこい」

「クロノさんごめんなさいっ」

「すまんっ! ははっ」

ルルはマッハでベッドの下に隠れた。たぶん漏らしてる。ベッドの下で目を光らせて、シャーッとか言っている。完全にねこ。

「めんごめんごっ。って、クロノ、キミは平民のくせに王都で家を買ったのか? ははっ。まるで大貴族さまみたいだ。さすが、僕のマブダチのクロノだ!」

 そうだ。俺は王都に一軒家を買った。凄いぞ! いかにも成金趣味な豪邸だ。王都でも珍しい、4階建て。3階はブチ抜きでまるまるマクラ投げ専用部屋。

 4階は、……うーん、物置。――2階建てでも十分だったんじゃないですかって? いい質問だ。――かもねっ! でも、王都で一軒家持っている冒険者は俺とルルくらい。頑張った! 

「まあ、シン。そこのソファーにでも座れよ」

 職人に作らせた、フカフカの自慢の超高級ソファーにね! 

「うっす。サンキュー! うわー。ふっかふっかでやんの。いひっ!」

 おい。ソファーに全体重をかけて、ドスッと、腰かけんな。そしてケツでピョンピョンはねるな! そのソファー、マジで高かったからな? 

「じゃっ、アリアもっ。うわぁ、……このソファー、とってもすわり心地良いです。すっごいやわらかい。まるで雲のよう。ジャンプしなきゃっ!」

 ……アリアさん? いやさ、ジャンプしないでね。買ったばかりだから。……ミシッとか変な音した。大丈夫か? ルルがベッドの下で残念そうな顔してるわ。

「ソファーの上でジャンプすると、ケガして危ないから、座って。頼む」

「はーい。クロノさんってとっても紳士ね。シンもみならいなさいよ?」

 まあ、座って欲しい理由はソファーが壊れるからだけどね。というか、すでに壊れた気もするけど。ルルが家具職人さんと打ち合わせして作ったのにね……。

「まぁ、立ち話もなんだろ、茶でも飲んでけよ」

 ここは、スマートにオモテナシだ。最高級の茶葉を使いました。味の違? ……ぶっちゃけよくわからん。高かったからたぶん、良いお茶だ。

「ほら。シン? クロノさんって気がきくのよ! シンも、ああなってっ!」

「ふえぇ……お茶くみなんて女とガキの仕事だぁ。僕は勇者、ありえないっ」

「いまの言葉、聞きずてならないわっ! ゲンコツよっ歯を食いしばってっ!」

アリアがシンにゲンコツをくらわしていた。シンがすごい勢いで床に叩きつけられた。床が割れた。……。まあ、良いけどね。

 床なんて、……直せばいいし。ぜーんぜん気にしてないけどね。たかだか新築の床を割られたくらいがなんだ。やっぱ無理。すげームカつくわ。バカヤロー!

 ちなみに、ルルはそそくさとベッドの下から這い出てパンツをはきかえ、おめかしした服に着替えている。ルルは電光石火の早着替え師だ。

「アリア? このご時世、暴力女は人気がないって、……僕は何万回も言ってるだろっ! 僕のアリアが不人気なんて……そんなのッ、あんまりだっ!」

おい、シン? 時勢を気にしなきゃいけないのは、おまえの方だけどなっ! おまえ、いつの時代の産まれだ? ツッコんだら負けな気がするから、言わんがな!

 ルルは、さりげなくソファーを触ってチェックしてる。ソファーから、キシキシ音がしてる。駄目だ、こりゃ壊れてるわ。ルルが口を開く。

「不思議なのじゃ。ゲンコツすると、お星さまが飛ぶのじゃなぁ~」

「だな。まあ、ルルがウィンクした時にも、あんな感じの星が出てるけどな」

あのピョコンと出る星は何なんだろ? ルルがテヘペロみたいなことをする時に出るヤツだ。あと、夜に二人でいい感じのムードになると瞳にハートが浮かんだりする、アレ。

 どうやってやってんだろ。始祖吸血鬼とか、神的存在が使える、ユニークスキル的なやつかもしれない。

「クロノさん、ありがとうございます。とってもおいしいお茶ですっ」

「あちっ! これ、この茶……熱ッ! やけどしちゃったっ! 舌、痛ッ!」

 アリアは、美味しいとか言っているが、ズザザザザザァーッって砂糖いれて、ドボドボドボォってミルク入れてたな。もう、お茶の味が残ってないだろ。

 俺も細かいお茶の味の違いとか、わからんけどさすがに、お茶に対する冒涜だと思うわ。そして、シン。おまえ猫舌すぎんだろ。ちゃんと適温で出してるっつーの。布巾で包んで、ポットを蒸らして、適温で出してたんだけどな? 

「で、何しに来たんだ、シン。決闘でも挑みに来たのか? 受けて立つぞ」

「違う違う。僕は今日、お礼参りしてるのっ。アリアと」

お礼参りじゃねぇ。あいさつまわりな。

「セーラとフレイには挨拶しに行ったか? あいつら、一応まだおまえの勇者パーティーの仲間ってことになってんだろ」

「うん会いに行った。……フレイに会いに行ったら、僕の話はたったの3分で切りあげられて、婚約者の男の愚痴を聞かされたよ。とほほ」

「アリアも、フレイさまのお話を8時間、立ったまま聞きました。トイレにも行ける雰囲気じゃなかったので、……とってもつらかったです」

シンは話が長いが、それに負けないくらい話が長いのがフレイ。フレイはとにかく愚痴が長い。そして、なぜか最後は自画自賛で話をおえる。そんなイラッとする感じの話をするのが得意なのはフレイだ。なぜカリスマあるのか、謎。

「そりゃまぁ……災難だったな。セーラはどうだった?」

「ははっ。セーラ? うん……僕ぁ、危うく、殺されかけたねッ!」

「あっ、セーラお姉さまは、アリアには優しくしてくれましたよっ」

まあ、セーラも手加減したんだろう。シンが生きているのが何よりの証拠だ。ガチで殺りにいってたら、シンが生きてるはずが無いからな。一応、肉親の情で、手加減したのだろう。

「セーラ、いまは孤児院の院長とかやってるんだっけ。まじめにやってたか?」

「どうかな? してたんじゃない? よく知らん。殺されかけたからねっ!」

「セーラお姉さま、子供には慕われているようでしたね」

 セーラは何十の封印がほどこされている。あらゆる魔法、スキルの使用が完全に封印され、さらに孤児院にはギルドの人間が常駐している。

 セーラはもう悪さはできないし、もし仮にしようとしたら俺が電光石火で止めに行く。セーラのいましている孤児院の運営は、悪いことではない。

 王都は冒険者が多い街だ。冒険者の仕事は死と隣り合わせ。ある日とつぜん、親がいなくなる子供もめずらしくない。セーラの孤児院は、孤児の中でも特に扱いが難しい子供。

 ……。言葉をオブラートに包まずにストレート言うならば、前科のある子供を孤児院に引き受けている。生きるために窃盗や、犯罪に手を染めざる負えなかった子。

 ……一般的な孤児院では引き取り不可の子どもを、一手に引き受けている。

「つか、その孤児院の運営費って、どこから出てるんだ?」

「孤児院の運営費? うん。セーラのパパ上がぜんぶ支払ってる」

「シン。司教さまは、アリアとシンの、お父様でもある方なのよ?」

「うーん。でもさぁ、セーラのパパ上、僕とアリアのママ上に養育費を送ってくれなかった、ガチクズ野郎だし、感謝する価値、ゼロじゃんっ? ゴミofゴミ!」

 人さまの家の事情だ。だからコメントしづらい。こういう時は、茶菓子をとりにいく感じで席を立ちごまかそう。ルルが焼いてくれたクッキーだ。

「ありがとうございます。クッキーおいしいですね甘くて最高です!」

「クッキーうまっ。ところで、クロノ。キミはセーラのパパ上をどう思う?」

 空気読めよ。答えづらいから、話題変えるために席を外したんだがな? 

「悪いが、遠慮なく言うぞ。クソ男だな。ゴミ男オブ・ザ・イヤー受賞決定!」

「だよなぁーッ! いひひっ!」

「さすクロノさんです、賢いっ!」

 人の親を悪く言って褒められたのは初めての経験です。まあ、本当に喜んでいるみたいで、なにより。まあ、実際、がっかりするほどのクズ行為だしな。

「で、そのクズ親父に会いに行ったのか?」

「うん。白髪でシワクチャのおじいちゃんみたいになってた」

「まるで枯れ木のように、……しおれてましたね」

あのおっさん、大監獄に収監されるまえから死にかけてからな。

「セーラのパパ上、ガチで僕とアリアが自分の子と知らなかったっ。説明したら、すごい勢いで土下座してた。三指ついて、みじめな野郎だっ。ははっ」

「初めて会ったお父様の情けない姿に、……アリアはショックを受けましたっ」

 なるほど。「セーラのパパ上」か。距離感を感じる言葉だ。まあ、シンが司教のおっさんを、自分の親父と言いたくない気持ち、わからんでもないな。シンとアリアの母親を苦労させた男だ。無自覚だったとはいえ、許されることではない。

