中年中太り成金アロハシャツおじさんを地獄の底へ叩き落とす所から始まる異世界転移物語

トムボーイ

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第八章 国家エスカルド

憂鬱な長い夜

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左耳が有った所から出血をしている男が縛られている、その前にはジョンとメイヴィスが立っている

「答えた方が楽だぜ? そんなに必死に声を殺して我慢して何になる?」

 ジョンがナイフをクルクルと回している

「……」

 耳を斬られた時もこの男は声を出さず必死に声を殺し黙って居た。その事からジョンはこの男の口を短期間で割らせるのは無理だと判断、男の服を探る

「捕まる気なんて毛頭なかったんだろ? なら手掛かりになる物を持っててもおかしくないよなぁ?」
「ぐっ……」

 ジョンは男のバッグを探る、するとそのバッグから手紙が出て来た。

 聖剣の奪取失敗、暗殺は失敗だ。

 計画変更
 カーナ・ウルシテッドを生きたまま捕獲せよ

 そう書かれたメモが発見された。

「聖剣の奪取の失敗……暗殺失敗……ふーん」
「暗殺の失敗とは何だ?」
「聖剣の奪取は分かるが暗殺が分からんな」
「カーナの事では無いのか?」
「もしこれがカーナの事だったのだとしたらおかしいと思わないか? それならあの宿でカーナ達を殺せば良かっただけの話、態々聖剣だけを盗む必要は無いだろ? それにカーナを誘拐する意味も分からない、つまり暗殺の対象は別人だろう……それは誰だと思う?」
「分からん見当もつかない」

 ジョンは壁に凭れ掛かり考え込む

「お前等は誰を殺そうとしてたんだ……? 誰だ誰だ……」

 呪いの言葉の様にそんな事を呟きながらジョンは考える

「聖剣が何故必要だったんだ……? いや……違うのか? 聖剣はこの国の王の妃の呪いを解くのに必要だった……暗殺、その妃の呪いは何処から来たんだ?」
「!? ま、まさか、こいつ等が!? こいつ等が妃に呪いを掛けたのか!?」
「そして折角呪いを掛けたのに解除されたんじゃ堪ったもんじゃないからな、呪いを解かせないために聖剣を盗んだんだ。使う為じゃない」
「しかし、何故そんな事を……」
「それは分からんな、しかしこれは重要な手掛かりだ。一旦ジェイクの元に戻るぞ、こいつも連れてな」

 ジョンは男を担ぎメイヴィスはその後を追う
 サーカステントの前にジェイクはまだ居た。

「……何を担いでんだ?」

 ジェイクの眼に最初に入ったのはジョンの肩に担がれた男である

「俺も知らない、騎士団の団員じゃないのか?」

 そう言ってジョンは男を肩から降ろす。ジェイクが男の顔を視る

「……ランゴスタ・ゲール五番隊の奴だな」
「流石、団長顔を視ただけで一瞬で団員の名前が出るとは尊敬しちゃうな~」
「ぶっ飛ばすぞ、それよりこいつと何が有ったんだ。詳しく聞かせろ」

 ジョンはジェイクに事の顛末を教える

「お、おい待てよつまりお前はこう言うのか? 妃に呪いを掛けたのは五番隊の奴等だって?」
「その通りよく分かったな」
「何でそんな事をする必要がある? 王の妃を殺そうとするなんて国を敵に回すという事、俺達は国立騎士団なんだぜ? 国が無ければ存続は出来ない」
「おいおい、大丈夫か? 大分混乱してるみたいだぜ? 五番隊は騎士団とも国とも違う所からの命令に従っている、そう考えれば良いだろ? 国や騎士団の存続なんざに興味無いのさ、むしろ滅ぼしたいぐらいに思ってるんじゃないか?」
「テロ行為だって言うのかよ……」
「そう、そしてそのテロ行為とクローン研究がどう関係しているのか……まぁこれは考えても埒が明かない、よしジェイクお前はとっとと呪われていた妃の元に向かって事情を聞いて来てくれないか? 人に呪われる様な事はしなかったか? とかな」
「簡単に言うなよ……」
「病み上がりの妃に拝見出来そうなのなんて此処ではお前しか居ないんだ。それに奴等が再び暗殺を企てる可能性だって有る、様子を見て来いよ、あ、そういえば意識は戻って無かったんだったか?」
「意識はつい数時間前に戻られたらしい……」
「なら何の文句も無いよな? まぁ頑張んな」
「はぁ……」

 ジェイクの憂鬱な夜は続く

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