42 / 47
第三章:それぞれのバトル
⚜️ 42:白磁
しおりを挟む
◤ 惨劇のあったフィオリ村を出発し、次の村ピエトラに向かうアーシェル一行。トラブル無く、無事に辿り着くことは出来るのだろうか…… ◢
先頭をエイルとアルフィナ、続いてジルハートとモエ、その後ろを私とアーシェルで列をなしている。さらに後ろには、フィオリ村の住人と2台の馬車が続く。
「うわー、高い! こんな高い肩車は初めて!」
ジルハートに肩車をされたルオルが声を上げる。
「ただの遊びじゃないぞ。悪いやつを見つけたら、すぐに俺たちに知らせるんだ。——分かったな、ルオル」
ルオルは「うん!」と、朗らかに返事をした。
「今度、皆にも話そうと思っているんだが、先にキミに聞かせておこうと思う。僕が現時点で把握している、マナトゥムのことだ」
アーシェルは大あくびをしながらそう言った。きっと、寝る時間も惜しんでマナトゥムについて調べているのだろう。
「まず、リリア。キミはどこまでマナトゥムのことを知っている? 白磁くらいは分かるのか?」
「い……一応、その辺りはお父様に聞いたかな。いにしえの文献にも載っている、前世界を滅ぼしたマナトゥムのことだよね? ——そう言えば、どうしてそのマナトゥムは白磁って呼ばれてるの?」
「名前の通り、真っ白な顔を持っていたからだ。僕も一度だけ見たことがあるが、白い陶磁器のように美しく、とても整った顔をしていた。それ故、冷酷に見えるというのは否めないがな。——そう言えば、モエの顔も真っ白だ。当時のエルデリア人は何らかの意図があって、顔を真っ白にしていたのかもしれないな」
そのモエは、前を行くルオルたちと楽しげに談笑している。あのモエの末裔が、世界を滅ぼしてしまったというのか……
「白磁って、実際にどこかで見つかっているの?」
「ああ。ここから遥か北方に、ノルズヘイムという地方がある。そこで大地震が起きた際、地下から大量の白磁が見つかったそうだ。だが、原型をとどめていたものは殆どなく、一部を除いて殆どが腐食していたらしい。——実は旧型マナトゥム同様、僕はこいつの身体も欲しかったんだ。流石にそれを言ったら、父上に叱られたけどね」
アーシェルはそう言ってクスクスと笑った。マナトゥムに関しては、本当に貪欲な人だ。
「そして、古の文献にはこう記されている——」
————————————
白磁の仮面来たりて、命の灯火を摘む。
この地の息吹を啜り尽くし、創造主を喰らいし神々は、
自らの飢えによりて、星霜の化石と成り果てん。
人が神を創りし果て、待つは沈黙のみ。
————————————
「マナトゥムが生みの親の人間を滅ぼしたって話だ。“この地の息吹”とは、マナのことを差していると言われている。マナを与えられずとも、自身で取り入れることが出来たらしいからな」
「も、もしかしてアーシェル、“創造主を喰らいし神々”って部分……」
「ああ……僕も今までは、白磁のことだけを差していると思っていた。だがもしかすると、ここに関しては先日戦った青目のことかもしれん」
そう言って、アーシェルは難しい顔で腕を組んだ。
「そして昨夜、僕は新たな発見をした。モエの部品の多くに、2045という数字が振られているんだ。——この番号、キミは何だと思う?」
「うーん……製造番号や、製造工場の番号とか?」
「僕も最初は同じように思っていた。だが、青目の部品と見比べていて気付いたんだ。——これはきっと、エルデリア歴だと」
「エルデリアの年号ってこと……?」
「そうだ。そして恐ろしいことに、青目に振られた番号は2047。——分かるか? 恐ろしいことの意味が」
「モエが作られてから、たった2年しか経っていないってこと……?」
「そうだ。しかも、青目が言った『マナトゥムによって作られたマナトゥム』という言葉が本当なら、青目は白磁によって作られた可能性が高い。となると……白磁はその間の2046年辺りに作られたということになる。——恐ろしくないか? 進化の速度が……?」
私たちの世界でも、シンギュラリティが起こると恐ろしい速度で技術が進化すると言われている。
