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第六章 雪の国
誤作動
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「まぁでも安心してよ、私の憶測が当たってれば死なない筈だからね」
そう笑顔で悪びれもせず言うカランダーン
「もしかしてそれは俺を安心させる為に言ったのか? 全然安心出来ないぞ、その言葉の裏を返せば憶測を外せば俺は死ぬという事だからな」
「ハハハ、逆に不安にさせちゃったかな? ごめんごめん」
「俺が死に掛ける前に教えて貰いたいんだがこれは何の実験なんだ?」
「……何処から話そうかな? う~ん、前に教えたよね君を何故この世界に呼んだのか」
「ジャックを捕える為だろ? 奴の強力な魔法を無効化出来るのは外の世界から来た俺だけだから呼んだと聞いた。お前にな」
「そう、ジョンの身体には魔力が流れていない、この世界の動物、植物には多かれ少なかれ魔力が必ず流れている、此処で私は思ったんだ。
魔法というものは魔力が流れている人間相手じゃないと正常に働かないんじゃないかってね、つまり魔力が流れていない君に魔法を使うと誤作動(エラー)を起こすんじゃないかな? という事を私は言いたいんだよ」
「だからさっきの治癒魔法の時にも痛みが生じた……なるほど、筋は通ってますね」
「そうさっきの痛みも魔法の誤作動の一環だと思うんだよね、ジョンも何か心当たりがあるだろう? 例えば先のザッラーの転移魔法で此処に飛ばされた時に武器が消えたとかね」
カランダーンはフフフと笑う
「お前、何でその事を知ってる?」
「何故武器が無くなったのか教えるね、君が転移した時、君の身体と服だけ転移して武器は転移しなかったんだよ、だから武器だけその場でカチャンッと落ちた訳」
「じゃあ、俺の武器はまだあの森に?」
「いや、私が君の部屋に届けて置いたよ、感謝してね」
「どうもサンキュー」
「……心が籠って無いよ」
「いや、精一杯込めたぞ」
「まぁいいや、で、ウェークの魔法を無効化したのもその魔法の誤作動が関係してると私は思った訳なんだ。それなら私の攻撃も無効化出来るんじゃないのかな? と思ったの」
「それが実験という訳か」
「その通り」
「……分かったいいぜ、俺もその事については知って置きたいしな、命を懸ける価値はあるだろうよ」
「よし! ならやるよ、心の準備はいいかい?」
「あぁ。いつでもどうぞ」
ジョンのそこ言葉を受け取るとカランダーンはジョンに指先を向ける
「いくよ」
カランダーンの指先から電撃が走る、だがジョンの身体には到達せずそのまま無効化されてしまう
「やっぱり……」
「カランダーン、彼はもしかして……」
「そう私の魔法を無効化したんだよ、神の魔法をね」
「そんな! 有り得ないわ!」
「でも今目の前でその有り得ない事が起きたじゃない、そう言う事だよ、彼は何かの偶然で相手の攻撃を無効化出来る力を身につけたんだよ」
「『拒絶』……?」
「いや、神の魔法は拒絶では無効化出来ないよ、つまりこれはそれ以上のものって事だよ」
「そりゃすげぇな、だが待ってくれよ、俺は再三こっちの世界で戦ったし魔法攻撃だってくらいそうになったが一回もさっきみたいに無効化された事が無かったぜ? 辻褄が合わない」
「確かに……発動にはなにか条件があるのかもね」
「条件ねぇ……今までの戦いと今の攻撃とウェークの攻撃の違いと言ったら神かそうじゃないかの違い? だったら神限定能力って事か? 断定は出来ないが」
「『拒絶』は神以外の生物の攻撃を無効化出来る魔法だとしたら君のはその反対、神にしか効かない魔法ということだね? 確かにそうかもしれないね」
「だとしたらとんでもない魔法ですね……それを聞いたら他の神が黙っていないでしょう」
「それが事実なら君を殺そうと試みる神も出て来るかもね、自分の保身の為に」
「恐ろしいな……だがそれは一旦置いて置こう、それであーだこーだ悩むのは今直面している問題を解決してからだ」
「だね、じゃあワープしよう! と言いたい所だけどもう一度いいかい?」
「今度は何だ?」
「さっき君に治癒を施した時の事を覚えているよね? 痛みが発生したって奴」
「あぁ、言っていたな」
「治癒魔法で誤作動を起こすって事は勿論、転移魔法でも誤作動を起こすって事だよ、実際君はザッラーの転移魔法で武器を無くしたしね、君のその力良い事ばっかじゃなくて悪い所も併せ持つんだよ、神の攻撃を無効化出来るけど味方の援護も無為にしてしまう、もし君が次転移したらどう誤作動を起こすかは予想不可能、最悪死ぬ事も有り得るかもしれない、それでもやる?」
「此処に置いてけぼりにされても恐らく俺は死ぬ、なら少しでも生存の可能性がある方に俺は懸ける事にするぜ」
「そうかい、分かったよ、じゃあ行くよ、ウェークを追いかけよう」
ジョン達はその場から消える、カランダーンの転移魔法によって……
そして想定外の事が起こった。ジョンが転移魔法でウェークの近くまで移動した代償としてジョンは上着の両袖を失ったのだ。
「ノースリーブになっちまったよ」
「腕が無くならなかっただけ良しとしなよ」
ジョン達が転移した場所はまた雪が積もっている、目の前には大きな両側に聳え立つ氷壁で出来た渓谷がある、その渓谷の裂け目の中の奥にウェークは居る様なので奥まで歩くジョン達、谷を挟む壁は狭く圧迫感があり裂け目の道も無理したら三人並列出来る程の広さ
四人共会話も無く先を進む、道を歩いていると道に黒い扉が一扇立っていた。その扉は谷の両側に聳え立っている氷壁と隙間があるので扉としての役目を果たしていなかったのだ。
それを見て警戒する四人
「これも魔法に関係あるんだろ? どんな魔法だ?」
「あれも転移魔法の一種だよ、あの扉は別の何処かに繋がる門」
「罠だったりしないのか?」
「ないね、そんな気配も魔力も感じないし、開けてみよう、そうしなきゃ始まらない」
そう言いカランダーンがその扉を開く、扉は何てことなく開く、そして見える扉の奥は何処かの屋敷に繋がっていたようだ。しかしその屋敷は朽ち果てており誰も住んでいないようであった。
カランダーンが先行し屋敷に入る、しかしこれといった罠も発動せず無事全員屋敷に潜入する事が出来た。
「凄い魔力を感じる……警戒を怠らないでね、三人共」
「そうだね、此処は君達にとって危険地帯なのは間違い無いからね」
と屋敷の奥から現れた赤毛の男
「ジャック……!」
「やぁ、ジョンお久しぶりだね、元気してたかい?」
「へぇ、君が関係してたんだ。それで獣人の人達は何処へやったのかな?」
「聞きたいかい? 聞きたいらしいんですけど、どうします?」
とジャックが何者かに話し掛ける
「そうね、教えて上げてもいいけど交換条件という事でどう?」
ジャックの後ろから現れたのはウェーク、ジョンが付けた傷は消えていた。
「ウェーク今の今まで何処で何してたの? 自分の土地を放ってさ」
「別に貴方には関係無い事だ。カランダーン」
「ま、確かにそうだけどさ」
「で? 交換条件とは何だ?」
「こちらはお前達に獣人達を返す。その代わりにアーリン、エフィー、キザシ、デッチェ、カタリナ、ザッラーを返して貰えない?」
「ウェーク、君もしかしてザッラーの仲間なのかい?」
「どうだろうな、そんな事よりあの獣人達の心配をする事だな、早くしなければ殺す。全員な」
「ねぇねぇ、待ってよ、君達勘違いしていないかい? 別に私達はその交渉に乗るなんて一言も言ってないよそれなのに話を進めないでくれるかな?」
「ほぉ、という事は獣人達を見捨てるという訳か?」
「そうなっちゃうかもね」
「……ならこの二人も追加するならどうだ?」
ウェークがそう言うとナイロンと初老の老人が縛られ自由を奪われた二人の騎士を連れて来る、正体はローラとジーク
「あぁ~あ、君達捕まっちゃったんだ」
「いやぁ、すいませんね、神には敵わなかったもので」
「見捨ててください、カランダーン様」
「……」
「どうだ? これで話を聞く気になったか?」
「時間を貰えないかい?」
「いいぞ、考える時間ぐらいは与えてやるが私が見える範囲で考えろ、いいな?」
「OK、分かったよ、じゃあ四人共集合して」
状況はカランダーン側が不利
「さて、どうしようか? 状況はこちらが不利なようだけど」
そうカランダーンがあっけらかんと言う
「脅し返すとかどう? 私を使ってアイツを脅すの」
とアーリンが言う
「どうやって脅す? お前の首にナイフでも突き付けるか? お前は不死なんだぜ? 首を斬り落としたって死なないんだから、お前を使って脅しようがない」
「それもそうだったわね」
「というか君なんで自分から人質になろうとしてるの?」
「言ったでしょう? 私は貴方達種族が嫌いなのあの女も例外ではないわ、ならまだ貴方の方がマシだと思っているだけよ」
「それは嬉しい事を言ってくれるね」
「勘違いしないで相対的に良いと言っているだけなんだからね?」
「分かってるよ」
「おいおい、酷いな私達を裏切ろうとしているのかい?」
とジャックが腕を組み壁に凭れ掛かりながら呑気にそう言う
「別に最初から仲間だとは思っていないわ」
「酷いなぁ、全く、私は君の事大事に思っていたというのに……」
「相変わらずふざけた男ね、貴方」
「フフフ、そうかい?」
そこでジョンが何故か気恥ずかしくなり頭を掻き始める
「アーリンはお前達の所に戻る気が無いらしいがどうするんだ? それでも彼女が欲しいのか?」
「当たり前だ」
「らしいぜ?」
「でも嫌」
「らしいぞ?」
「あれれ? アーリン随分と強気だけど妹の事忘れちゃったのかい? そんな好き勝手に言える立場じゃないでしょ? 君は」
「そうだったわね、御免なさい、これ以上喋ると何を言うか分からないからもう黙るわ」
「お前等仲が悪いな」
「そういう君もローラと仲良くは見えないけど人の事言えるのかい?」
「こりゃ一本取られたな」
「それで? カランダーン答えは決まったのか?」
「答えを言う前に君達の誤解をまず解いて置くね」
ウェークが片眉を上げる
「誤解だと……?」
「私達が救助、捕縛したのはザッラー、キザシ、デッチェ、アーリンの四人だけ、他の人はまだ見つけて無いの何処に居るのかも見当が付いていない状態なんだ」
「じゃあ、その四人だけで良い、こちらに渡せ」
「本当にそれで良いの? 君、捜索とか苦手だったよね? 人の手は借りなくていいの?」
「黙れ、答えろと言った事以外答えるな、お前の助けなど必要ない」
「それは残念だなぁ、本当に良いの?」
「くどいぞ、カランダーン……これ以上余計な発言をしたら人質を一人殺す」
ウェークの怒りが籠ったその声が部屋の中を満たす。
しかし一切そんな事を気にする様子の無いカランダーン
「ねぇ? パーラさっきから黙ってるけど何か言ったら? 挑発でも何でもいいからさ」
「カランダーンふざけるのは止めましょう、これ以上は本当に人質の命が危ないですよ」
「何言ってるの? 追い詰められてるのはあっちなんだよ?」
カランダーンは微笑む、悪魔の微笑
「ウェークが何故人質なんて取ったかというとそうでもしなければ勝てないと踏んだからだよ、ウェークは今かなり弱っているから人質さえいなければ簡単に捕まえる事が出来る状況だしね、そう人質さえいなければ……」
「カランダーン、何を言うつもりですか? 止めなさいそれ以上は」
「私も馬鹿だったな、別に気にする必要なんて無かったよ、人質なんて……人質全員を犠牲にするくらいウェークをこのまま野放しにした場合の被害を考えれば安いものだよね? パーラもそう思わない?」
「カランダーン……! 私はそんな事は出来ません、彼等を見捨てる事は出来ない!」
