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第一章 礼服の男・ジョン
眼の取り扱い
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「まず最初に……そうだな、エルお前その腰に付けてる剣を使うんだよな?」
「はい! そうです」
「俺は最初の模擬戦で言った通りそんな得物は扱った事が無い、だから俺が教えるのは剣術というよりも相手を速く分析する技術になると思うそれでもいいか?」
「は、はい」
「そう残念そうな顔をするな、実戦じゃ剣術よりも大切な技術だ。まず俺を見てみろ」
「えっと、ここでやっていいんですか? お嬢様とナサル先輩がいますけど」
「別に構わない、それより俺を見ろ、お前の事を今から攻撃するとして何処を攻撃すると思う?」
ジョンの姿勢は最初から変わらず腕を組み立っているだけか、構えたりしている訳じゃない
「えっと、右足で私の事を蹴る?」
「へぇ、何でそう思ったんだ?」
「何となくです」
「勘って訳か、まず正解を言うとお前が言った通り俺は右足でお前の事を横から蹴ろうとしていた。さすが天才伊達じゃ無いなだがいつまでも勘に頼っていては駄目だ。何故お前が次の攻撃を予測出来たか知る必要がある、何故分かるか考えた事はあるか?」
「余りありません」
「人によって見る所が違ったりするがお前は視線の動きから察するに俺の腰を見ていたな、腰の向きと傾きを見てお前は俺が右足を使うと推測したんだ無意識にな、人は何か行動しようとすると無意識の内に何処かに変化が生じる、その変化は基本、行動前のほんの二秒三秒前に起きる、例えば腰を片側だけ若干引いたりな、それをお前は見て予測してるのさ」
「へぇ~確かにそうかもしれませんね、ボクも初めて知った」
「自分が何を頼りに物を見ているかよく知って置く事だな、そうすれば観察力を磨く事も出来る、何で自分が相手の行動を分かるか分からないと鍛えようも無いからな」
「じゃあ次だ。どうだ?」
とジョンは言いさっきと同じ姿勢に戻る
「左手でパンチですか?」
「正解、それでお前は俺の肩を見てそう判断していた、腕の運動の時には肩を足の運動の時は腰を見る、動きを読む為四肢の元を辿るエルお前はスタンダードなタイプだな、教えやすくて助かる」
「スタンダードですか?」
「あぁ、そうだ。時にはこういう奴もいる相手のジョークが自分のツボだから相手の行動が分かったり今朝良い事があったから相手の行動を予測出来たとか抜かす奴がなそういうタイプはアブノーマルタイプと呼んでいる、教えるのにかなり苦労をすると思うぜ」
「ほぇ~」
「まぁ話が逸れたが次に行こう、俺が今からこの拳や足でお前の事を攻撃するから避けろ、防御する為だけなら剣を使っても良い、いいな?」
ジョンが腕組を崩し素手で構える、エルも剣を抜き構える
隣で魔法の稽古をしていたナサルもマリアも腕を下ろし二人の様子を見守る
その中ジョンが前方に動くゆっくりとエルの警戒もジョンが一歩そしてまた一歩と近付いて来るのと同じに強くなる剣を握る手にも力が入る
そしてジョンが左手でエルの顔を目掛けストレートのパンチを繰り出すしかし速度は遅いマリアにも見切れる程に
しかしエルは動揺する、そのパンチを右腕で弾く……がその瞬間腕がどき空いたエルの右部分にジョンが入り込み空かさず右手でエルの顎を捉えパンチを繰り出す。このパンチはマリアには見切れない
エルは焦るが時既に遅い拳は顎に到着し当たるが痛みは無いジョンは拳の先が顎の皮膚表面に若干当たった時点で止めているからだ。
ジョンは元の場所に戻りエルに問う
「で、どうだった?」
「分からない……です。最初のあのパンチ初めての感覚だった」