「シン、ちゃんと親父をぶん殴ってきたか? おまえにはその権利があるぜ」

「いや? そんな野蛮なことはしない。僕は勇者だからね」

「ガツンと言ってやって良かっただろ? かーちゃんのカタキでもあるんだ!」

「うん。まあね。でもさ、僕ってすっげぇー、優しいからさぁ、暴力とかはね。その代わり、今迄の分の養育費として、資産の半分を僕とアリアに譲渡させる権利書をその場で書かせた。聖剣カリバーンを、ズバーンっと、鼻先に突きつけて、ねっ」

 まあ、普通に脅迫だな。司教のおっさん相手なら、おっけーだけど。

「全資産を支払わせたらセーラお姉さまの孤児院の運営ができなくなるので、半分で我慢しました。全資産取ったら、シンがセーラお姉さまに命を狙われるので」

アリアとシンがハイタッチ。仲いいな、コイツら。それにしても殴るよりえげつない方法で復讐してたな。やるじゃん。

 司教のおっさん、ざまぁ。そうそう。あのおっさん、枢機卿の死後、王都で有数の金持ちになったんだよな。まあ、その資産の半分がシンとアリアに取られてしまったが。

 司教と呼んでるが、今の正式な役職名は、枢機卿。空席の座をそのまま引き継いだ。

「シン、おまえは神々の庭、楽園とかいうところに移住したんだろ? なら、この世界の金なんてもらっても使いみちねーんじゃね?」

「ああ。セーラのパパ上からもらった金のこと? まあ、そうなんでけどさ。僕とアリアの権利であり、セーラのパパ上の義務だからね」

「まあ、そりゃそうだな。その金、何に使うか決めてんのか?」

「金はクロトカゲっちにぜーんぶプレゼントした。だから、スッカラカン」

アリアとシンの想いを反映した島、パノラマ島。そこに全資産を寄付した。シンなりに、あの島には思うところがあるのかもしれない。

「へぇ。全額寄付とは、ずいぶんと気前が良いな」

 そうそう。教会で高い地位に居た司教のおっさんの罪が特赦されたのは、真っ先に、教会を裏切ったからだ。自白させようとすれば自害する面倒なヤツが多いのが教会の暗部の連中だった。

 だから、悪事もなかなか明るみにでなかった、……のだが、司教のおっさんがぜんぶ、洗いざらいゲロして、完全に終わった。そして、今や教会のトップだ。

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 地方で資金をたくわえ、虎視眈々と反逆の時を待っていた連中も壊滅した感じだ。まあ……ぜんぶ、この司教のおっさんが、フトコロにお金を着服するためであって、改心したとか、善意とかじゃないみたいだけどな……。

 この生命力の強さ、やっぱシンの親だ。

「そういや、村には寄ってかないのか?」

「うん。行く。神に選ばれた勇者シンの凱旋だっ!」

「アリアは、お母様のお墓にお花をそえてきますっ」

シンとアリアの母親は、故人だ。

「ふふっ。クロノさんってわかりやすいですね。顔にでてますよ」

「んっ……、そうか?」

「大丈夫です! アリアは村も、村の人もうらんでません! 本当になんとも思ってませんから。教義の件もありましたし、仕方ないことだったと思ってます。それに、生前からアリアは、ずっと不幸ではなかったですからっ!」

「そうか。その言葉を聞けて、救われた」

これ以上この件については、語ることがない。

「アリアにとっていちばん近くて、いちばんとおい場所、それが家のそとの世界でした。だから、いまから楽しみです」

「まあ、田舎の村なんてぶっちゃけ、おもしろ要素ゼロ。あんま期待すんなよ」

「だよなっ。僕って、勇者だから村とか、土臭くて苦手だ。僕の格まで下がりそうだし。でもまあ、一度くらい凱旋しとかないとさっ」

ルルが娘を抱えてあやしている。

「あわ。クロノさんとルルちゃんのお子さんですか? かわいいですね」

「ありがとう」

 このあとシンとバトルがあったのだが、長くなるのでカツアイさせてもらいたい。ひとこと、俺が殴ってシンを黙らせた、とだけ伝えておこう。

「くそぉ……。おめでとう……ッ、祝いたくないがッ……クロノ、おめでとう!」

「ルルちゃん、クロノさん、おめでとうございますっ」

「なぁ。クロノの子、抱っこしていい?」

「おまえは、ダメ」

「アリアも……ダメでしょうか?」

「おっけー」

「宝石のように綺麗なオッドアイ。ルルちゃんに似て、かわいい子ですね」

オッドアイ。うちの娘、きっと成長したらアイパッチとかしだす。なにしろ、俺とルルの子供だからな。

「くそー! クロノに負けて、悔しいッ!!」

「シンさまにはマリアという娘がいるじゃないですか」

 マリアがいつの間にか、――居た。いつの間にか、現れていた。どこから湧いて出た?!〈ありとあらゆる気配を完全に消す〉能力って、地味にヤバいな?! 