「あっそ、ならどうする? 戦っちゃう?」
カランダーンはパーラの眼を見詰めまた微笑む
「止せ! 戦うな! 気は確かか!?」
間に入るウェーク
「黙っててよウェーク、君の相手は後でしてあげるからさ」
「カランダーン、本気なんですね?」
「当たり前だよ」
パーラとカランダーン、両者睨み合う
「この状況不味くない? 神同士が衝突すると島一個ぐらいは簡単に消えちゃうんでしょ?」
「あぁ……あの二人がぶつかったら屋敷は勿論、この地域に巨大なクレーターが出来る、全員でそれを防ぐには何とかあの二人を止めるしかない」
さっきまで脅す方の立場だったウェークだが立場が逆転する
「こんな所で戦ったら人質諸共消えてなくなるぞ! いいのか!!」
「私は構わないよ、言ったでしょ?」
「止めなさいカランダーン……貴方では私に敵いませんよ」
「あっはは、それはどうかな? 黒焦げにして上げるよ」
「止せ!」
「五月蠅いな、ウェークまず君から排除して上げようか?」
「お前たちは正気を失っているだけだ! お前達が戦ってしまったら牢屋行きだぞ! いいのか!」
神のルールとして神同士の衝突は禁止され、違反した者は問答無用で牢に閉じ込められる
何故こんなルールが出来たかというとウェークの言った通り、本気で神同士が戦うと大陸が消える、そしてこの世界で過去に神同士の衝突があり、島一つが消えた事があるのだ。次絶対にそんな事が起きない様に神の為の裁判所や法律が設けられたのだ。
「いいよ、牢の中でのんびりと暮らすよ、中は案外快適らしいし、そこで面倒な事もせずのんびりと暮らすよ」
ウェークは思う今の発言、カランダーンの性格なら本気で言っていてもおかしくないと
もう望みはパーラしか無い
ウェークがパーラに目線を移す。
「……もし、一瞬でも攻撃の素振りを見せたら消し炭にします」
「へぇ、それは絶対に自分からは仕掛けないって言いたいんだね、どこまでもいい子ちゃんでいたいんだ。そういう所が気に入らないんだよ」
ウェークの期待も空しく二人はヒートアップする
「おい! ウェークやべぇぞ! このままじゃ全員死ぬ!」
と敵のジョンがウェークにそう言う
ジョンはヒートアップしている二人のすぐ傍に立って居た。戦いが起きれば真っ先に死ぬだろう、彼の能力が無かったらの場合の話だが
「お前が何とかするしか無いぞ! どうにかしろ!」
「五月蠅いぞ! 人間!」
「何をどう言っても構わないが今この状況をどうにか出来るのはお前だけだ! どうにかしろ! アホ!」
ジョンの罵倒に若干の苛つきを覚えながらもウェークは思考するこの状況を打破する方法を……
その為には何故この二人は対立したかを考えねばならない、何故対立したか、ウェークが二人を追い詰めたから、その事実が二人を苛つかせ向かい合わせにした事実
「二人共、聞け、今その争いを止めたらこの二人は返す。返すぞ」
破格の条件だ。絶対に呑むはず、ウェークはそう思いそう言った。
「は? 今更なにかな? 馬鹿なんじゃないのかな? どうでもいいんだよ、そんな事もう私は面倒なのが嫌なだけ、あの馬鹿達にあれやれこれやれと命令されるのが嫌なんだよ、森の語りと風の刹那を感じながら生きて行けたら私はそれでいいのにあの馬鹿達はそれをさせない! なら破壊してやるまでだよ」
しかしカランダーンは一切耳を貸さない
カランダーンは暴走しているそう判断したウェークは余計焦る
これでは何を言っても耳を傾けないだろう、どんな条件を出しても彼女の耳には届かない
何故、私がこんな事でこんな苦悩しなければいけないのか? そう苦悩するウェーク
「あぁ、もう何もかもウザったくなっちゃったよ、何が人質? 何が私の使命だって? 本当下らない、私の時間を返してよ」
一人勝手にしゃべり続けるカランダーン
壊れた。
その場に居た多くがそう思うだろう
「カランダーン、止めるなら今ですよ?」
「君のその騒音をさ聞きたくないっていうのが分からないのかな? 喋るなよ、独善者」
その瞬間も森の語りも風の刹那も過ぎ去っているのだ。
そう笑顔で悪びれもせず言うカランダーン
「もしかしてそれは俺を安心させる為に言ったのか? 全然安心出来ないぞ、その言葉の裏を返せば憶測を外せば俺は死ぬという事だからな」
「ハハハ、逆に不安にさせちゃったかな? ごめんごめん」
「俺が死に掛ける前に教えて貰いたいんだがこれは何の実験なんだ?」
「……何処から話そうかな? う~ん、前に教えたよね君を何故この世界に呼んだのか」
「ジャックを捕える為だろ? 奴の強力な魔法を無効化出来るのは外の世界から来た俺だけだから呼んだと聞いた。お前にな」
「そう、ジョンの身体には魔力が流れていない、この世界の動物、植物には多かれ少なかれ魔力が必ず流れている、此処で私は思ったんだ。
魔法というものは魔力が流れている人間相手じゃないと正常に働かないんじゃないかってね、つまり魔力が流れていない君に魔法を使うと誤作動(エラー)を起こすんじゃないかな? という事を私は言いたいんだよ」
「だからさっきの治癒魔法の時にも痛みが生じた……なるほど、筋は通ってますね」
「そうさっきの痛みも魔法の誤作動の一環だと思うんだよね、ジョンも何か心当たりがあるだろう? 例えば先のザッラーの転移魔法で此処に飛ばされた時に武器が消えたとかね」
カランダーンはフフフと笑う
「お前、何でその事を知ってる?」
「何故武器が無くなったのか教えるね、君が転移した時、君の身体と服だけ転移して武器は転移しなかったんだよ、だから武器だけその場でカチャンッと落ちた訳」
「じゃあ、俺の武器はまだあの森に?」
「いや、私が君の部屋に届けて置いたよ、感謝してね」
「どうもサンキュー」
「……心が籠って無いよ」
「いや、精一杯込めたぞ」
「まぁいいや、で、ウェークの魔法を無効化したのもその魔法の誤作動が関係してると私は思った訳なんだ。それなら私の攻撃も無効化出来るんじゃないのかな? と思ったの」
「それが実験という訳か」
「その通り」
「……分かったいいぜ、俺もその事については知って置きたいしな、命を懸ける価値はあるだろうよ」
「よし! ならやるよ、心の準備はいいかい?」
「あぁ。いつでもどうぞ」
ジョンのそこ言葉を受け取るとカランダーンはジョンに指先を向ける
「いくよ」
カランダーンの指先から電撃が走る、だがジョンの身体には到達せずそのまま無効化されてしまう
「やっぱり……」
「カランダーン、彼はもしかして……」
「そう私の魔法を無効化したんだよ、神の魔法をね」
「そんな! 有り得ないわ!」
「でも今目の前でその有り得ない事が起きたじゃない、そう言う事だよ、彼は何かの偶然で相手の攻撃を無効化出来る力を身につけたんだよ」
「『拒絶』……?」
「いや、神の魔法は拒絶では無効化出来ないよ、つまりこれはそれ以上のものって事だよ」
「そりゃすげぇな、だが待ってくれよ、俺は再三こっちの世界で戦ったし魔法攻撃だってくらいそうになったが一回もさっきみたいに無効化された事が無かったぜ? 辻褄が合わない」
「確かに……発動にはなにか条件があるのかもね」
「条件ねぇ……今までの戦いと今の攻撃とウェークの攻撃の違いと言ったら神かそうじゃないかの違い? だったら神限定能力って事か? 断定は出来ないが」
「『拒絶』は神以外の生物の攻撃を無効化出来る魔法だとしたら君のはその反対、神にしか効かない魔法ということだね? 確かにそうかもしれないね」
「だとしたらとんでもない魔法ですね……それを聞いたら他の神が黙っていないでしょう」
「それが事実なら君を殺そうと試みる神も出て来るかもね、自分の保身の為に」
「恐ろしいな……だがそれは一旦置いて置こう、それであーだこーだ悩むのは今直面している問題を解決してからだ」
「だね、じゃあワープしよう! と言いたい所だけどもう一度いいかい?」