「あの時パンチ繰り出されるとは思ってなかっただろ? それもそのはず俺はパンチを繰り出す寸前まで肩を一切動かさなかったんだ。予備動作が無かった。だから繰り出される寸前までお前は分からなかったんだ次にどんな攻撃が来るのかをだからあんな遅い拳でも動揺して隙が多くなる防ぎ方をした。その結果、懐に入り込まれ右手で顎を取られたって訳だ。感覚だけで勝負する人間はその感覚を乱し錯乱させてしまえば脆いもの何故自分が死んだかも分からんだろうよ、だからお前は感覚だけでは無く、知識も付けなくては行けないんだ。さっきみたいにならないようにな」
「な、なるほど、でもああいう時はどうすれば? 何処を観ればいいんですか?」
「全身だよ相手のな、常に相手の全てを観察し分析しろ、どんな時もな、例えばさっきのパンチ、俺の肩や腰だけじゃなく拳、足をちゃんと見ていれば予測出来たはずだ。腰も肩も動かさなかったが左手の拳は右手より強く握っていたし足も既に蹴りでは無くパンチの体制になっていたはずだ」
エルが肩を落とし言う
「全身……ですか、先行きは遠そうですね、トホホ」
そして稽古そんな稽古の最中、屋敷からネルヒムが現れるその後ろにはローラとファングも居る
「む、廻りに行くのですか?」
マリアの稽古をしていたナサルが質問する
「はい、それではいきますね」
と言いネルヒムはナサルの前で杖を振る
「有難う御座います、巫女様」
と言いナサルはネルヒムの頭を撫でようとするがそれを避けるネルヒム
「ど、どうかなさったのですか? 巫女様」
「ナサル……それに他の三人にも聞いて欲しいの。私は今日から廻りの見返りを求めません!」
「み、巫女様、まさかジョンに言われた事を気にしてそう言っているのですか?」
「はい、あの後私も自室で考えました。確かに私は自分の意思で廻りをしていました。そして一方的に祝福を……それなのにいい気になって見返りを求めてしまっていた。私は愚かでした! ジョン君の言った通りですだから私は今日から見返りを求めません!」
そう熱く語るのはネルヒムだけ周りの人間はマリアを除きジョンに冷たい視線を送っていた。
「何だその目は」
「そりゃねぇ、ボクも最初は面白いと思ってましたけど……ねぇ?」
「そりゃ悪かったなだが謝る気はないぞ」
「へ? 何を謝るんですか?」
状況を理解出来ていないネルヒムが言う
「何でもありませんよ、ネルヒム様続きをお願いします」
「はい! では次はジョン君」
と言いジョンの前で杖を振ろうとするネルヒム、だが振ろうとした瞬間その杖を手で止めるジョン
「俺は要らない」
「え? もう見返りは求めませんよ!」
「知るか、兎に角やめろ!」
「ご、ごめんなさい……」
「勘弁しろ謝るな」
「はい……ごめんなさい」
「おいおい、謝ってるじゃねぇか、早く次に行ったらどうだ?」
「はい、そうですね、こんな事じゃいけませんよね! 頑張ります!」
「悪い意味でポジティブになってないか?」
「ジョン、君の所為じゃないかな、さっきからあの調子なんだよ」
さらにジョンを見る周りの視線が冷たくなる、そんな中エルの廻りを済ませマリアに行こうとする
「私も要らないわ、早く村に行ったらどうかしら?」
「で、でもマリアちゃん……」
「気安くマリアちゃんなんて呼ばないで」
と言いマリアはソッポを向く
「行きましょう、ネルヒム様仕方がありませんよ」
そうしてネルヒム一行は訓練場から姿を消す
「前から思ってたがお前、ネルヒムを相当恨んでいるな?」
「恨んでなんかないわ嫌いなだけよ、それよりお前いい働きだったわ、ふふ、ネルヒムのあの顔を見た? 傑作ね」
「お嬢様! そんな事を言ってはいけません!!」
ナサルがマリアに注意をする
「根は優しい奴じゃなかったのか?」
「今は少し素直じゃ無いだけだ」
(まるで不良息子を擁護する母親だな)
「まぁいい、修業を続けようか?」
