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ep20:自由行動
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バスを降り、私たちは歴史博物館を訪れた。とりあえずここを見るのはマストで、自由行動になるのは昼食後だ。周辺には他の博物館や美術館もあるので、午後からは好きな場所を巡ることになる。
「やっぱ、お前ら仲良いよなあ……彩奈とペアにしてもらうって話、白紙に戻したほうがいいかなあ……」
常盤市の歴史というボードの前で、仁がボソリと呟く。正直、彩奈は私のことが好きだろう。なんて返せばいいのか分からず、言葉に詰まってしまう。
「うーん……仁が彩奈のことを好きだって知ったら、彩奈も意識してワンチャンあるかなって思ってはいたんだけどな……」
隣にいた春人が言った。
「確かにそれは、なくもない……全く予想外の女子から告られた時、めちゃくちゃ意識しだしたもん俺……」
「——いつの話だよ、仁。で、結果はどうだったんだ?」
「中三の時の話。結局、どうにもならなかったけどさ」
仁の返事に、春人は大げさにガクッと肩を落とした。
「まあ、自由行動が始まるまで、まだ時間はある。ギリギリまで悩めばいいじゃん。な、仁」
春人はそう言って、仁の肩を叩いた。
***
昼食を終え、運命の時が近づいてきた。今回の計画を実行するかどうかは、仁の一言で決まる。
「決まったか、仁……?」
「ああ……俺、やってみるよ。同じ後悔なら、ぶつかってからでもいい」
仁は緊張した面持ちで、彩奈に声をかけに言った。
「な、なあ、彩奈。自由行動なんだけど、男女一人ずつのペアで周るってのはどうかな」
「え!? いいじゃん、いいじゃん! で、ペアはどうやって決めるの?」
「お、俺たちでジャンケンをして、組みたい相手を選ぼうかなって思ってるんだけど」
「なるほどね! 明日香と眞白もそれでいい?」
彩奈の問に、明日香と眞白は頷いた。明日香は少し、面倒だと思っているように見える。眞白は何を思っているのだろうか。
「じゃ、じゃあ……いくぞ……」
私たちは、ジャンケンで何を出すのか決めなかった。どちらにしても結果は同じだし、こちらの方が緊張感も伝わると思ったからだ。
このジャンケン、絶対に……
勝ちたくない……!!
「最初はグー!! ジャンケン、ポンッ!!」
仁と春人はチョキで、私はグー。
ああ、見事に勝ってしまった……強い思いがある時ほど、その通りに行かないのは昔からだ。
「じゃ、じゃあ、悠真……誰にするか決めてくれ」
眞白、明日香、彩奈の顔を順に見る。眞白は落ち着いた表情。明日香はやはり面倒くさそうな表情。そして彩奈は、私を選んでくれとばかりにキラキラとした目で私を見ている。
「こ、今回は明日香で……」
明日香は驚いた表情で「私!?」と言った。彩奈はキュッと口を閉じると、残念そうに目を伏せた。
***
「もしかして、仁に彩奈を譲った感じ?」
明日香と二人で歩き出すと、彼女はすぐにそう言った。
「えっ……?」
「え? じゃなくて。仁って彩奈のことが好きなんだろうなって、ずっと思ってたから。多分、彩奈は気づいてないけど」
「そ、そっか、明日香は気づいてたんだ……俺は今回のことがあるまで、全然気づいてなくて」
「仁ってば、隙あらば彩奈のこと見てたからね。——でも、厳しいだろうなあ。彩奈は悠真のことしか見えてない感じだし」
「そ、その……彩奈ってやっぱ、俺のこと好きって言ってるの?」
「ま……まあ、彩奈も気持ちを隠してないから言っちゃうけどさ。初めて駅のホームで会った時に、一目惚れしたって言ってたよ。その日の内に、広樹に別れようって連絡取ってたし。——あ。でも広樹とは、その前から別れるって話は聞いてたんだけどね」
「ああ、別れた時の話は彩奈から聞いた。結構な直球で切り出したみたいじゃん」
「アハハ、そうなの。彩奈らしいよねホント。その後も何度か、やり直して欲しいって言われてたみたいだけど。——あとね、一つ気になったんだけど」
私は「ん?」と首を傾げた。
「どうして私を選ぶ時に、『今回は』って言ったの? 彩奈に気を使って?」
「あ、ああ……そうかもしれない」
「彩奈ってさ、思ったことすぐ口に出すし、ハチャメチャな雰囲気あるけど、ホント良い子だよ。頑張る時は頑張れるし、嘘とか大嫌いだし。まあ、友達として彩奈の宣伝だけはしておくね。ハハハ」
明日香はそう言って笑った。
「やっぱ、お前ら仲良いよなあ……彩奈とペアにしてもらうって話、白紙に戻したほうがいいかなあ……」
常盤市の歴史というボードの前で、仁がボソリと呟く。正直、彩奈は私のことが好きだろう。なんて返せばいいのか分からず、言葉に詰まってしまう。
「うーん……仁が彩奈のことを好きだって知ったら、彩奈も意識してワンチャンあるかなって思ってはいたんだけどな……」
隣にいた春人が言った。
「確かにそれは、なくもない……全く予想外の女子から告られた時、めちゃくちゃ意識しだしたもん俺……」
「——いつの話だよ、仁。で、結果はどうだったんだ?」
「中三の時の話。結局、どうにもならなかったけどさ」
仁の返事に、春人は大げさにガクッと肩を落とした。
「まあ、自由行動が始まるまで、まだ時間はある。ギリギリまで悩めばいいじゃん。な、仁」
春人はそう言って、仁の肩を叩いた。
***
昼食を終え、運命の時が近づいてきた。今回の計画を実行するかどうかは、仁の一言で決まる。
「決まったか、仁……?」
「ああ……俺、やってみるよ。同じ後悔なら、ぶつかってからでもいい」
仁は緊張した面持ちで、彩奈に声をかけに言った。
「な、なあ、彩奈。自由行動なんだけど、男女一人ずつのペアで周るってのはどうかな」
「え!? いいじゃん、いいじゃん! で、ペアはどうやって決めるの?」
「お、俺たちでジャンケンをして、組みたい相手を選ぼうかなって思ってるんだけど」
「なるほどね! 明日香と眞白もそれでいい?」
彩奈の問に、明日香と眞白は頷いた。明日香は少し、面倒だと思っているように見える。眞白は何を思っているのだろうか。
「じゃ、じゃあ……いくぞ……」
私たちは、ジャンケンで何を出すのか決めなかった。どちらにしても結果は同じだし、こちらの方が緊張感も伝わると思ったからだ。
このジャンケン、絶対に……
勝ちたくない……!!
「最初はグー!! ジャンケン、ポンッ!!」
仁と春人はチョキで、私はグー。
ああ、見事に勝ってしまった……強い思いがある時ほど、その通りに行かないのは昔からだ。
「じゃ、じゃあ、悠真……誰にするか決めてくれ」
眞白、明日香、彩奈の顔を順に見る。眞白は落ち着いた表情。明日香はやはり面倒くさそうな表情。そして彩奈は、私を選んでくれとばかりにキラキラとした目で私を見ている。
「こ、今回は明日香で……」
明日香は驚いた表情で「私!?」と言った。彩奈はキュッと口を閉じると、残念そうに目を伏せた。
***
「もしかして、仁に彩奈を譲った感じ?」
明日香と二人で歩き出すと、彼女はすぐにそう言った。
「えっ……?」
「え? じゃなくて。仁って彩奈のことが好きなんだろうなって、ずっと思ってたから。多分、彩奈は気づいてないけど」
「そ、そっか、明日香は気づいてたんだ……俺は今回のことがあるまで、全然気づいてなくて」
「仁ってば、隙あらば彩奈のこと見てたからね。——でも、厳しいだろうなあ。彩奈は悠真のことしか見えてない感じだし」
「そ、その……彩奈ってやっぱ、俺のこと好きって言ってるの?」
「ま……まあ、彩奈も気持ちを隠してないから言っちゃうけどさ。初めて駅のホームで会った時に、一目惚れしたって言ってたよ。その日の内に、広樹に別れようって連絡取ってたし。——あ。でも広樹とは、その前から別れるって話は聞いてたんだけどね」
「ああ、別れた時の話は彩奈から聞いた。結構な直球で切り出したみたいじゃん」
「アハハ、そうなの。彩奈らしいよねホント。その後も何度か、やり直して欲しいって言われてたみたいだけど。——あとね、一つ気になったんだけど」
私は「ん?」と首を傾げた。
「どうして私を選ぶ時に、『今回は』って言ったの? 彩奈に気を使って?」
「あ、ああ……そうかもしれない」
「彩奈ってさ、思ったことすぐ口に出すし、ハチャメチャな雰囲気あるけど、ホント良い子だよ。頑張る時は頑張れるし、嘘とか大嫌いだし。まあ、友達として彩奈の宣伝だけはしておくね。ハハハ」
明日香はそう言って笑った。
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