「今度は何だ?」
「さっき君に治癒を施した時の事を覚えているよね? 痛みが発生したって奴」
「あぁ、言っていたな」
「治癒魔法で誤作動を起こすって事は勿論、転移魔法でも誤作動を起こすって事だよ、実際君はザッラーの転移魔法で武器を無くしたしね、君のその力良い事ばっかじゃなくて悪い所も併せ持つんだよ、神の攻撃を無効化出来るけど味方の援護も無為にしてしまう、もし君が次転移したらどう誤作動を起こすかは予想不可能、最悪死ぬ事も有り得るかもしれない、それでもやる?」
「此処に置いてけぼりにされても恐らく俺は死ぬ、なら少しでも生存の可能性がある方に俺は懸ける事にするぜ」
「そうかい、分かったよ、じゃあ行くよ、ウェークを追いかけよう」
ジョン達はその場から消える、カランダーンの転移魔法によって……
そして想定外の事が起こった。ジョンが転移魔法でウェークの近くまで移動した代償としてジョンは上着の両袖を失ったのだ。
「ノースリーブになっちまったよ」
「腕が無くならなかっただけ良しとしなよ」
ジョン達が転移した場所はまた雪が積もっている、目の前には大きな両側に聳え立つ氷壁で出来た渓谷がある、その渓谷の裂け目の中の奥にウェークは居る様なので奥まで歩くジョン達、谷を挟む壁は狭く圧迫感があり裂け目の道も無理したら三人並列出来る程の広さ
四人共会話も無く先を進む、道を歩いていると道に黒い扉が一扇立っていた。その扉は谷の両側に聳え立っている氷壁と隙間があるので扉としての役目を果たしていなかったのだ。
それを見て警戒する四人
「これも魔法に関係あるんだろ? どんな魔法だ?」
「あれも転移魔法の一種だよ、あの扉は別の何処かに繋がる門」
「罠だったりしないのか?」
「ないね、そんな気配も魔力も感じないし、開けてみよう、そうしなきゃ始まらない」
そう言いカランダーンがその扉を開く、扉は何てことなく開く、そして見える扉の奥は何処かの屋敷に繋がっていたようだ。しかしその屋敷は朽ち果てており誰も住んでいないようであった。
カランダーンが先行し屋敷に入る、しかしこれといった罠も発動せず無事全員屋敷に潜入する事が出来た。
「凄い魔力を感じる……警戒を怠らないでね、三人共」
「そうだね、此処は君達にとって危険地帯なのは間違い無いからね」
と屋敷の奥から現れた赤毛の男
「ジャック……!」
「やぁ、ジョンお久しぶりだね、元気してたかい?」
「へぇ、君が関係してたんだ。それで獣人の人達は何処へやったのかな?」
「聞きたいかい? 聞きたいらしいんですけど、どうします?」
とジャックが何者かに話し掛ける
「そうね、教えて上げてもいいけど交換条件という事でどう?」
ジャックの後ろから現れたのはウェーク、ジョンが付けた傷は消えていた。
「ウェーク今の今まで何処で何してたの? 自分の土地を放ってさ」
「別に貴方には関係無い事だ。カランダーン」
「ま、確かにそうだけどさ」
「で? 交換条件とは何だ?」
「こちらはお前達に獣人達を返す。その代わりにアーリン、エフィー、キザシ、デッチェ、カタリナ、ザッラーを返して貰えない?」
「ウェーク、君もしかしてザッラーの仲間なのかい?」
「どうだろうな、そんな事よりあの獣人達の心配をする事だな、早くしなければ殺す。全員な」
「ねぇねぇ、待ってよ、君達勘違いしていないかい? 別に私達はその交渉に乗るなんて一言も言ってないよそれなのに話を進めないでくれるかな?」
「ほぉ、という事は獣人達を見捨てるという訳か?」
「そうなっちゃうかもね」
「……ならこの二人も追加するならどうだ?」
ウェークがそう言うとナイロンと初老の老人が縛られ自由を奪われた二人の騎士を連れて来る、正体はローラとジーク
「あぁ~あ、君達捕まっちゃったんだ」
「いやぁ、すいませんね、神には敵わなかったもので」
「見捨ててください、カランダーン様」
「……」
「どうだ? これで話を聞く気になったか?」
