そして、燻む。美しく。

頭痛

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第二章

紅顔白骨

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 夏の夜の公園は、昼間の生々たる憩いの表情とは一変し、何とも禍々しい不気味な静けさで此方を見据えてくる。
 この公園には街灯があまり立っておらず、一昔前では頻繁に痴漢の被害が出ていたらしい。
今では周りに民家が建ってくれたお陰で、真夜中でもない限りは公園が暗闇に飲まれる事はない。
 とは言え住宅街の通りを走ってきた僕は目が明るさに慣れてしまった為、公園内を満足に見渡す事が出来ない。
「シロ・・・?」
僕は闇に向かって呟く。

 ──応答がない。

 ここもはずれか・・・。
そう思い始めた時、スニーカーで公園の土を踏みしめる音が微かに聞こえた。
 少しづつ、僕の目が暗さに慣れてくる。
音が近づくと共に、闇の中から人の輪郭がはっきりと見えてきた。
よく見ようと、僕は眼を細める。
すると。

 「わしじゃよ」
シロがヘラヘラしながら言ってきた。
「いや、どれだけ探したと思ってるの」
僕は不機嫌そうに応える。

良かった。シロは無事だった。それどころか、少しふざけるだけの元気まである。
 シロは少し申し訳なさそうに謝って、近くのベンチに二人で座る。
「で、何があったの?」
とにかく解らない事だらけである。シロから色々と聴かねば。
 「う~ん、何から話したモンか・・・」
シロは唸りながら、話し始めた。
 「昼間、クロとここで別れたろ?その後、アヤと二人で帰ってさ。アヤとはウチの前で別れて、家に帰ったんだよ」
そうだ。それはアヤから聞いた。
 「んで、母ちゃんは今日仕事休みでさ。居間でテレビ観てたから、ただいまって声掛けたんだよ」

────え?
確かシロの母親は、シロはまだ帰って来てないって言ってた筈では?

 「でもさ、テレビに夢中なのか全然反応しなくてさ。腹減ったって言っても聞こえてない感じなんだよ」
「何、ケンカでもしたの?」
僕は少し不安になって聞いた。
 「いやー、俺も、母ちゃん機嫌悪いのかな?って少し思ってさ。だから薬局行って来るって言って家を出たんだけど」
やはり、シロは薬局に行っていた。
にも拘らず、髪の色は銀色のままだった。
 「んで、薬局で買い物しようとしたんだけどさ。店員が全然レジ打ってくんねぇの」
「え?どういうこと?」
 「いや、それ俺が一番聞きたいよ。あのーとか、すみませーんって言っても無視なんだよ」
シロは少し寂しそうに言った。

すると突如、僕のスマホに着信が入る。
「あ、アヤだ。そうだ、シロが見付かった事言ってないや」
 「何かそう言われると、俺まるで迷子みてーだな」と、シロは苦笑いした。

僕はアヤからの電話に出て、シロが見付かった事と、昼間に居た公園で話している事を告げた。
 アヤはとても安心した様子で、僕にお礼を言う。アヤも近くでシロを探していたらしく、今から此方に向かうと言っていた。

「話を戻すけど、じゃあ今の今迄ずっとここに居たの?」
僕は電話を切り、シロに聞いた。
 「んー、まぁな。また一回家に帰ったんだけど、同じ感じだったからさ」
「なんだろう・・・あ、そういえばスマホは?」
僕は連絡を取れなかった理由を聞いた。
が、案の定、あの踏切にあった機械の残骸がシロのかつてのスマホらしい。
 「多分、あん時に落としたっぽいなぁ」
「うう・・・それは申し訳ないです・・・」
 あの時。
つまり、シロが僕を踏切で助けた時。
完全に僕の所為だった。
シロはそんな僕を見て「気にすんな」と、ハハッと笑った。

 「──クロ!」
公園沿いの道から、アヤの声がした。
僕はベンチから立ち上がり、手を振ってここにいると報せる。
僕に気付いたアヤは、走って此方にやって来た。心做しか、泣きそうな顔をしている。

 「クロ!良かった!まったく、シロの馬鹿は何してんのよ!」
アヤが怒りながら言う。
 「うるせーのが来た来た」
シロが笑いながら言った。

 「うるせーって何よ!どこに隠れてんの、ふざけてる場合じゃないでしょ!」


──────え?

アヤはシロの目の前で、キョロキョロと辺りを見回している。

「・・・アヤ?」
僕は不安そうに聞く。

 「・・・お前、何してんの?」
シロも不安そうにアヤの前に立って聞く。

 「何って・・・え・・・? シロ、どこ?」




「「「え?」」」



三人の声が、重なった。
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