そして修業は再開される、そして時は昼になる
「マリア様、そろそろお昼にしましょう」
「なかなか、真っ直ぐ飛ばないものね」
「魔法を真っ直ぐ飛ばすなんて早々簡単にはいきませんよ」
「ふん、気に入らないわね、まぁいいわ、行きましょうナサル」
そんな二人の様子を見てジョンが
「エル、俺達も昼にしよう」
「何言ってるのよ! お前は私が食事をしている所を見守った後食事をするの!」
「マジ?」
「当たり前でしょ! 下僕が主人より先に食事をしようなんて烏滸がましいにも程があるわ、まったく」
「……優しい主の下僕になれて俺は嬉しいよ、本当」
「はい! そうです」
「俺は最初の模擬戦で言った通りそんな得物は扱った事が無い、だから俺が教えるのは剣術というよりも相手を速く分析する技術になると思うそれでもいいか?」
「は、はい」
「そう残念そうな顔をするな、実戦じゃ剣術よりも大切な技術だ。まず俺を見てみろ」
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「へぇ~確かにそうかもしれませんね、ボクも初めて知った」
「自分が何を頼りに物を見ているかよく知って置く事だな、そうすれば観察力を磨く事も出来る、何で自分が相手の行動を分かるか分からないと鍛えようも無いからな」
「じゃあ次だ。どうだ?」
とジョンは言いさっきと同じ姿勢に戻る
「左手でパンチですか?」
「正解、それでお前は俺の肩を見てそう判断していた、腕の運動の時には肩を足の運動の時は腰を見る、動きを読む為四肢の元を辿るエルお前はスタンダードなタイプだな、教えやすくて助かる」
「スタンダードですか?」
「あぁ、そうだ。時にはこういう奴もいる相手のジョークが自分のツボだから相手の行動が分かったり今朝良い事があったから相手の行動を予測出来たとか抜かす奴がなそういうタイプはアブノーマルタイプと呼んでいる、教えるのにかなり苦労をすると思うぜ」
「ほぇ~」
「まぁ話が逸れたが次に行こう、俺が今からこの拳や足でお前の事を攻撃するから避けろ、防御する為だけなら剣を使っても良い、いいな?」
ジョンが腕組を崩し素手で構える、エルも剣を抜き構える
隣で魔法の稽古をしていたナサルもマリアも腕を下ろし二人の様子を見守る
その中ジョンが前方に動くゆっくりとエルの警戒もジョンが一歩そしてまた一歩と近付いて来るのと同じに強くなる剣を握る手にも力が入る
そしてジョンが左手でエルの顔を目掛けストレートのパンチを繰り出すしかし速度は遅いマリアにも見切れる程に
しかしエルは動揺する、そのパンチを右腕で弾く……がその瞬間腕がどき空いたエルの右部分にジョンが入り込み空かさず右手でエルの顎を捉えパンチを繰り出す。このパンチはマリアには見切れない
エルは焦るが時既に遅い拳は顎に到着し当たるが痛みは無いジョンは拳の先が顎の皮膚表面に若干当たった時点で止めているからだ。
ジョンは元の場所に戻りエルに問う
「で、どうだった?」
「分からない……です。最初のあのパンチ初めての感覚だった」
「あの時パンチ繰り出されるとは思ってなかっただろ? それもそのはず俺はパンチを繰り出す寸前まで肩を一切動かさなかったんだ。予備動作が無かった。だから繰り出される寸前までお前は分からなかったんだ次にどんな攻撃が来るのかをだからあんな遅い拳でも動揺して隙が多くなる防ぎ方をした。その結果、懐に入り込まれ右手で顎を取られたって訳だ。感覚だけで勝負する人間はその感覚を乱し錯乱させてしまえば脆いもの何故自分が死んだかも分からんだろうよ、だからお前は感覚だけでは無く、知識も付けなくては行けないんだ。さっきみたいにならないようにな」
「な、なるほど、でもああいう時はどうすれば? 何処を観ればいいんですか?」