前世界のエルデリア人は、マナトゥムの驚くべき進化のスピードを見誤り、滅んでしまったのかもしれない。
先頭をエイルとアルフィナ、続いてジルハートとモエ、その後ろを私とアーシェルで列をなしている。さらに後ろには、フィオリ村の住人と2台の馬車が続く。
「うわー、高い! こんな高い肩車は初めて!」
ジルハートに肩車をされたルオルが声を上げる。
「ただの遊びじゃないぞ。悪いやつを見つけたら、すぐに俺たちに知らせるんだ。——分かったな、ルオル」
ルオルは「うん!」と、朗らかに返事をした。
「今度、皆にも話そうと思っているんだが、先にキミに聞かせておこうと思う。僕が現時点で把握している、マナトゥムのことだ」
アーシェルは大あくびをしながらそう言った。きっと、寝る時間も惜しんでマナトゥムについて調べているのだろう。
「まず、リリア。キミはどこまでマナトゥムのことを知っている? 白磁くらいは分かるのか?」
「い……一応、その辺りはお父様に聞いたかな。いにしえの文献にも載っている、前世界を滅ぼしたマナトゥムのことだよね? ——そう言えば、どうしてそのマナトゥムは白磁って呼ばれてるの?」
「名前の通り、真っ白な顔を持っていたからだ。僕も一度だけ見たことがあるが、白い陶磁器のように美しく、とても整った顔をしていた。それ故、冷酷に見えるというのは否めないがな。——そう言えば、モエの顔も真っ白だ。当時のエルデリア人は何らかの意図があって、顔を真っ白にしていたのかもしれないな」
そのモエは、前を行くルオルたちと楽しげに談笑している。あのモエの末裔が、世界を滅ぼしてしまったというのか……
「白磁って、実際にどこかで見つかっているの?」
「ああ。ここから遥か北方に、ノルズヘイムという地方がある。そこで大地震が起きた際、地下から大量の白磁が見つかったそうだ。だが、原型をとどめていたものは殆どなく、一部を除いて殆どが腐食していたらしい。——実は旧型マナトゥム同様、僕はこいつの身体も欲しかったんだ。流石にそれを言ったら、父上に叱られたけどね」
アーシェルはそう言ってクスクスと笑った。マナトゥムに関しては、本当に貪欲な人だ。
「そして、古の文献にはこう記されている——」
————————————
白磁の仮面来たりて、命の灯火を摘む。
この地の息吹を啜り尽くし、創造主を喰らいし神々は、
自らの飢えによりて、星霜の化石と成り果てん。
人が神を創りし果て、待つは沈黙のみ。
————————————
「マナトゥムが生みの親の人間を滅ぼしたって話だ。“この地の息吹”とは、マナのことを差していると言われている。マナを与えられずとも、自身で取り入れることが出来たらしいからな」
「も、もしかしてアーシェル、“創造主を喰らいし神々”って部分……」
「ああ……僕も今までは、白磁のことだけを差していると思っていた。だがもしかすると、ここに関しては先日戦った青目のことかもしれん」
そう言って、アーシェルは難しい顔で腕を組んだ。
「そして昨夜、僕は新たな発見をした。モエの部品の多くに、2045という数字が振られているんだ。——この番号、キミは何だと思う?」
「うーん……製造番号や、製造工場の番号とか?」
「僕も最初は同じように思っていた。だが、青目の部品と見比べていて気付いたんだ。——これはきっと、エルデリア歴だと」
「エルデリアの年号ってこと……?」
「そうだ。そして恐ろしいことに、青目に振られた番号は2047。——分かるか? 恐ろしいことの意味が」
「モエが作られてから、たった2年しか経っていないってこと……?」
「そうだ。しかも、青目が言った『マナトゥムによって作られたマナトゥム』という言葉が本当なら、青目は白磁によって作られた可能性が高い。となると……白磁はその間の2046年辺りに作られたということになる。——恐ろしくないか? 進化の速度が……?」
私たちの世界でも、シンギュラリティが起こると恐ろしい速度で技術が進化すると言われている。
前世界のエルデリア人は、マナトゥムの驚くべき進化のスピードを見誤り、滅んでしまったのかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる