地球侵略するはずが、守る側になりそうです……

星ノ律

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ep19:適任……?

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「レクトくんたちは、量術を使った仕事が出来て羨ましいです。僕のクライメアは使い道がわかりません」

 リオがノートパソコンのキーをカタカタと叩きながら言う。

「何いってんだよリオ。俺からしたら、量術抜きで仕事出来るリオの方が立派だと思うぜ」

「ホントにね。たまたま私たちには、合っていた仕事があったってだけだから。――それよりどう? パソコンは使いこなせそう?」

「――ええ、大丈夫です。難しいところはありません」

 ハルキたちの家からの帰りがけ、リオはパソコンを借りられるかとハルキに訪ねた。リオがパソコン未経験だと知ったハルキは「考え直せ」と迫ったが、ミツキは「リオくんなら大丈夫」と改めてリオを推した。

 うーん……ミツキのことは常識人だと思っていたが、少し考え直した方がいいのかもしれない。

「リオ? もし、自分だけ仕事が少ないなんて気にしてるなら、そんなの必要ないからね」

「そうだぞ。調べ物とか、俺たちいつもリオに頼ってんだから。ほんと、気にすることないからな」

「ハハハ……大丈夫ですよ、この方が僕の気がラクなんです」

 今週末から始まるパソコン教室に向けて、リオが叩くキーの音は夜遅くまで続いた。


***


「そろそろね、リオくんが帰って来るの」

 ミツキはそう言って、ブラックコーヒーを一口すすった。私たちの家で、ミツキと一緒にリオの帰りを待っている。レクトは「近所を探検してくる」と言って、自転車で出かけていた。ミツキが来ると分かっていたら、きっと家にいたことだろう。

「そんな苦いのよく飲めるね。私はこれが好き、カフェオレ」

「人って見かけによらないね。サリアちゃんなんて、どう見てもブラックが好きそうなのに」

 マグカップを両手ではさみ、ニコニコと笑いながらミツキが言う。今ではすっかり、ミツキの笑顔のとりこだ。

「にしても、パソコン教室初日だってのに、ミツキは行かなくて良かったの? 引き継ぎなんかもありそうなのに」

「だって、リオくんが一人で大丈夫って聞かなかったから。それと、引き継ぎは問題ないかな、その日その日で終わる内容ばかりだったから」

 リオはああ見えて頑固なところがある。一人でやりたい理由でもあったのだろう。


***


「た、ただいま……」

 玄関の引き戸を開け、リオが帰ってきた。ぬーっとリビングに現れた感じを見ると、あまり良い結果ではなかったのかもしれない。

「ど、どうだった? リオくん?」

「あ、ミツキさん、こんにちは。いやもう、明らかにミツキさんじゃなくなって、ガッカリされた感が伝わりました……」

「ぐ、具体的には……?」

「まず、最初の挨拶で、大きなため息をつかれました。あと、授業が始まってからは、『それは知ってる』だとか、逆に『そんな難しいのは必要ない』だなんて言われたり……」

「多分だけど、それって山田さんと尾形さんじゃない?」

「――えーと、確かそうです。黒縁メガネの方と、野球帽の方ですよね?」

 ミツキは「そう!」と、リオを指差した。

「こんな事言っちゃうのもなんだけど、あの人たちは若い女性目当てだった気がするの……先生を辞めたかった理由ってこれもあったんだよね。だから気にしなくていいよ、全然」

 そうミツキに言われたリオの表情が少し明るくなった。

「分かりました、気にしないようにします。――そうだ、一つだけ帰りがけに嬉しいこともあったんです。『とても分かりやすかった』って。『来週は今まで疑問に思ってたことをまとめて質問させてください』って言われて」

「あ。それきっと浅野さんでしょ? 白髪に、上品な銀縁眼鏡の」

「そ、そうです!」

「今まで疑問に思ってたことって……私に聞いても分からないって思ってたんだろうな、ハハハ……ほらね、やっぱり正解だったでしょ、リオくんなら大丈夫だって言ったの」

 ミツキは自分のことはさておき、エヘンと胸を張った。
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