「時間を貰えないかい?」
「いいぞ、考える時間ぐらいは与えてやるが私が見える範囲で考えろ、いいな?」
「OK、分かったよ、じゃあ四人共集合して」
状況はカランダーン側が不利
「さて、どうしようか? 状況はこちらが不利なようだけど」
そうカランダーンがあっけらかんと言う
「脅し返すとかどう? 私を使ってアイツを脅すの」
とアーリンが言う
「どうやって脅す? お前の首にナイフでも突き付けるか? お前は不死なんだぜ? 首を斬り落としたって死なないんだから、お前を使って脅しようがない」
「それもそうだったわね」
「というか君なんで自分から人質になろうとしてるの?」
「言ったでしょう? 私は貴方達種族が嫌いなのあの女も例外ではないわ、ならまだ貴方の方がマシだと思っているだけよ」
「それは嬉しい事を言ってくれるね」
「勘違いしないで相対的に良いと言っているだけなんだからね?」
「分かってるよ」
「おいおい、酷いな私達を裏切ろうとしているのかい?」
とジャックが腕を組み壁に凭れ掛かりながら呑気にそう言う
「別に最初から仲間だとは思っていないわ」
「酷いなぁ、全く、私は君の事大事に思っていたというのに……」
「相変わらずふざけた男ね、貴方」
「フフフ、そうかい?」
そこでジョンが何故か気恥ずかしくなり頭を掻き始める
「アーリンはお前達の所に戻る気が無いらしいがどうするんだ? それでも彼女が欲しいのか?」
「当たり前だ」
「らしいぜ?」
「でも嫌」
「らしいぞ?」
「あれれ? アーリン随分と強気だけど妹の事忘れちゃったのかい? そんな好き勝手に言える立場じゃないでしょ? 君は」
「そうだったわね、御免なさい、これ以上喋ると何を言うか分からないからもう黙るわ」
「お前等仲が悪いな」
「そういう君もローラと仲良くは見えないけど人の事言えるのかい?」
「こりゃ一本取られたな」
「それで? カランダーン答えは決まったのか?」
「答えを言う前に君達の誤解をまず解いて置くね」
ウェークが片眉を上げる
「誤解だと……?」
「私達が救助、捕縛したのはザッラー、キザシ、デッチェ、アーリンの四人だけ、他の人はまだ見つけて無いの何処に居るのかも見当が付いていない状態なんだ」
「じゃあ、その四人だけで良い、こちらに渡せ」
「本当にそれで良いの? 君、捜索とか苦手だったよね? 人の手は借りなくていいの?」
「黙れ、答えろと言った事以外答えるな、お前の助けなど必要ない」
「それは残念だなぁ、本当に良いの?」
「くどいぞ、カランダーン……これ以上余計な発言をしたら人質を一人殺す」
ウェークの怒りが籠ったその声が部屋の中を満たす。
しかし一切そんな事を気にする様子の無いカランダーン
「ねぇ? パーラさっきから黙ってるけど何か言ったら? 挑発でも何でもいいからさ」
「カランダーンふざけるのは止めましょう、これ以上は本当に人質の命が危ないですよ」
「何言ってるの? 追い詰められてるのはあっちなんだよ?」
カランダーンは微笑む、悪魔の微笑
「ウェークが何故人質なんて取ったかというとそうでもしなければ勝てないと踏んだからだよ、ウェークは今かなり弱っているから人質さえいなければ簡単に捕まえる事が出来る状況だしね、そう人質さえいなければ……」
「カランダーン、何を言うつもりですか? 止めなさいそれ以上は」
「私も馬鹿だったな、別に気にする必要なんて無かったよ、人質なんて……人質全員を犠牲にするくらいウェークをこのまま野放しにした場合の被害を考えれば安いものだよね? パーラもそう思わない?」
「カランダーン……! 私はそんな事は出来ません、彼等を見捨てる事は出来ない!」
「あっそ、ならどうする? 戦っちゃう?」
カランダーンはパーラの眼を見詰めまた微笑む
「止せ! 戦うな! 気は確かか!?」
間に入るウェーク
「黙っててよウェーク、君の相手は後でしてあげるからさ」
「カランダーン、本気なんですね?」
「当たり前だよ」
パーラとカランダーン、両者睨み合う
「この状況不味くない? 神同士が衝突すると島一個ぐらいは簡単に消えちゃうんでしょ?」
「あぁ……あの二人がぶつかったら屋敷は勿論、この地域に巨大なクレーターが出来る、全員でそれを防ぐには何とかあの二人を止めるしかない」
さっきまで脅す方の立場だったウェークだが立場が逆転する
「こんな所で戦ったら人質諸共消えてなくなるぞ! いいのか!!」
「私は構わないよ、言ったでしょ?」
「止めなさいカランダーン……貴方では私に敵いませんよ」
「あっはは、それはどうかな? 黒焦げにして上げるよ」
「止せ!」
「五月蠅いな、ウェークまず君から排除して上げようか?」
「お前たちは正気を失っているだけだ! お前達が戦ってしまったら牢屋行きだぞ! いいのか!」
神のルールとして神同士の衝突は禁止され、違反した者は問答無用で牢に閉じ込められる
何故こんなルールが出来たかというとウェークの言った通り、本気で神同士が戦うと大陸が消える、そしてこの世界で過去に神同士の衝突があり、島一つが消えた事があるのだ。次絶対にそんな事が起きない様に神の為の裁判所や法律が設けられたのだ。
「いいよ、牢の中でのんびりと暮らすよ、中は案外快適らしいし、そこで面倒な事もせずのんびりと暮らすよ」
ウェークは思う今の発言、カランダーンの性格なら本気で言っていてもおかしくないと
もう望みはパーラしか無い
ウェークがパーラに目線を移す。
「……もし、一瞬でも攻撃の素振りを見せたら消し炭にします」
「へぇ、それは絶対に自分からは仕掛けないって言いたいんだね、どこまでもいい子ちゃんでいたいんだ。そういう所が気に入らないんだよ」
ウェークの期待も空しく二人はヒートアップする
「おい! ウェークやべぇぞ! このままじゃ全員死ぬ!」
と敵のジョンがウェークにそう言う
ジョンはヒートアップしている二人のすぐ傍に立って居た。戦いが起きれば真っ先に死ぬだろう、彼の能力が無かったらの場合の話だが
「お前が何とかするしか無いぞ! どうにかしろ!」
「五月蠅いぞ! 人間!」
「何をどう言っても構わないが今この状況をどうにか出来るのはお前だけだ! どうにかしろ! アホ!」
ジョンの罵倒に若干の苛つきを覚えながらもウェークは思考するこの状況を打破する方法を……
その為には何故この二人は対立したかを考えねばならない、何故対立したか、ウェークが二人を追い詰めたから、その事実が二人を苛つかせ向かい合わせにした事実
「二人共、聞け、今その争いを止めたらこの二人は返す。返すぞ」
破格の条件だ。絶対に呑むはず、ウェークはそう思いそう言った。
「は? 今更なにかな? 馬鹿なんじゃないのかな? どうでもいいんだよ、そんな事もう私は面倒なのが嫌なだけ、あの馬鹿達にあれやれこれやれと命令されるのが嫌なんだよ、森の語りと風の刹那を感じながら生きて行けたら私はそれでいいのにあの馬鹿達はそれをさせない! なら破壊してやるまでだよ」
しかしカランダーンは一切耳を貸さない
カランダーンは暴走しているそう判断したウェークは余計焦る
これでは何を言っても耳を傾けないだろう、どんな条件を出しても彼女の耳には届かない
何故、私がこんな事でこんな苦悩しなければいけないのか? そう苦悩するウェーク
「あぁ、もう何もかもウザったくなっちゃったよ、何が人質? 何が私の使命だって? 本当下らない、私の時間を返してよ」
一人勝手にしゃべり続けるカランダーン
壊れた。
その場に居た多くがそう思うだろう
「カランダーン、止めるなら今ですよ?」
「君のその騒音をさ聞きたくないっていうのが分からないのかな? 喋るなよ、独善者」
その瞬間も森の語りも風の刹那も過ぎ去っているのだ。
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