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第三章:それぞれのバトル
⚜️ 45:密書
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スウスウと寝息を立てるアルフィナを起こさないよう、静かに隣のベッドに潜り込む。
あれってやっぱり、告白ってことだよね……
心臓はまだドキドキしていて、当分眠れそうにない。アーシェルが私に好意を持っていることは感じていたが、まさか友情以上のものだとは思ってもいなかった。
だけどアーシェルが好きだったのは、以前のリリアだったはず。私と違って活発だったであろう彼女は、性格も全然違うはずだ。そんな私で大丈夫なのだろうか——
って、私ずっとエルデリアにいるなんて思ってないし!!
***
「ジルハート! 僕もお兄ちゃんみたいに強くなる! 今度は僕が、村のみんなを守れるように!!」
ルオルがジルハートを見上げて言う。ジルハートはその場に屈み込むと、ルオルの肩に手を乗せた。
「人一倍辛い思いをしたお前は、きっと強い男になれる。この村にはアルクさんという、素晴らしい先生もいる。彼から、色々と教えてもらうといい。——じゃあな、ルオル。いつかまた、きっと会おう」
ジルハートがそう言うと、ルオルはジルハートの胸に飛び込んだ。ルオルの小さな肩が、ふるふると震えている。彼を受け止めたジルハートもまた、そっと目尻を拭った。
「それでは行こうか、ジルハート。——ピエトラの民よ、あなた方には本当に世話になった! そして、エルデリアに再び平和が訪れるよう、皆で祈ってくれないか! 僕たちは、その祈りに応えようと思う!!」
ピエトラの村民たちが見送る中、アーシェルは声高らかにそう言った。
「もちろんです、アーシェル様! 旅の終わりまで、どうかご無事で! あなた方の未来に、光があらんことを!!」
アルクが声を上げたのを皮切りに、村民たちもめいめいに声を上げた。昨日始めて出会ったというのに、涙を流してくれている人もいる。気づけば私の頬にも、涙が伝っていた。
***
「見ツケマシタ、エイルサン! 右前方ヨリ、コチラニ向ケ接近中!」
ん……? 私には何も見えない。モエの目は相当に良いようだ。
「把握した! ありがとうモエさん!」
エイルはそう言うと、少し腰を落とし右手を上空に向けた。エイルはどんな技を見せてくれるのだろうか。皆が彼を興味深く見つめた。
そして彼の口元が小さく動いたかと思うと、「ハッ!」と力強くも明瞭な声を発した。
「すっ、凄い! 落ちてきた!!」
エイルはこちらに向かってきた鳥を、風魔法で捕らえたのだ。その鳥を捕獲しようと、アルフィナを先頭に皆が駆け寄った。
「ああ……これは立派ですね。この大きさは、きっとメスかと」
捕獲したのは、ハヤブサという鳥らしい。身体の大きさだけでなく、精悍な顔つきが空の王者だということを強くアピールしている。
「——じゃ、早速頼めるかアルフィナ」
「うっ、うん……!」
アルフィナがハヤブサに向け、両手を広げた。アルフィナの小さな口元が、忙しなく呪文を唱えている。彼女の得意な転力魔術を、ハヤブサに対してかけているようだ。そしてアルフィナの口元の動きが止まった瞬間、ハヤブサはヒョコンと立ち上がった。
「せっ、成功したのか!?」
「ふぅ……どうやらいけたみたい。——じゃ、これをこうしてと」
アルフィナはそう言うと、王家の紋章がついた布袋をハヤブサの首にくくりつけた。その袋の中には、エルデリア城へ届ける密書が入っている。
「ハヤブサなら、どんな鳥にも負けないだろう。こいつを見つけるのに、少々時間がかかってしまったが。——このハヤブサの無事を皆で祈ろう。やってくれ、アルフィナ!」
アーシェルがそう言うと、アルフィナは勢いよくエルデリア城の方向へと指を向けた。
ハヤブサはググッと力強く屈むと、脚を蹴り出し宙へと跳んだ。そして次の瞬間、大きく羽を広げ、宙高く空へと舞い上がっていった。
以下、アーシェルがしたためた密書となる。
⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜
父上へ
緊急の事態につき、伝令にこの密書を託します。
継承の巡礼は、フィオリ村にて最初の試練を迎えました。村は既に壊滅。我らが発見した六名以外は、既に命を落としておりました。
犯人は、我々が「青目」と呼称する、未知のマナトゥム。
我々はフィオリ村にて、この青目と交戦。我がマナトゥム「シークス」は、たったの一撃で不動のものとされてしまいました。だが幸い、白祈院出身エイルの奮闘により、これを殲滅することに成功。
ところで、父上。白祈院はただの修道院ではございません。私は、彼らの攻撃力を侮っていたようです。
次の目的地ピエトラ村にも、別の青目が襲来。だが幸い、村にいた手練れの術師のおかげで、村の犠牲は最小限なものとなりました。ですが術師の一人、イリスという者はその戦いで命を落としてしまいました。
この青目は、我々の想定を遥かに超える存在です。
我々が白磁と呼んでいるマナトゥムによって、作られたものと思われます。青目が作られた目的は、ただただ人を殺すため。
まだ確定には至りませんが、青目は人間の身体からエネルギーを取得出来る模様。エネルギーを吸い取られた人間は、砂で作られた彫刻のように変化をしておりました。
つきましては、早急に騎士団の一部をこの北方地域へ派遣していただきたく。最低でも、一騎士団。可能であれば、近衛騎士団からの選抜部隊を。先ほど名前をあげた、白祈院からも派兵が可能であれば、希望いたしたく。
継承の巡礼前に、マナトゥムの噂を耳にしていたにも関わらず、この失態。帰城した暁には、重々に省察したく存じます。
アーシェル・オル・エルデリア
⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜ ⚜
アルフィナが放ったハヤブサは、やがて雲間に消えた。
その先に待つものが、希望であることを信じて——
あれってやっぱり、告白ってことだよね……
心臓はまだドキドキしていて、当分眠れそうにない。アーシェルが私に好意を持っていることは感じていたが、まさか友情以上のものだとは思ってもいなかった。
だけどアーシェルが好きだったのは、以前のリリアだったはず。私と違って活発だったであろう彼女は、性格も全然違うはずだ。そんな私で大丈夫なのだろうか——
って、私ずっとエルデリアにいるなんて思ってないし!!
***
「ジルハート! 僕もお兄ちゃんみたいに強くなる! 今度は僕が、村のみんなを守れるように!!」
ルオルがジルハートを見上げて言う。ジルハートはその場に屈み込むと、ルオルの肩に手を乗せた。
「人一倍辛い思いをしたお前は、きっと強い男になれる。この村にはアルクさんという、素晴らしい先生もいる。彼から、色々と教えてもらうといい。——じゃあな、ルオル。いつかまた、きっと会おう」
ジルハートがそう言うと、ルオルはジルハートの胸に飛び込んだ。ルオルの小さな肩が、ふるふると震えている。彼を受け止めたジルハートもまた、そっと目尻を拭った。
「それでは行こうか、ジルハート。——ピエトラの民よ、あなた方には本当に世話になった! そして、エルデリアに再び平和が訪れるよう、皆で祈ってくれないか! 僕たちは、その祈りに応えようと思う!!」
ピエトラの村民たちが見送る中、アーシェルは声高らかにそう言った。
「もちろんです、アーシェル様! 旅の終わりまで、どうかご無事で! あなた方の未来に、光があらんことを!!」
アルクが声を上げたのを皮切りに、村民たちもめいめいに声を上げた。昨日始めて出会ったというのに、涙を流してくれている人もいる。気づけば私の頬にも、涙が伝っていた。
***
「見ツケマシタ、エイルサン! 右前方ヨリ、コチラニ向ケ接近中!」
ん……? 私には何も見えない。モエの目は相当に良いようだ。
「把握した! ありがとうモエさん!」
エイルはそう言うと、少し腰を落とし右手を上空に向けた。エイルはどんな技を見せてくれるのだろうか。皆が彼を興味深く見つめた。
そして彼の口元が小さく動いたかと思うと、「ハッ!」と力強くも明瞭な声を発した。
「すっ、凄い! 落ちてきた!!」
エイルはこちらに向かってきた鳥を、風魔法で捕らえたのだ。その鳥を捕獲しようと、アルフィナを先頭に皆が駆け寄った。
「ああ……これは立派ですね。この大きさは、きっとメスかと」
捕獲したのは、ハヤブサという鳥らしい。身体の大きさだけでなく、精悍な顔つきが空の王者だということを強くアピールしている。
「——じゃ、早速頼めるかアルフィナ」
「うっ、うん……!」
アルフィナがハヤブサに向け、両手を広げた。アルフィナの小さな口元が、忙しなく呪文を唱えている。彼女の得意な転力魔術を、ハヤブサに対してかけているようだ。そしてアルフィナの口元の動きが止まった瞬間、ハヤブサはヒョコンと立ち上がった。
「せっ、成功したのか!?」
「ふぅ……どうやらいけたみたい。——じゃ、これをこうしてと」
アルフィナはそう言うと、王家の紋章がついた布袋をハヤブサの首にくくりつけた。その袋の中には、エルデリア城へ届ける密書が入っている。
「ハヤブサなら、どんな鳥にも負けないだろう。こいつを見つけるのに、少々時間がかかってしまったが。——このハヤブサの無事を皆で祈ろう。やってくれ、アルフィナ!」
アーシェルがそう言うと、アルフィナは勢いよくエルデリア城の方向へと指を向けた。
ハヤブサはググッと力強く屈むと、脚を蹴り出し宙へと跳んだ。そして次の瞬間、大きく羽を広げ、宙高く空へと舞い上がっていった。
以下、アーシェルがしたためた密書となる。
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父上へ
緊急の事態につき、伝令にこの密書を託します。
継承の巡礼は、フィオリ村にて最初の試練を迎えました。村は既に壊滅。我らが発見した六名以外は、既に命を落としておりました。
犯人は、我々が「青目」と呼称する、未知のマナトゥム。
我々はフィオリ村にて、この青目と交戦。我がマナトゥム「シークス」は、たったの一撃で不動のものとされてしまいました。だが幸い、白祈院出身エイルの奮闘により、これを殲滅することに成功。
ところで、父上。白祈院はただの修道院ではございません。私は、彼らの攻撃力を侮っていたようです。
次の目的地ピエトラ村にも、別の青目が襲来。だが幸い、村にいた手練れの術師のおかげで、村の犠牲は最小限なものとなりました。ですが術師の一人、イリスという者はその戦いで命を落としてしまいました。
この青目は、我々の想定を遥かに超える存在です。
我々が白磁と呼んでいるマナトゥムによって、作られたものと思われます。青目が作られた目的は、ただただ人を殺すため。
まだ確定には至りませんが、青目は人間の身体からエネルギーを取得出来る模様。エネルギーを吸い取られた人間は、砂で作られた彫刻のように変化をしておりました。
つきましては、早急に騎士団の一部をこの北方地域へ派遣していただきたく。最低でも、一騎士団。可能であれば、近衛騎士団からの選抜部隊を。先ほど名前をあげた、白祈院からも派兵が可能であれば、希望いたしたく。
継承の巡礼前に、マナトゥムの噂を耳にしていたにも関わらず、この失態。帰城した暁には、重々に省察したく存じます。
アーシェル・オル・エルデリア
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アルフィナが放ったハヤブサは、やがて雲間に消えた。
その先に待つものが、希望であることを信じて——
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