「全身だよ相手のな、常に相手の全てを観察し分析しろ、どんな時もな、例えばさっきのパンチ、俺の肩や腰だけじゃなく拳、足をちゃんと見ていれば予測出来たはずだ。腰も肩も動かさなかったが左手の拳は右手より強く握っていたし足も既に蹴りでは無くパンチの体制になっていたはずだ」
エルが肩を落とし言う
「全身……ですか、先行きは遠そうですね、トホホ」
そして稽古そんな稽古の最中、屋敷からネルヒムが現れるその後ろにはローラとファングも居る
「む、廻りに行くのですか?」
マリアの稽古をしていたナサルが質問する
「はい、それではいきますね」
と言いネルヒムはナサルの前で杖を振る
「有難う御座います、巫女様」
と言いナサルはネルヒムの頭を撫でようとするがそれを避けるネルヒム
「ど、どうかなさったのですか? 巫女様」
「ナサル……それに他の三人にも聞いて欲しいの。私は今日から廻りの見返りを求めません!」
「み、巫女様、まさかジョンに言われた事を気にしてそう言っているのですか?」
「はい、あの後私も自室で考えました。確かに私は自分の意思で廻りをしていました。そして一方的に祝福を……それなのにいい気になって見返りを求めてしまっていた。私は愚かでした! ジョン君の言った通りですだから私は今日から見返りを求めません!」
そう熱く語るのはネルヒムだけ周りの人間はマリアを除きジョンに冷たい視線を送っていた。
「何だその目は」
「そりゃねぇ、ボクも最初は面白いと思ってましたけど……ねぇ?」
「そりゃ悪かったなだが謝る気はないぞ」
「へ? 何を謝るんですか?」
状況を理解出来ていないネルヒムが言う
「何でもありませんよ、ネルヒム様続きをお願いします」
「はい! では次はジョン君」
と言いジョンの前で杖を振ろうとするネルヒム、だが振ろうとした瞬間その杖を手で止めるジョン
「俺は要らない」
「え? もう見返りは求めませんよ!」
「知るか、兎に角やめろ!」
「ご、ごめんなさい……」
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「はい……ごめんなさい」
「おいおい、謝ってるじゃねぇか、早く次に行ったらどうだ?」
「はい、そうですね、こんな事じゃいけませんよね! 頑張ります!」
「悪い意味でポジティブになってないか?」
「ジョン、君の所為じゃないかな、さっきからあの調子なんだよ」
さらにジョンを見る周りの視線が冷たくなる、そんな中エルの廻りを済ませマリアに行こうとする
「私も要らないわ、早く村に行ったらどうかしら?」
「で、でもマリアちゃん……」
「気安くマリアちゃんなんて呼ばないで」
と言いマリアはソッポを向く
「行きましょう、ネルヒム様仕方がありませんよ」
そうしてネルヒム一行は訓練場から姿を消す
「前から思ってたがお前、ネルヒムを相当恨んでいるな?」
「恨んでなんかないわ嫌いなだけよ、それよりお前いい働きだったわ、ふふ、ネルヒムのあの顔を見た? 傑作ね」
「お嬢様! そんな事を言ってはいけません!!」
ナサルがマリアに注意をする
「根は優しい奴じゃなかったのか?」
「今は少し素直じゃ無いだけだ」
(まるで不良息子を擁護する母親だな)
「まぁいい、修業を続けようか?」
そして修業は再開される、そして時は昼になる
「マリア様、そろそろお昼にしましょう」
「なかなか、真っ直ぐ飛ばないものね」
「魔法を真っ直ぐ飛ばすなんて早々簡単にはいきませんよ」
「ふん、気に入らないわね、まぁいいわ、行きましょうナサル」
そんな二人の様子を見てジョンが
「エル、俺達も昼にしよう」
「何言ってるのよ! お前は私が食事をしている所を見守った後食事をするの!」
「マジ?」
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