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第三章
聲
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夕飯を済ませた僕は、両親の目を盗み、戸棚からカップラーメンを取り出す。
カップラーメンにお湯を注ぎ、気付かれる前に自室に戻った。
部屋に入ると、親指と曲げた人差し指を口に当て、テレビに映るニュースを睨み付ける様に観ているシロが座っていた。
「シロ、お待たせ。ごめん、カップ麺だけど」
よほど真剣に観ていたのか、ハッと驚いた顔をして、シロがこちらに気付く。
「ああ、悪い、ありがとう」
テレビには、未だに僕の見知った街が映し出されている。
「山下さんの事件、観てたの?」
僕はカップラーメンを食べるシロに聞いた。
「ああ。やっぱり殺されたんだな」
──殺された。
凡そ、僕達の様なごくごく普通の高校生が使うべき単語では無い。
使われるべき単語では無い。
「やっぱりって事は、シロが言ってた先週のあの話?」
「ああ」
僕は今朝、シロが話していた噂を思い出す。
イジメに遭っていた山下さん。
ラブホテルから出てきた所を目撃された山下さん。
その山下さんを物陰から見ていたという男性。
「でも、これって警察も知っているんじゃない?」
「いや、それはどうだろうな」
シロは直ぐに否定した。
「俺、学校でも何人か噂好きな奴に聞いてみたんだよ。でも、イジメられてた話も『らしい』までだし、その後のラブホやストーカーの話は誰も知らなかった」
なるほど。
誰も知らない話なら、警察も知る由がない。
「でも、シロの友達が見かけたんでしょ?その人が話したりしたんじゃない?」
「アイツは、あんまりこーゆーのに関わりたくないタイプだからな。多分、警察とか教師には言わねーと思う」
僕も正直、あまりこういった事には関わりたくない。だが、シロもアヤの事をとやかく言えない位に正義感が強いというか、首を突っ込みたがる性分なのだ。
「ふう、ごちそうさま。ありがとうな、クロ」
「いいよ。トイレ行くから一緒に捨ててくるね」
僕はシロが食べ終えたカップラーメンの容器と割り箸を持って自室を出る。
またも両親に気付かれない様、台所のゴミ箱に捨て、そのままトイレに行き用を足す。
トイレから戻り部屋に向かうと、小さく叫声をあげそうになった。
母が、僕の部屋のドアをノックしている。
「ど、どうしたの?」
思わず声が上擦る。
「あら?句路、部屋にいたんじゃないの?」
「いや、トイレに行ってたよ」
じわりと首筋に汗が滲む。
「そう。おかしいわね、話し声が聞こえた気がしたんだけど」
「テレビじゃないかな?ニュース観てたから」
言い訳をしてみたが、それでも母は、あまり納得していない面持ちだった。
「ん~、変ねぇ。詩朗ちゃんの声がしたと思ったのに」
心臓が飛び出しそうになった。
恐らく部屋にいるシロも、この会話を聴いて同じ様に硬直しているだろう。
「多分、さっきまでスピーカーモードで通話してたからかな」
僕は咄嗟に嘘を吐く。
「そう、なら良いんだけど。お父さんも、詩朗ちゃんがいるなら夜も遅いから泊まっていきなさいって言ってたから。こんな時間に外で遊ばない様にね」
「うん・・・わかった」
気付けば、僕の額は汗で湿っていた。
カップラーメンにお湯を注ぎ、気付かれる前に自室に戻った。
部屋に入ると、親指と曲げた人差し指を口に当て、テレビに映るニュースを睨み付ける様に観ているシロが座っていた。
「シロ、お待たせ。ごめん、カップ麺だけど」
よほど真剣に観ていたのか、ハッと驚いた顔をして、シロがこちらに気付く。
「ああ、悪い、ありがとう」
テレビには、未だに僕の見知った街が映し出されている。
「山下さんの事件、観てたの?」
僕はカップラーメンを食べるシロに聞いた。
「ああ。やっぱり殺されたんだな」
──殺された。
凡そ、僕達の様なごくごく普通の高校生が使うべき単語では無い。
使われるべき単語では無い。
「やっぱりって事は、シロが言ってた先週のあの話?」
「ああ」
僕は今朝、シロが話していた噂を思い出す。
イジメに遭っていた山下さん。
ラブホテルから出てきた所を目撃された山下さん。
その山下さんを物陰から見ていたという男性。
「でも、これって警察も知っているんじゃない?」
「いや、それはどうだろうな」
シロは直ぐに否定した。
「俺、学校でも何人か噂好きな奴に聞いてみたんだよ。でも、イジメられてた話も『らしい』までだし、その後のラブホやストーカーの話は誰も知らなかった」
なるほど。
誰も知らない話なら、警察も知る由がない。
「でも、シロの友達が見かけたんでしょ?その人が話したりしたんじゃない?」
「アイツは、あんまりこーゆーのに関わりたくないタイプだからな。多分、警察とか教師には言わねーと思う」
僕も正直、あまりこういった事には関わりたくない。だが、シロもアヤの事をとやかく言えない位に正義感が強いというか、首を突っ込みたがる性分なのだ。
「ふう、ごちそうさま。ありがとうな、クロ」
「いいよ。トイレ行くから一緒に捨ててくるね」
僕はシロが食べ終えたカップラーメンの容器と割り箸を持って自室を出る。
またも両親に気付かれない様、台所のゴミ箱に捨て、そのままトイレに行き用を足す。
トイレから戻り部屋に向かうと、小さく叫声をあげそうになった。
母が、僕の部屋のドアをノックしている。
「ど、どうしたの?」
思わず声が上擦る。
「あら?句路、部屋にいたんじゃないの?」
「いや、トイレに行ってたよ」
じわりと首筋に汗が滲む。
「そう。おかしいわね、話し声が聞こえた気がしたんだけど」
「テレビじゃないかな?ニュース観てたから」
言い訳をしてみたが、それでも母は、あまり納得していない面持ちだった。
「ん~、変ねぇ。詩朗ちゃんの声がしたと思ったのに」
心臓が飛び出しそうになった。
恐らく部屋にいるシロも、この会話を聴いて同じ様に硬直しているだろう。
「多分、さっきまでスピーカーモードで通話してたからかな」
僕は咄嗟に嘘を吐く。
「そう、なら良いんだけど。お父さんも、詩朗ちゃんがいるなら夜も遅いから泊まっていきなさいって言ってたから。こんな時間に外で遊ばない様にね」
「うん・・・わかった」
気付けば、僕の額は汗で湿っていた。
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