「クロノさんおひさです。シンさまと、アリアさまの娘の、マリアです」

「マリアが、シンの娘…………? はっ! ?」

 なんだろう。あまり深堀して聞かない方がセーフなヤツかな? 聞くのに勇気がいるな。聞かないで、サラッと流そうかな? 

「クロノさん、ご安心を。マリアは、アリアさまの想像妊娠で産まれたイマジナリーチャキチャキ娘です。クロノさんが、心配されているようなことは、何ひとつないので、超セーフですよ。それに普通に産まれてたら歳が近すぎますよっ」

はて? なんのことかな。何にも想像していませんでしたが。

「ははっ。おかしな話だよなっ。マリアは弟子だと思ったら、娘だった! ウケるだろっ、クロノ! ナニを言っているのか分からないと思うが、僕にも全然わからない。でも、そういうことらしい!」

「なんか気づいたら、マリアが、ポッ……と産まれてました。不思議ですね」

すげぇ。ゼロから創造とか、錬金術でも不可能なヤツじゃん。

「という話なのです。でも、実はマリア、正直シンさまと、アリアさまが自分の親だって、感覚はゼロなんですよ。……というか、ムリですよね。シンさまの娘とか、生き恥をさらしているようなものですし。あっ、……いい意味で、ですよ?」

 マリアにはパノラマ島で案内してもらったことがある。なんか、微妙にズレてる感じがシンっぽいな、とは思ってた。だけど娘か。イマジナリーとはいえ。

 性格のまともな部分はアリアを引き継いでいるのだろうな。そんなこんなで、しばらくお互いの娘トークで盛り上がった。

「じゃーな、クロノ。たっしゃでなっ!」

シンはアリアよりひと足先に玄関から出ていった。

「アリア、シンはバカだ。となりに誰かいないとすぐに間違いをおかす。だから、しっかり、首輪つけておいてくれ。頼んだぜ!」

「はい。クロノさんも、ルルちゃんとすえながく、お幸せに」


  ◇  ◇  ◇


「まったく。嵐のように騒がしいふたりだったのじゃなぁ~」

「まったくだな」

 娘を両腕に抱きかかえる。銀色の髪に、宝石のように美しいオッドアイ。娘自慢だが、完全に美人になる。娘の俺要素は謎。たぶん指の形とかが似てる。

「あの一連のできごとが、まるで嘘だったかのように、世界は平和なのじゃな。わらわは、旦那様の子を授かり、これ以上ないくらいに幸せを感じておるのじゃ」

「だな。金には不自由しないし、世界は平和。王都の悪かった部分も、だいぶよくなってきてる。満ち足りているってのは、こういうことなんだろうな」

 平穏な日々。これ以上の幸せはない。

「それにしても、アリアの居る、外なる世界。ほんとうに存在するのじゃなぁ」

「みたいだな。実際、アリアとシンは自由に世界を行き来してるからな」

ルルの顔を見る。間違いなく幸せで満ち足りた顔だ。だけど……。

「なあ、ルル。この子がもう少し大きくなったら、また一緒に旅に出ないか?」

「のじゃっ! ? 旅、じゃと! ? 旦那さまと、未開の地へ、冒険じゃとっ! ?」

 ほらな! やっぱだ。すっげぇ目をキラキラさせてる。この反応が証拠だ! 平和で満ち足りた平穏な日常。もちろんそれも最高だ。

 だけど、刺激も欲しい。ルルは知的好奇心が強い。未知なる場所への冒険に心引かれないはずがない。ましてや、他の世界があると知ったならば。それこそ、ルルが求めているもの。

 そして俺も同じだ。リッチな生活も悪くはなかった。だけど、やっぱ身一つで未知の地を冒険する方が俺にはあってる。

「どこに行くのじゃっ! ふんす! ふんす! のっ、じゃぁ~!」

興奮してる。ルルの目が星になってる。

「今度は、いままでとは比べ物にならない、もっとすげぇ場所に冒険しようぜ」

「どこのじゃ! どこのにゃ! どこだっちゃ!」

語尾が壊れた。つまり、ルルのテンションはマックス。

「この世界の、――外の世界だッ! この世界と楽園以外にも、きっといろんな世界があるはずだぜ! だから、ふたりでいろんな世界を見に行こうぜ!」

のちに〈創世の白き執筆者〉と呼ばれる銀色の髪の少女と、〈異界わたりの黒き旅人〉と呼ばれる黒衣の少年の、物語が幕を開ける。

 でも、それは、また別のお話。ふたりの人生はまだまだ続く。ふたりの未来は不確定。ありとあらゆる可能性に満ち満ちている。だけど、そんな不確定な未来で一つ確実なことが。

 クロノとルルは、さいごまで、いっしょに笑い、ともに悲しみ、喜びをわかちあい、とっても幸せにくらしました。めでたしめでたし。


                                         おしまい
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